第155話 三従者隊と七人の侍女隊

 王城内で三従者隊を披露してみたら、大受けした。

 特に侍女隊が大喜びだ。被るだろうと思ったが、自分たちの姉妹組織という感じらしい。確かに、侍女隊は特別な存在だったから見方によっては浮いているとも言える。そこへ三従者隊だからな。ユニフォームも似ているし、どう見ても妹分だ。


「これは、絶対皆に披露すべきです! 大陸全土に、いえ全世界に!」とミゼール、興奮し過ぎ。

「ふふ。そうね。この子達も私の配下でいいのかしら?」と美鈴。


 そう言えば何も考えてない。


「いいんじゃないか?」

「うれしぃ!」とヒスイ。

「やった~っ!」とヒラク。

「きゃぁ~っ」とスサ。


 いいみたいだ。


「了解! じゃ、これからは私が指令よ! よろしくね三従者隊!」

「「「はい!」」」


 ということで、早速合同訓練をするそうで荒野に出かけて行った。

 あれ? 従者じゃなかったの? 従者といういより、親衛隊とか近衛兵っぽくなって来たな。


「面白いことになって来たわね」


 侍女隊に連れて行かれる三従者隊を見送ったニーナが言った。

 後宮で子供達相手に毎日大騒ぎの嫁達だったが、ミルルにしろ少しづつ仕事をこなすようになって来た。乳母がいるからいつでも動けるのだが、ここはそれぞれの主義があるようだ。


「私たち嫁も何か始めようかしら?」とセシル。


 なんで対抗心を燃やしてるんだか。


「妃隊かしら?」

「いや、それ強すぎる気がするぞ。色んな意味で」

「そうね。全員使徒だしね」


 うん、大人しくしとこうよ。


「あ、そうか、あと一周あるんだった!」とニーナ。


 やばい思い出しちまった。流してたのに。ここはあまり刺激をしないようにしよう。


「カセームのピアス妃に双子が出来たっていうし、私達も頑張らなくちゃ!」とニーナ。


ー もう一度、祝福しましょうか?


 そこに、話を聞いてたイリス様が……。


ー イリス様、ありがとう! お願いします。


 速攻でお願いするニーナ。


ー そろそろって、思ってた~っ。

ー そうですね。もういいですね!

ー わたくしも、そろそろと思ってましたわ。

ー はい、姉さま。

ー もちろん、わらわもじゃ。


 つい最近、カセーム王国のピアス妃に子供が出来たが、これはイリス様の祝福おかげだとピステルは喜んでた。

 ついでに、その調子で頑張れ。俺と競争だと煽ってやった。煽ってすぐだが、ピステルごめん。また六児かも。


  *  *  *


 妃隊はともかく、七人の侍女隊と三従者隊は合同訓練に明け暮れるようになった。


「きゃ~っ、クレオはや~いっ」とスサ。

「頑張るの~っ」

「いや、クレオ。ロールを教えるのはまだ早いって~」とシュリ。

「いけるいける~」とスノウ。

「やっぱりスノウが煽ったな!」と美鈴。

「だって、パメラが先いっちゃうし」

「ミゼール! ちゃんとリードして!」と美鈴。

「分かった。お~い、お前ら我に続け~っ」


 楽しそうだな。


 クレオは同い年のスサが入ったので張り切ってるようだ。あと、ほとんど年齢が近いので話も合うようだ。隊長のミゼールが一人19歳で最年長だが。ただし、年齢不詳の美鈴を除く。


ー 大きなお世話。

ー 聞いてたか。

ー 神力流れてるんだから、年齢とかどうでもいいでしょ?

ー だから、あいつらとは別だろ?

ー ああ、まあそうね。ちょっとむかついたけど。

ー 気にしすぎだろ。綺麗なんだし。

ー ふ~んっ。じゃ、その言葉を証明して貰おうかな~っ?。

ー 何のことだ?

ー 女神湯に入ろ~っと!

ー ん? なんだ?

ー あれよ。

ー (か、可能なのか?)

ー (神化リングのお陰で、神格化が四十パーセントまで落ちたのよ)

ー (まじか!)

ー (試してみてもいいでしょ?)

ー (いいのか?)

ー (物は試し)

ー (物じゃないけど)


 ピステルごめん、七児かも。


ー そ、それは本当?

ー 何が?

ー いや、使徒が人間に戻って子作り出来るの?


 いきなりエリス様が突っ込んできた。


ー いや、分かりません。あ、神格化しちゃった後だからか。

ー そうね。出来たら前代未聞ね。


 イリス様も聞いてた。


ー また、リュウジが神界を驚かすことをするのである。

ー いや、俺じゃないっす。美鈴っす。

ー ふふふ。

ー 興味深い。

ー エリス様、興味あるんですか?

ー リュウジ怖い。

ー 俺が怖いんだけど?


 まぁ、さすがに完全使徒になった美鈴は無理だろう。無理だろうけど、それを言ったら可哀相だしな。未来は自分で探すものだ。


 とりあえず、美鈴は嫁として後宮に迎えることになった。嫁七人だよ。七人の嫁隊出来ちゃうよ。


ー 何言ってんの? 違うでしょ?


 ニーナから突っ込みが入った。


ー あの。何のことでしょう?

ー 侍女隊も、そろそろじゃないの?

ー へっ?

ー へっじゃなくて!

ー あれ? もう、そんな時期?

ー だって、建国一周年の時に婚約者にしたんだから。もうすぐ二年になるわよ。

ー あっ。

ー あ、じゃなくて。

ー そうだったな。

ー 後宮を増築する必要があるわね。

ー 後宮を? そうか七人だもんな。

ー そう。もう一個ないとダメよ。


ー じゃ、裏庭を挟んで西側に同じものを建てるか。

ー そうね。それがいいわ。

ー 頻繁に行き来できるように渡り廊下で繋ぎましょう。


 セレーネが提案して来た。


ー いいわね! 片方が出産ラッシュなら、もう片方が警備してあげられるし


 とニーナ。交代制なんだ。てか、嫁が警備するんかい!


ー それいいね~! お互い、最高の護衛になるもんねっ!


 ミルルも賛成のようだ。


ー そうですね!賛成です!


 セシルも賛成と。


ー 素晴らしいですわ。

ー はい姉さま。

ー わらわも賛成じゃ。


 仲のいい嫁で良かった。


ー あ、女神湯とも渡り廊下で繋ごう!

ー それは当然ね!

ー まあ、元気な時は転移でもいいけどな。

ー そうね。ていうか、侍女たちのための通路と言うべきね。

ー 侍女隊に侍女が付くのか。

ー 名前変えないとダメですか?


 ミゼールだ。侍女隊も聞いていた。


ー 侍女じゃないけど、「七人の侍女隊」だけは変えられないと思います。

ー だよな。もう、とっくに侍女じゃないし。ってか、侍女だったことあったか?

ー さぁ~?


 ともかく、後宮を増築することに決定した。後宮西宮だ。いままでの後宮は東宮と言うことになった。


 あと、ピステルごめん。俺、圧勝だわ。

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