第206話 惑星リラを救え!-救出作戦-

 俺もなんとか分身を作ることが出来たので、いよいよ惑星リラ救助隊を編成することにした。

 早速、惑星フォトスにある神聖アリス教国の王城にメンバーを集めた。惑星フォトスに集める理由は、惑星リラの救出が完全に神界の話だからだ。それと、タイムリープという特殊な方法なので持って行く荷物が全くないという事情もある。


 こうして、惑星リラ救助隊の拠点はここ惑星フォトスの王城に決まった。正確には隣接する情報管理局にタイムリープ室を設置した。メンバーは以下の通り。


惑星リラ救助隊

 隊長 第二神 リュウジ

 副隊長 第二神同列 アリス

 副隊長 豊穣の女神 イリス

 副隊長 運命の女神 ウリス

 副隊長 絵師の女神 エリス

 特別顧問 宇宙神魔科学の女神 セリス

 特別顧問 第二神同列で神魔科学の女神 カリス

 特別顧問 治癒師の女神 オリス

 特別顧問 天文学の神 プトレ

 惑星リラ担当代表 学芸の女神 ミューゼス


惑星リラ バックアップ隊

 隊長 教育の女神 ケリス 

 副隊長 休職中女神 コリス 

 特別顧問 神魔道具の女神 キリス

 特別顧問 薬の女神 クリス

 特別顧問 考古学の女神 シリス


 バックアップ隊はタイムリープ中にサポートをする面々だ。タイムリープは仮眠状態になるために監視してもらう。


「ねぇ、普通の隊員はいないの?」アリスに突っ込まれた。

「だって、どう考えても俺が一番働くよな? 次に副隊長。一般隊員はいらない」

「上に行くにしたがって、より多く働く組織なのね」とアリス。

「そゆこと」


 バックアップ隊がそれにあたるとも言える。よく考えると神界は何故かこういう組織であることが多い。第一神様が一番働いてるし、担当神にはあまり仕事がない。特に、不干渉主義の神界では。


 それはともかく。まずは隊員の紹介をしておく。


「最初に俺たちのグループ以外からのメンバーを紹介する。まずは学芸の女神ミューゼス。救助する惑星リラを管轄している第二神で、依頼主だ。俺の元上位神でもある」


 女神ミューゼスは立ち上がって軽く会釈した。

「みなさん、はじめまして。学芸の女神ミューゼスです。と言っても、ほとんどは顔見知りですね。今回の無理なお願いを聞いてくれて感謝しています。一緒に頑張りましょう。よろしくね!」


 ミューゼスは、この女神隊とは縁が深いから、知らない女神は少ないようだ。


「それから、俺がストーン神国建設をしてた時に支援してくれてた天文学の神プトレだ。氷月ひょうげつの件でも手伝ってもらった。今回のミッションは相手が小惑星だけに大きな助けになってくれると思う。頼もしい第二神だ」


「天文学神のプトレです。昔のよしみで駆り出されましたが、内容的に私が活躍できそうでわくわくしています。よろしくお願いします」


「実のところ、ちょっとメンバーを集めすぎな気がしないでもないが、初めてのタイムリープ依頼であることと、どうしても失敗できない案件なので余裕を持たせてみた。まぁ、イリス様と仲良し四人組は断っても行くと聞かないんだが」

「当然ね!」とアリス。

「もちろんです」とイリス様。

「もちろんなのだ」とウリス様。

「もちのろん!」とエリス様。

 ちょっと不安。


  *  *  *


「では、作戦の概要を説明する」俺は作戦の説明に入った。

「惑星リラは百五十年前に小惑星の衝突により破壊された。あらゆる生命が絶滅する、壮絶な最後だった」みんな厳しい顔で聞いている。

「俺たちの仕事は、百五十年前の惑星リラにタイムリープして、小惑星の軌道を逸らすことだ」


 やることは単純である。実行することが出来ればだが。


「じゃ、作戦の詳細を説明する」

 

「まずは、ここに集合。このタイムリープ室からタイムリープする。当然荷物は何も持てない」


「タイムリープ直後は、それぞれが別々の場所で分身体として目覚めることになる。場所は、百五十年前に居た場所だ」


 百五十年前に、それぞれが何処にいたかによる。多くは神界だろうが、特定の世界に顕現している場合もあるだろう。


「覚醒したら、すぐに転移して惑星リラに向かってもらいたい。それぞれの都合でタイムリープのタイミングは多少ずれるだろうが、時間的には余裕があるので問題無い筈だ」


 俺は女神リップに目くばせした。リップは立ち上がって説明した。


「担当神のリップです。今回、私は行けませんが、当時の私が滞在していた王家の別荘が使えると思います。ですので、ここに集合していただきたいと思います」


 集合場所は神界にしようかとも思ったのだが、影響はこの星に留めたいので惑星リラに決めた。女神リップを目指して転移すればいい。


「次は、いよいよ小惑星軌道変更作戦だ。プトレ頼む」


 俺は作戦を立案した天文学神プトレに説明を頼んだ。


「それでは私から説明します」プトレが前に出て説明を始めた。

「作戦の目的は小惑星の軌道を変更して惑星リラの衝突コースから逸らすことです。衝突さえ避けられればいいわけです」改めて確認するように言う。


「具体的には、この小惑星を二つに分離します」プトレは手法の説明に入った。


 小惑星の軌道を変更するためには、この小惑星に力を加える必要がある。だが、周りが宇宙空間なので力を加える足場がない。その足場を作るために小惑星を二つに分割して互いを足場とする作戦だ。二つになった小惑星の間で爆発的な反発フィールドを展開する。これで衝突コースから外れてくれる。


「二つに分かれた小惑星の間を惑星リラが通過するわけだな」


 俺は、分かりやすいように言い直した。


「そういうことです」


 聞いていた女神たちも良く分かったようで頷いていた。


「どれだけの力を使えるかによって作戦の詳細が決まります。つまり、爆発力の大きさが大切です。そのため、後で実際に測定させてもらいます」とプトレ。俺たちの力を実際に試してみるようだ。


 そういえば、俺や女神隊はフィールド操作などに慣れているが、これって普通の神が使う力じゃ無いもんな。専門神のイリス様でも使って無かったし、普通の神には無理なのか?


「惑星リラから逸れる軌道に乗れば安心ですが、すぐに精密な測定は難しいので、だめだったら再度タイムリープすることになります」とプトレ。


 やり直すとしたら、別の時間にタイムリープすることになるんだろうか? ちょっと、影響が気になるな。出来るなら、一発で済ませたい。


「作戦は以上です」とプトレ。


「そうそう。これ以外にも、やることがある」俺は、追加の説明をした。

「この惑星リラで魔法が使えるようになっていたという情報があって、第一神様から詳しく調査してほしいと言われてる。このために、オリスさんにも救助隊に参加して貰っているのでよろしく」


 治癒師の女神オリスさんと女神ミューゼスが頷く。


「今回の件は、内容的に時間はたっぷりある。間違いのないように進めたいと思う。よろしく頼む!」


「「「「「「「はいっ」」」」」」」


「わたしも頑張る!」とアリス。

「ええ。頑張りましょう」とイリス様。

「我にまかせるのだ!」とウリス様。

「お任せエリス」

 なにそれ。

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