第207話 惑星リラを救え!-神の御手並み-

 天文学神プトレの指示により、まず俺達の実力を調べることになった。 

 小惑星の軌道変更が本当に出来るのか試してみるわけだ。もちろん、神力測定機で神力は測定できる。だが、実際の力は経験により違ってくるのだ。特に普通の神たちは地上界に干渉することが少ない。あまり使うことのない神力行使は、うまく実行出来なかったり効率が悪かったりする。


 テストでは、神力を思いっきり使う必要がある。このため、俺達は惑星フォトスの岩だらけの小島に移動した。ここなら被害を気にする必要がない。


「小惑星の分割自体は俺がやろう。岩を切るのは得意だからな」


 思えば、この世界へ到着したばかりでも、石切りや岩の切り出しはすぐに出来ていた。


「そういえば、それから始まったのよねリュウジの話は」アリスは感慨深げに言った。

「そうそう」

 まぁ、神力使い切って、そのあと大変なことになっちゃったけどな~っ。ま、それは置いとこう。


 気を取り直して、試しに小惑星と同等の岩山を切ってみた。


「極大エナジービーム!」


 ピーーーーーーーーーッ


「おお、流石です。十分です」見ていたプトレが感心した顔で言った。

「小惑星の分割は問題ないでしょう」


「では、軌道修正の力を試します」プトレは女神達に向かって言った。

「反発フィールドを生成して、この岩を飛ばしてみてください。どこまで飛ばせるかで、その力量が分かります」


 プトレはそう言って俺が切り出した岩を指差した。


「じゃ、アリスさんから」

「はい」


 バーーーーーーン


 おお、大分操作が上手くなってるじゃん。あれ? プトレが驚いている?


「おい、プトレ。ちゃんと測定してるか?」

「えっ? ああ、大丈夫。いや、恐れ入りました」意外そうな顔で言うプトレ。

 かなり予想外だった模様で、ちょっと微妙な顔をしながらアリスが飛ばした岩を戻した。


「では、イリスさんお願いします」

「はい」

 ボーーーーーーン


 おお、イリス様も大分上手くなったね。あれ? プトレが更に驚いている?


「す、凄いですね。お二方とも、ちょっと神界でも指折りだと思います」


 へぇ~。神界で指折りなんだ。全然ダメかと思ってたのに意外だ。まぁ、俺が指導したもんな。ん? 指?

 って、よく見たら神化リング付けてるし! これ、タイムリープで過去に持って行けないし。


「ちょい待ち。ふたりとも神化リング付けたままじゃん。それじゃだめだよ」

「「あっ」」思わず自分の左手を見る女神たち。


「ああ、なるほど。そういう事ですか。びっくりしました。では外してもう一度お願いします」とプトレは頷きながら言った。


「では、アリス行きます」とアリス。

 バーーーン


 ほう。素でも結構いけるじゃんアリス。あれ? これでもプトレは驚いている。


「ふむ。やっぱり、そこそこ力はあるんですね!」

「ちょっと本気出しました」とアリス。

「いや、全力でやって欲しいんですけど?」とプトレ。

「全力だと、マズくないかしら?」とアリス。

「ちょっと待ってください」とプトレ。


 天文学神プトレは焦った顔で、俺のところまで来た。

「リュウジ、お前のグループ変だよ。これで全力じゃないなんて」

「あれ、そう? ああ、地上界でちょっと訓練してたからかなぁ?」

「そ、そんなことしてたの? わ、わかった」


「おほん。ではこのまま見させてもらいます」プトレは戻ってテストを再開した。


「イリスです。いきます」

 ボーーーン


「ウリスである。いくのである」

 ボーーーン


「エリス。いく!」

 ボーーーン


「カリスいきます」

 ボン


「セリスです」

 ポン


「オリスです」

 ポン


「ミューゼスよ」

 ポン


 流石に、カリス、セリス、オリス、ミューゼスは弱かった。みると、プトレも安堵した表情だ。


「これが普通です」

 だよな。

「あと、俺か?」

 バコーーーーーーン


 あ、ちょっと力入れすぎたか? 呆気にとられるプトレ。

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