第79話 リュウジ神になる?
爺さん神様が大きく手を振ると、きゅいーんとズームインして元の高原台に戻った。そしてそのまま神界評議会の開かれている場所へと転移した。
そこは、体育館くらいの広さのある大きな会議場だった。天井が高く、すり鉢状になっていて国会議事堂の会議場に似ているが、政府側の席はない。ただ議長席だけがせり出したような形だ。途方もない数の席が半円形に広がっているようだが、天井まで続いてるので数えられない。
俺達は、せり出した議長席の横に現れた。
「……であるからして担当神とこの不届きな使徒が管理している世界を……んがっ」
何か発言をしていた神様がいきなり絶句してこちらを見た。まぁ、俺と爺さんがいきなり現れたからだが。
「こ、これは第一神様。ようこそおいで……」と議長席の神様が絶句した。
「どうかしたかの?」
「そ、そこに居るのは?」
「ん? そういえば、名前を聞いとらんかったな」
「リュウジです。リュウジ・アリステリアスです」
「ほう。リュウジか。この者リュウジが、わしの眠りを覚まし千年の力を与えてくれた」
爺さん神様はそう言うと、議長席へ登っていった。
「わしは、再びこの神界に光を与えん」
爺さん神様が両手を上に掲げると眩い後光が議場全体に広がっていった。
さっきより更に後光が広がっている。こっちが本気なのか? 途方も無い広がり方だ。
ん? それにしても、なんか予想外の展開をしている気がするが。爺さん昼寝って言ってたよな?
「おお、そうじゃ。リュウジ、ちとこちらへ」
爺さん神様は、後光を抑えたあと俺に向き直って言った。
「はい」
俺が近くへ行くと爺さん神様は俺に跪くように言い、俺の頭に手を当てて再び強烈な後光を発した。後光は議場全てを眩く照らし出していった。
「これでいい」
しばらくして、後光を抑えた爺さん神様が満足そうに言った。
ん? 何がどうなったんだ?
「どうじゃ、神力は戻っておろう?」と爺さん神様。
「えっ? あ、はい。っていうか、以前より太くなってます」ずっと太い。
「それはそうじゃ、お主はわしの直下の眷属になったからな。これで、お主に手を出せる者はおらん。お主の嫁にもな」
「あ、ありがとございます」
どうも、この爺さん神様の眷属になったらしい。
あれ? でも、誰も手を出せないってどゆこと? そういや、いま第一神様とかなんとか言ってなかったか?
「あの」
「なんじゃ?」
「今、俺の嫁は妊娠してて、もうすぐ生まれそうなんですけど第一神様の眷属になっても大丈夫でしょうか?」
「おお、そうなのか。ということは、まだ神格化が済んでなかった使徒なのだな。ふむ、問題ないじゃろ。系統が変わっただけじゃからな」
「そうですか、それを聞いて安心しました」
「うむ」
「して、この評議会は何をしておるのじゃ?」
第一神様の問いかけに、いきなり『惑星リセット先行実施の請願』が取り下げられた。また、俺と俺の嫁に対する制限は既に第一神様によって撤廃されているのだが、形式上も改めて撤廃となった。また、俺達の支援をした神化リングを持った女神たちへの審議拒否は不当措置として、決定を下した神にペナルティが与えられた。執行官も行き過ぎた行動があったとして降格処分となり評議会は解散となった。
第一神様が見れば一目瞭然で全て隠せないようだ。流石です。
* * *
で、評議会から地上へと戻ったのだが、ことの成り行きを説明するために第一神様も一緒に来ることになった。
「だだいまぁ~っ」
「おかえりなさ~い。えっ?」アリス驚く。
「まぁ、第一神様!!!」イリス様も驚く。
「おお、みんな元気にしていたかのぉ」
「どうしてここへ」とイリス様。
「なに、このリュウジをわしの眷属にしたのでな。その挨拶じゃ」
「「「「えええ~っ?」」」」
女神様全員が驚いた。
やっぱり、これ凄い事なんだ。なんかヤバイことになる予感がビンビンするんだが、大丈夫か?
「あ、アリスごめん。俺、お前の眷属だったのに」
「えっ? ああ、いいわよ別に。わたしのずっと上の最上位神の眷属になったんだから」
「やっぱり、そうなんだ。いや、偉そうな神様だなぁ~とは思ったんだ」
「偉そうなじゃないわよ。一番偉いわよ」
「そ、そうなのか」
「ああ、でも残念。これでリュウジの心を読めなくなったのね」
「お、やった~っ」俺歓喜。
「おお、そうか。じゃ、アリスか? アリスはリュウジの同列の女神にして、お互いに読めるようにしてやろう」
「げっ。まじか」俺悲しむ。
「きゃっ、第一神さま、素敵。ありがとうございます」
「じゃ、そういうことでな。ああ、リュウジの嫁さんたちよ。どうか、元気な子を産んでくだされ」
「はい、ありがとうございます」お、ニーナ、さすが肝が据わってるな。
「ではな」すっと、第一神様が消えた。
あれ、名前聞かなかった。惜しかったな、「オリス」になるところだったのに。まぁ、名づけは女神様限定にしとこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます