第190話 秘密結社竜神
「秘密結社竜神」を作ることになった。
名前はアレだが、俺のグループの情報を管理する必要があるというのは確かだ。神界で注目を集めてしまっているからだ。つまり、それだけ神界に対する影響力も大きくなっているということ。そうなると、発表すべきこととそうでないことを区別する必要が出てくる。
また、その発表すべきことが出来た時、公報のようなものも必要かも知れない。あるいは報道機関を立ち上げるべきか。まぁ、神魔フォンを作ったグループの必然と言えるのかも。
といことで、まず大切なのは情報管理の確立だ。
神界が見ているのは主に女神湯だ。俺の自室はもともとあまり関心が無かったらしいが、魔法共生菌による隔離措置もあって秘密が保たれている。ここで話し合った「秘密結社竜神」については神界には漏れていないようだ。
最近の地上界では魔法ドリンクや、エナジーモジュールなど魔法共生菌を使った機器を多く使っている。このため、普通に神眼で見た時にノイズが入るようになっていた。だから、俺の部屋に魔法共生菌ボトルを置いても特に不自然というほどでも無いし、話題にもなっていない。
ただ、プライバシーが確保できると分かったせいか、女神隊は今まで以上に俺の部屋に顕現するようになった。暇さえあれば顕現する。
「あれ? そう言えば、第二神扱いでアリスも分身を造れるようになったのか?」
「そうね、もう造れるわね」
既に試したらしい。俺がまだなのに。
「ってことは、女神隊で分身作れないのって、コリスくらいか?」
「そうなるわね」
「じゃぁ、大事な話をするときはコリスを外そう」
「ぎゃ~っ」とコリス。
「だって、コリスを呼ぶとバレバレじゃん」
「そ、そんな~」
「ま、案件次第だな。聞いてもしょうがないこともあるし」
「そうですね」
「早く惑星フォトスで経験積んで、専門神にならないとな!」
「頑張ります」
「じゃ、この部屋で内緒話するときは分身を女神湯とかで遊ばせるとかどうだろう? そうすれば、怪しまれないよな?」
「それは名案ね! リュウジって偽装工作とか得意なの?」とアリス。
「なに人聞きの悪いことを。ちょっと思い付いただけだ」
「ふふふ。じゃ、ここに来るときは分身を他においてから来るようにしましょう!」
「わかったわ」とイリス様。
「了解である」とウリス様。
「うん。リュウジのエッチ」
「なんでだよ」
「リュウジのヒメゴト」
「やめろ。それより、エリスのヒメゴトだろ」
「ぐっ」
「こたえてるし」
* * *
とりあえず、神界への影響を気にせずに会話できるようになったのは大きい。他にも、後宮の談話コーナーと、王城談話室にも魔法ドリンクを配置しておいた。これは、ちょっと見にくい程度だが。侍女隊やメイド隊用にラームと一緒に魔法ドリンクも置いてるから、おかしくはない。
「では、第一回秘密結社竜神の企画会議を始めます」
担当神アリスが宣言した。今夜は秘密結社竜神を作って初めての会議、つまり内緒話をすることになった。ちゃんと隠されていれば、神界にバレない筈である。
とりあえず今回は、女神隊のメンバーに企画案を出してもらって、今後の活動を検討することになった。まぁ、何か面白い事をやろうという話だ。面白ければ、すぐに話題になるだろうから、秘密が漏れているかどうかが分かるという訳だ。つまり、隔離措置のテストだ。本気の会議ではない。
「「「「おおお~」」」」なんか、妙なノリだ。
「では、最初の企画を。エリスお願い」とアリス。
「了解。では、私の案を披露しましょう。名付けて『リュウジ、その怖い世界』」
「却下」
「却下されました」とアリス。
「早っ!」とウリス様。
「リュウジ酷い」とエリス様。
「うん、さすがにそれは無いわよね」とアリス。
「少しは聞いてあげましょう?」とイリス様。
「聞くくらいいいのである」とウリス様。
「そ、そうか。思わず却下してしまった。タイトルだけっぽいし」
「一応案はある」
「あるのかよ」
絶対ろくでもない奴だと思う。けど、一応聞いてやろう。
「こほん。私が今まで『怖い』と言ったことは多々あるが。実は全て絵にしている」
「おおっ? ホントか?」なんだ、受け狙いじゃなかったのか?
「ホントなの?」とアリス。
「凄いわね」とイリス様。
「それは凄いのである」とウリス様。
「むっふっふ。任せなさい!」
「全部? まじか」
本当か? それ、なんで今まで出してないんだろう? 王城の画廊で見なかったぞ?
「そう。全部。そこで、『リュウジ、その怖い世界』という個展を開こうと思う」
「ちょっと待て。確かに凄そうだけど、それ一応内容チェックさせろ」
「どうしてよ」とアリス。
「いいんじゃないの?」とイリス様。
「いいと思うのである」とウリス様。
「いや、絶対ビーム出るから」
「バレてるし」
やっぱりか。危険すぎる個展だな。神界限定ならいいのか?
「こほん、では気を取り直して、ウリスお願い」
アリスが仕切り直した。
「分かったのである。我の案はまともなのである」
いや、エリス様の案はビームさえ出なければ結構まともだったんだが。
「私の案は、名付けて『人生すごろくゲーム』である」
うん? なんかすこぶる普通のゲームっぽいネーミングだが?
「まず、サイコロを振る」と身振りをしながら説明するウリス様。
「うん」
「すると、出た目に合わせて、確率が変動する」
「ちょっと待て。それ、リアル人生ゲームじゃないよな?」
「当然リアルなのだ」
「それ、人生棒に振るやつじゃん」
「最高のゲームなのである」
「きゃ~っか! 却下だ! そんなの絶対だめだろ」
「いつもやってるが?」
「やってるのかよ」
女神ウリスは、思った以上に危ない奴だった。
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