第205話 惑星リラを救え!-分身-
惑星リラは俺の第二の故郷だ。
そして、イリス様と仲良し四人組の故郷だ。絶対救ってやる。
だが、タイムリープが出来るとはいえ、それは意識と記憶が飛ぶだけだ。出来ることは限られている。
神化リングも宇宙船も過去へ持って行けるわけではない。味方に出来るのは時間と智慧だけなのだ。また、神と言えども神界特別措置法など、神界の特別な措置は使う訳にはいかない。何故なら、たとえ神界でも未来の神など常識外だからだ。
もちろん、未来から来たことを神界で発表して支援を仰ぐこともできるだろう。実際、過去改変は予想以上に許されているようだから可能ではあると思う。
「しかし、全く異なる世界に遷移する可能性があります」
女神カリスさんが注意を促す。過去改変は可能であるが予想と違う変化をしてしまうと言うことだ。
「神界に対しての過去改変は影響がはかり知れません。極力避けるべきかと思います」と女神カリス。
「私たちが希望するのは、単に小惑星が直撃しない惑星リラです。これ以外を変えたいと思っている訳ではありません」
「そうだな」
「しかし、その為に必要以上に大きな活動をしてしまうと、惑星リラ以外の世界も変動してしまうかも知れません」
確かにそうだ。過去改変については、殆ど分かっていない。どんな影響が出るのか知れたものではない。
「なるほど。変えたいと思っていないものまで変わってしまう可能性か」
これについては、漠然と考えていただけだった。だが、女神カリスの言う通りだ。特に神界に影響が出れば、それは別の世界に強く影響するだろう。
「はい。これについては、全く研究もされていませんので何も言えませんが、なるべく行動は控えるべきかと」
「そうだな。惑星リラを救うだけで十分大きな変化だ。それ以上、変えるのはマズいよな。他の星に影響したら、修正するために更にタイムリープをしてと、いたちごっこになる可能性さえあるだろうな」
「そうですね。ですから私たちが考える最小限の範囲でやるしかありません。それでも、何があるか保証できない訳ですから」
全力で惑星リラを救いたいが、最小限がベストならそうするしかない。幸い、惑星規模の話なので、他の星への影響は少ないとは言えるだろう。
俺達がやるべきことはタイムリープで惑星リラを救うことであり、そして次のタイムリープに道を開くことだ。
* * *
「とりあえずリュウジがやるべきことは、分身を作る練習だと思うの」とアリスに突っ込まれた。
「そうですね」
実は、俺はまだ分身体を作れていない。
よって、このままでは救助隊に参加できないわけだ。偉そうなことを考えてる場合じゃない。俺が分身を作れないといつまでたっても出発出来ない。俺が隊長だからな。
ということで、分身の術の練習だ!
アリスも出来るようだが、アリスの場合は純粋な神なので簡単なのだ。俺は半神、つまり肉体が残ってるので簡単にはいかない。というか、そもそも実績がないらしい。もちろん教えられる神などいない。
「やっぱり駄目だな。肉体を一瞬で造るのが無理なのか?」
とりあえず、普通に分身能力を起動しようとしてもうまく行かなかった。
肉体を作るのに時間が掛かるのは覚悟していたのだが、機能を呼び出しても全く発動しない。無反応なのだ。
肉体を含む分身を作るときに、必要な元素などを調達する必要があると思うのだが、その方法が分からない。そもそも周囲に何もない宇宙空間のような場所だと素材を調達できないと思う。つまり分身が作れないことになる。神の分身作成がそんな制限付きのハズはないよな?
まさか、人身御供のようなものが必要なのか? 思いっきり気持ち悪いんだけど。しかも、そんなもの用意出来ないし。
あるいは肉体を作ることを全く想定していないのか? 俺みたいな神はいないからな。
諦めて、通常の分身作成ではなく仮想物質で作るイメージを追加してみた。
すると、何度か試してみたあと、ついに分身体が出来た。確かに出来たのだが……。
「きゃっ。露出狂がいる」
俺の様子を見に来たアリスが目ざとく見つけた。分身体は裸だった。
「いや、ここ自分の部屋なんだけど? 裸でも問題なし!」
「添い寝して欲しいの?」
「どうしてそうなる?」
ぽっぽっぽっ
イリス様、ウリス様、エリス様登場。
「いや、だから添い寝じゃないって」
「もういいじゃない。今夜はこのまま寝ましょう?」
「もういいでしょう」
「もういいのだ」
「もう、リュウジったら~」
「おいっ」
ってか、俺、二人いるんだけど? おまけに、こっちの俺は服着てるんだけど?
* * *
とりあえず、なんとか分身は作れた。これ、作ってみたらかなり便利だ。神界にも置けるし、惑星フォトスへも瞬時に転移できる。もちろん、肉体が無いので子作りには使えない。あれ? これ、そのまま地上界に居れば受肉するのかな?
「そうね。数百年もしたら子作りできるかも」とアリス。
「ちょっと待て、その場合老人になってたりしないよな?」
「普通に成人状態を維持するんじゃない?」
「ほんとうかな?」
「さぁ? それこそ実績ないわね」
「分身にも神化リング渡したら使えるのかな?」
「それも、まだ試してないわよね」
分身は、まだまだ奥が深そうだ。てか、分身体は、すぐに消したほうがよさそうだ。
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