第117話 魔法免許
無重量レジャーランドが大盛況だ。
無重量空間をそのまま遊びとして開放する「無重量レジャーランド」を正式にオープンしたのだが、連日満員御礼だそうだ。予約もずっと埋まってるらしい。
そんなに魔法で飛びたかったんかい! と、思ったが、そりゃそうか。俺のいた地球でも、魔法もないのにジェットエンジン背負ってむりむり飛んでたもんなぁ。人気が出て当たり前か。まぁ、魔法ドリンク飲んで魔王化リングすれば飛べるんだけど。うん? あれって使徒レベルだから要注意だけど特定の人には開放してもいいか? 治安維持する衛兵とか。力を制限すれば、一般にも出せるか? ちょっと議会で揉んで貰おう。
* * *
てことでマレスに話してみた。
「免許制ならば、よろしいという結論に至りました。ルールも検討しています」
「そうか。ルールについては、魔法経験者の意見も必要だろうな。あと、魔王化リング……あ、魔法強化リングか。魔法強化リングで個人を特定出来るようにして、これを許可証にしよう」
「なるほど。十分実用的な許可証となるでしょうな。このリングが無ければ弱い魔力しか使えませんから問題も起きませんでしょう」
「うん。そういうこと」
* * *
「で、どうだろう? 魔法強化リングで個人を特定できるだろうか?」神魔科学の女神カリスに聞いてみた。
「そうですね。まず、所属と名前、年齢などの個人情報を埋め込む必要があります。それから、魔力パターンを覚える部分。あとは、能力を限定する必要はありますか?」
「おっ、それも出来るんだ。そうだな。それが出来るならレベル制を持ち込んでもいいかもしれない。簡単な教習だけで開放するレベル1は能力を十分の一に抑えるとかかな。専門教育を施したあとでレベルを上げていくのはどうだろう」
「ええ、それなら出来ると思います」
今回、魔道具神の女神キリスじゃなくて神魔科学神の女神カリスにお願いしたのは個人を特定する魔道具を見たことがないからだ。
* * *
魔法免許を取得するには、魔法教習を受け試験にパスする必要がある。もちろん、大前提として特定の住所に定住して問題を起こしていないという実績が必要。これについては、住民票を作る様にマレスに要請した。
「なるほど、確かにそのようなものが必要ですな。住民税の観点からも必須となるでしょう。早急に対応しましょう」
マレスは、別の使い道にも思い当たり、積極的に進めてくれるとのこと。
それと教習については女神ケリスに頼むことにした。
「お任せください。ちょちょいっとやっちゃいます」
「いや、ちょちょいじゃなくていいから。しっかりやってよ。モラルに反するような奴ははじけるように。ちゃんと試験してくれ」
「りょうか~い!」
なんか、こいつと話してると、すっごく不安になるんだけど。ゴスロリのままだし。
* * *
で、免許制の魔法ドリンク販売をアナウンスしたら物凄い数の応募が来た。
「やっぱりか~っ」俺は応募用紙の山を前に溜息を吐く。応募者名を見ると。
ペリ君
「ペリ君ってなんだよ。このまま免許に書き込むぞ。っていうか、却下しよ~か。ああでも五月蠅いからなぁ。しかし、王様が一番最初に申し込むなよ」
ピステル
「やっぱりな。てか、二番目も王様かい。この人たち免許取れるまで帰らないつもりだろうな」
ピアス
「確かピステルの妃だよな? 夫婦で応募か。応募の三番目が王妃様か。王族優遇とか突っ込まれそう」
ヒラクとヒスイ
「H&Hズね。絶対いるよな。でもコメントに『Hじゃないけどね』って書くなよ」
バトン
「ふむ。知ってた」
マリナとキューティ侍女隊。
「え~っと、誰の入れ知恵なのかな? キューティって名前付けてるし」
王城メイド隊
「やっぱりな。確か……五人だっけ?」
ネム
「いると思った」
聖アリス教会シスターズ
「何これ? いつの間に? って何人いるんだよ!」
とりあえず、王城が誰もいなくなりそうなので、複数回に分けてくじ引きで教習を受けてもらうことにした。
まぁ、応募数は街の住人の半数ぐらいあるんじゃないかと思うほどあった。これは、ガンガン落とさなくちゃダメだろう。住民全員が飛び出したらどんな街になるんだ? 思いっきりマズい気がして来た。まぁ、ルール作るからいいか。でも、せめて十人に一人くらいに抑えたいな。
で、肝心の魔法ドリンクだけど、酒飲んで魔王化する能力のない普通の無害化魔法共生菌を使うことにした。
これなら安全だからな。酒場が修羅場になったら大変だ。ドリンクの生産と供給は、ネムに頼んだ。教習にはなんとか間に合うだろうとのこと。なんでも、その後の研究で瓶の状態での有効期限も一か月くらいまで伸びているそうだ。これなら、流通させられるだろう。
まぁ、免許自体をこの街でしか発行しないので、当面ここでしか売らないのだが。免許のリングを持たない人には当然売らないしな。
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