第672話 戦場のララバイ (4)
のっぺり>
お前ら今日はお疲れ。
球児>
部長こそ今日は大変だったな、全部任せきりにしちゃって申し訳ない。
バスケ>
それ本当、仕切りから飲み物の注文まで、盛り上げ役感謝です。
打者>
俺この合コンの前に先輩から話し聞いてたんだけど、普通の合コンってもっと緊張感の漂うモノらしいぞ?女子同士の牽制が激しくてとてもじゃないけど一時間も持たないって感じらしい。
二冠>
あ、俺もそれ聞いた。俺が合コンに行くって言ったら真剣な顔で自分の身だけは守れって注意された。
のっぺり>
マジでか。俺合コン自体よく知らないからな。今回だってノリはスタジオS&Bの忘年会や新年会のソレだからな。
走者>
あ~、部長の所の新年会って所属アイドルが飲み潰れるって言うアレだっけ?だったら女性の回しに慣れてる訳だ。普段からお疲れ様です。
役者>
女性陣が暴走しそうになる前に話題を逸らしたりゲームを提案したり、見事なインターセプト。言われればなるほど納得だわ。場数が違うのね。
のっぺり>
それに俺って執事喫茶に行ったりメイド喫茶に行ったり銀座の高級クラブに行ったりって、接客業の現場を見まくってるからその辺の機微は勉強させてもらってるのよ。やっぱプロは違うよ?どうやったらお客様が気持ちよく過ごしていただけるのか常に気を配ってるもん。その集大成が松代大地君なんだけどね。
打者>
執事喫茶にメイド喫茶に銀座の高級クラブ?お前って小説に出てくる遊び人って奴か何かなの?そんな人間が実在したの?しかも男性って、初めて聞いたんだけど。
バスケ>
やっぱ部長は別枠だわ。あんなゲームを提案するだけの事はあるわ。ポッキーゲームだっけ?咥えたポッキーをお互いに食べるなんて発想、尋常じゃないからね?
球児>
あれは怖かったな。さっきまで猫被ってた女性が目を血走らせながら迫ってくる光景はそうそう忘れられないぞ。ポッキーを齧るカリカリ音がいまだに耳から離れないじゃないか。
打者>
那須さんが耳まで真っ赤にしてぶっ倒れた時は焦ったけどな。彼女大丈夫だったのか?
のっぺり>
その辺のフォローは篠原達がやってくれたんじゃないか?那須さんは男慣れしてないからな~。代々続く弓道場の跡取り娘らしい。
走者>
へ~、やっぱり部長の所の学園はそう言ったお家柄宜しいご家庭の子女がゴロゴロいるのかね~。桜泉学園男子は大変だ~。
役者>
でもそんなところの人間に女王様ゲームなんてやらせて良かったのか?彼女たちが変な趣味に目覚めちゃったら大変なんじゃないのか?
のっぺり>
あ~、今回のメンバーはみんなスポーツ推薦で入って来たような連中だからそれほど気にしなくても大丈夫なんじゃないかな?いい所の出は那須さんと一ツ橋さんくらいだし。
球児>
げ、俺って一ツ橋さんにガッツリロックオンされちゃってるんですけど。さっきもレインが何件も入ってたんですけど。
バスケ>
それは自業自得だ。
打者>
あのスタイルにやられた自分が悪い。
二冠>
気持ちは分からんでもないが諦めろ。
のっぺり>
久々に同年代にちやほやされて浮かれたのが悪い。あの手の女性は粘り強いぞ~、しかも根性は全国レベルだし、強く生きろ。
球児>
うぐっ、なんかあったら相談に乗ってくれ。
打者>
了解。お姉様方の事は無理ですが。
走者>
気休め程度ですが。お姉様方の件は諦めてください。
役者>
同年代ならいいけどお姉様方は。負けるな!
二冠>
剛腕は自分でなんとかするでしょう。それより部長、今度俺の走りを見てもらっていいか?今度のインターハイでは四百で結果を出したいんだよ。あっちは今のままだと不安が残るんだよな。
走者>
それなら俺も頼みたい。今年こそ全国に行きたいし結果も残したい。
打者>
田中の所と練習試合組める?こいつらの話し聞いて俺もなんかやる気になってるんで。
球児>
木島の学校なら監督も嫌は無いと思うぞ、なんて言っても最大の難関はお前の学校だからな。今年の夏の大会は甲子園優勝を狙ってるし、ウチも燃えてるからな。
バスケ>
お前ら凄いわ。俺も全国行ってやる。ところで篠原さんに聞いたんだけど部長ってバスケのドリームチームを持ってるらしいじゃない。今度ウチと試合しない?
のっぺり>
あ、あれは止めておいた方がいいぞ。目隠しした状態でインターハイ優勝チームをフルボッコにしちゃうから。お前の所が全国大会でいい結果を出したらその鼻をへし折ってあげよう。
走者>
なにそれ。やっぱ部長っておかしいわ。
打者>
流石部長、周りの人間も人じゃない。半端ないです。
(side:女子会)
「「「お疲れ~。」」」
私立桜泉学園運動部女子寮の談話室。そこでは
「やっぱり凄かったわ鬼ごっこ同好会、この一年でさらにパワーアップしてたんじゃないの?」
篠原真由美は今日の事を思い出し親友の沢田みゆきに声を掛けた。
「だね~、今の佐久間中学鬼ごっこ同好会も結構やらかしてるらしいけど、やっぱり初期メンバーは格が違うよね、各分野で活躍しまくりだもん。甲子園のヒーロー田中君、県大会最強スラッガー木島君、陸上界の超新星鈴木君、短距離の期待の新人後藤君、バスケットの爽やか王子佐藤君、若手ナンバーワン俳優吉村君。
やっぱり彼らは別格だわ。」
お互いに顔を合わせ頷く二人、それほど彼らとの合コンは想定のはるか上であったのだ。
「私噂でしか知らなかったんだけど、本当にあなた達の中学校って凄かったんだね。篠っち今回は声を掛けてくれてありがとう、もう最高だった。」
内海美月は実は初めての合コンであった。まともに男子とお話ししたのなんて何時ぶりだったのだろう。だがそこは全国でメダルを取るほどの猛者、おくびにも出さず無事合コンを乗り切ったことに喜びと共に安堵していた。
「田中様、格好いいです。その熱い胸板、丸太の様な二の腕。私は、私は。あぁ~、田中様~❤」
「私の事を素敵って。エヘッ、エヘヘヘヘヘヘヘ♪」
「今度全国で会おうねって、一緒に頑張ろうねって、鈴木く~ん❤」
「一ツ橋さん、雪、知佳ちゃん帰って来て~!!もう合コン終わったから、男の子いないから!ここは女子寮の談話室だから!!」
妄想に浸る乙女たち、その思考は加速し夢の世界を駆け巡る。
「アハッ、男の子たちが私を取り囲んでお世話してくれるの。私の事を褒めてくれるのよ。でも駄目、私には愛しのひろし様が。そんなに真剣な目で私を見詰めないで、私を悪い女にさせないで~♪」
「那須さーん、それ以上は駄目~!しっかりして那須さん、もう合コンは終わったんだよ、女王様ゲームの時間は終了なの。あれはただのお遊びだから、誰も那須さんを取り合ってないから、ただの設定だから~!!」
いまだに合コンのゲームから帰って来れない那須葵、純真無垢な彼女にとって女王様ゲームはまだ早すぎた様だ。
女王様ゲームと聞いてポッキーゲームを思い出し口元をもぐもぐし始める乙女たち。彼女たちの反省会、もとい
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