第48話 冬は南国リゾート!女神様もリゾート!神界もリゾート!

 地上界も神界もエネルギー革命で大騒ぎである。

 だが、騒ぎの元を作ってる俺達としては、もうやることはやってしまったし、目下の話題は余すところ四か月となった建国宣言と五か月となった出産である。ちょっと重なりそうで怖い。

 ただ、元々活動的な嫁達なので安定期になると何かと動きたがる。まぁ、躓いても神力で倒れないので危険はないし大丈夫らしいのだが。

「そういうものです。人それぞれだから奥さんがやりたいことは、させてあげればいいのです」と使徒テイア。その教えの通りにしているのだが、ちょっと心配ではある。


 で、なにが言いたいかというと、冬のリゾート大移動が決行されるということ。ここキリシス地方は北方の高地で寒いということもあり、南方のリゾートで過ごしたいという訳だ。ということで、南国のリゾートアイランド「ルセ島」に大移動することが決定された。特に今回は人数が多くなりそうだが、高速神魔動飛行船が出来たので問題はない。


 で、誰が移動するかというと……。


「まずは、神聖アリス教国王族(仮)の私たちね」とニーナ。

 これは、産休の主役。現在、後宮と女神湯以外はほぼ工事中なので、当然退避する。俺と嫁六人、使徒テイア、その他侍女やメイド達も連れて行く。


「わしもいいのじゃな? 婿殿」

「そりゃ、聖アリステリアス王国の別荘ですもん。当然です。っていうか、王様が俺達を呼ぶんですが? てか、一緒に移動してどうすんですか」

 何故か、ずっとうちに居候しているので俺たちと一緒に移動しそうになったけど、別荘は王様の持ち物なので王都でいろいろ準備がある筈だ。結局、先に王都に連れて行って手配して貰うことになった。


「私たちも、当然ね」とアリス。はい、約束ですもんね。神様御一行。神様なので、直接転移してくるから、飛行船は要らない。ただ、人数が大変なことになってきている。どんだけ~っ?

「そりゃ、だって担当神だけでも星の数程いるからね。まだまだ、一部よ」まだまだなんだ。とりあえず、事情を知ってるアリスと同じ系統の神様だけらしいが、それでも、100名くらいは来ると言う。常時使用許可って言っちゃったしなぁ。神様用のリゾートとかないのかな?

「ないわね」即答かよ。

 もう、こうなったら、神界リゾートホテルとか建てようかな。

「あら、名案ね」名案なんだ。

「婿殿、わしは一向にかまわんぞ」かまわないんだ。俺、他人でい~かな~? それ、作るの絶対俺だよね。けど、ホテルは流石に俺でも無理だから。


 で、ここで問題発生。どうやら施設が足りない。やっぱりか。

 当初計画していた女神湯、女神温泉プール、女神ビーチは既に完成している。だが、この人数で使うには足りないのだ。特に一番人気の女神湯が。つまり、女神湯を大幅に拡張する必要がある。神様達は宿泊しないで転移で帰れるので、最悪ホテルは無くてもいい。ただ、ゆったり遊べる場所が必要というわけだ。


 ということで、今ある露天風呂を数個追加することになった。今の女神湯を中心にクマの手の肉球のように増設する。ついでなので、男湯、女湯、混浴と用意しよう。まぁ、エネルギー革命しちゃったので、水と場所が有ればいくらでも作れる。

 ほぼ突貫工事だったが、南国用の屋根や囲いを作るだけなので、半月程度で完成した。


  *  *  *


「すご~い、ひろ~い。女神湯がこんな広いなんて! 泳げそう」新しく完成した女神湯を見たミルルの感想だ。泳がないよな? 黒歴史になるぞ。

「やっぱり、南国は景色が違うよねっ」とニーナ。女神湯拡張に伴って見晴らしも良くなっている。

「ヤシの木のある景色が素敵です」とセシル。

「わたくしも、ここにはあまり来てなくて楽しいですわ」さすがに、遠いからな。

「はい、姉さま」とアルテミス。

「ヤシの実でブラを作るのじゃ」とリリー。あれ? ちょっと違う方向に育ち始めちゃった?


「それにしても、会ったことない使徒さんとか、女神様がいるみたいね」とニーナ。

「男湯にも、結構いっぱいいるみたいだよ。男神湯って、なんか強そう」

「それは、どうでもいいわね」とニーナ。どうでもいいんだ。

「こっちの、湯船はちょっと香りが違うのぉ」リリーが、特別にしつらえた湯を見付けて来た。

「あ? そっちは、温泉だな」この島は火山島なので、少し温泉が出るのだ。

「なんですって~っ。じゃ、今回が本当の温泉回なのね!」と、アリスは通常運転です。

「なるほどなのだ!」とウリス様。

「わたしがいるからかしらぁ?」とエリス様。

「もちろん、わたくしでしょう?」とイリス様まで。

「???」もちろん、嫁達はタブレットを見てないので理解不能だ。

「ふっふっふ。待っていたのじゃ。ついに、わらわの回なのじゃ」こっそり、見てる奴いた。


 とはいえ、肌にいいという効能も喜ばれて大人気に。女神様や、使徒たちも入ってるけど、女神様の肌には効かないと思うけど?

「え? 効かないの?」

「いや、帰るまでは多少効くとは思うけど、帰ったら仮想的な肉体は一回消えちゃうんじゃないの? なら、それ以上は綺麗にはならないよ?」

「ああ、そう思ったんだ。仮想的な肉体は消えないわよ。地上で付着した汚れは、払い落されるけどね」

「えっ? そうなんだ。じゃ、長くいても受肉した部分だけ削げ落として再構成されるのか」

「大体、そんな感じね」

「ええ~っ。いいなぁ。それでアリスさん綺麗なんだぁ。羨ましぃ」とニーナはアリスの腕などを見て言う。

「いや、君たちもかなり近い存在になりつつあるんだけど」と俺が突っ込む。

「えっ? そうなの? それで、最近肌の調子とかいいんだ」とニーナ。

「ほんとだね~っ」ミルルも実感してるようだ。

「はい。なんだかアリス様に近づいたようで嬉しい」とセシル。

「まぁ。わたくし、これほど嬉しいプレゼントはありませんわ」

「姉さま。私もです」

「わらわも玉の肌に……あ、もともとじゃった」よしよし。


 しかし、こんなに沢山、神界から降臨しちゃっていいのかなぁ? もう、隠しようがないよね? このまま神様が降臨するの当たり前ってことにしちゃおうか? 「それもいいかも」なんて、つぶやいてる女神様いますけど。


 とりあえず、南国リゾートは、神界リゾートとしても大盛況となったのだった。

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