第681話 体育祭、午前の部

「うおおおおおおおおおおおおお!」

「何だアイツ、早すぎるだろうが!」

「くそ、この木島龍一が大差で負けるだと!この化け物が!」


一年生の男子生徒二百メートル走、話題の堂本一弘君と木島龍一君の直接対決。

女子生徒注目の一戦でまさかの大番狂わせ、一年Dクラスの林一真が大差を付けての勝利をもぎ取ったのである。これには会場騒然、一瞬の間をおいての爆発的な大歓声へと発展した。


「アハハハ、双龍寺先輩から逃げ切った俺の足を嘗めるなよ、俺に勝ちたかったらぶっ倒れるまで走り回ってみろ、そこが入り口だ!」


う~ん、林の奴遂に双龍寺から逃げ切ったのか。こないだ様子を見に行ったら双龍寺たち愛弟子が落ち込んでいたから何事かと思ったら、そう言う事だったのね。あの才能の塊に勝つなんて、林ってスゲ~。今度御劔山で黒丸と追いかけっこさせてみよう。折角の才能は伸ばさないとね♪

桜泉学園高等部体育祭、盛り上がっております。何と言ってもイケメンの躍動がですね~、走る飛ぶ跳ねる。黄色い声援飛びまくりです。

だって外れが無い(のっぺりを除く)んですよ?前世の某有名男性タレント事務所のジュニアと呼ばれる人間の運動会よりもイケメン度は上なんですよ?そりゃテンションも上がるってもんです。

マジで番組一本作れるんじゃないかな?外部協力生が増える訳ですよ。ひろし君効果と木村英雄君効果で凄い事になってるらしいからな~。


「”次の競技は三年生による障害物競走です。”」


グラウンドのスタートライン、気迫満ち溢れた三年生男子生徒がジッとスタートの時を待っていた。

「市ヶ谷、今日こそは負けないからな。」

「東野、そんな事言ってお前今まで運動系で俺に勝ったことあったっけ?」

「お前ら仲がいいな、でも勝つのは俺なんだけどな。」

横から不意に掛けられた言葉に顔を向ける二人。


「「鏑木、お前には絶対に負けない!」」

熱い男の戦いレースが今始まろうとしていた。


お~、Cボーイズの二人燃えてるな~、元不良男子とは思えない更生振り。去年の今頃はまだCボーイズを始めたばっかりだったからな、あまり知名度も無かったけどそれが今じゃ押しも押されぬ人気アイドルグループ、人生何がどう転ぶか分からないって見本みたいな奴らだよな。

スタジオCherryからの移籍騒ぎで影響が出るかと思ったけど、全く問題がないどころか更に人気が上がってるってどうなってるんだろうね。北川さんや町田さんのマネジメント力ってすさまじいものがあるよね、何でこんな精鋭を手放しちゃうかね~、西京芸能事務所馬鹿だよね~。まぁ、今は潰れちゃってないんですけどね、あそこ色々やり過ぎてたからな~。

稼ぎ頭のアイドルグループ”ジャイアント”もリーダーの剛田猛を中心に独立しちゃったし、ジャイアントマネジメントチームも一緒に付いて行っちゃったから仕方がないと言えば仕方がないんですけどね。

剛田猛のカリスマって凄いからね、彼に付いて行った人間とスタジオCherryに流れた人間だったら彼の方が多いくらいだし。やっぱり突き抜けた俺様って一周回って凄まじいよね。


”パンッ”


お、行った。平均台を渡って張られた何本ものロープを跨いで渡って、ネットを潜ってって今のところ互角、いい勝負。最後の直線で、


「うおおおおおおおおおおおおお!」

僅差で市ヶ谷が勝ちやがった、流石リーダー。二位が鏑木先輩で三位が東野か。東野スゲー悔しそう。

鏑木先輩も直線コースなら負けないんだろうけど、障害物競走は難しかったみたいだな。

でも面白いレースだった、俺も出て見たかったけど出れないのよ、個人競争競技は出場禁止を食らってるんだもん。羨ましくなんかないんだからね。(グスン)


「”続いての競技は借り物競争です。男子生徒の皆さんは、借り物要請があった際はぜひ協力してください。”」


か、借り物競争。審議が、審議が~。はっ、いかんいかん、去年の記憶がフラッシュバックしてしまった。今年は風子先輩もいないし早々俺に出番が回って来る事なんて、「ちょっと佐々木、こっちに来なさい。」はい~?


って俺を呼び出したのが現風紀委員長ってどう言う事?この人風子先輩ガチ勢で俺の事大っ嫌いなんじゃなかったの?急ぐから早く来いと、分りました。

そして俺たちは無事一位でゴール。肝心の審査チェックですが、「問題ありません。一位おめでとうございます。」問題なしですと?

先輩、一体なんて条件のカードを引き当てたんですか?


「ん?見たいの?あなたにぴったりのカードよ。」


先輩が見せてくれたカード、そこに書かれていたのは

「騒動の元」


・・・・体育祭実行委員~!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る