シスコン姉はスピーチをする




―――入学式の舞台で学園長が演説を始める




「入学した皆さん、わたくしサイエ・ヴァクスが歓迎しましょう、この学園はそれぞれが学び己を磨くための施設です。それだけは皆さん心に留めておいてください、では代表一年生のスピーチをお願いします」




私は深呼吸をする

ぎゃぁぁぁぁぁ来てしまったよこの時が!!

私は実は入学試験で主席だったのだ

もちろんディランも主席を取りどちらがスピーチをやるか押し付け合いをしていたのだが...無論負けてしまった

私は舞台に出て淑女のカーテシをする



「私、ソフィア・ディスタ・ブルーレイは皆様とご一緒させて学べることを有り難く思います、この学園を通して様々な関わりを持ち自分の才能を磨くために来ました――魔力開花ダ・ゼイア



次の瞬間私が放った魔法で皆の魔力が個々独特な花の形を取る

人それぞれでディランは......悔しいことに綺麗な百合だった

くそ...‥綺麗じゃなかったら誂おうと思ったのに



「皆様はこの通り人それぞれが違います、新たな出会いが来るように願っております――流星運河ベルステア



舞台にはプラネタリウムの様な星が浮かび美しい銀河を作っている

私は再度淑女のカーテシをして微笑んだ

そして舞台から降りてディランの横の席に着いた



「(よく頑張ったね、)」



ディランはヒソヒソ声で囁きクスリと笑った

そんなディランに少し鼓動が速まったのは気のせいだろうか?

うん、気のせいだよね




「では皆様、クラス発表をします」



舞台の天井からヒラヒラとクラス発表紙が配られた

私はディランがキャッチした発表紙を覗く



「ソフィアと一緒のSクラスだね」



「そうですね」



「そうだ、ソフィーって呼んでいい?」



「なんでですか?」



「だって私Sクラスになれたんだよ?ご褒美くらいほしいと思わないかい?」



「ま...まあいいでしょう」



「ソフィー大好きだよ」



ディランは私に抱きついてくる

やめてほしい

考えようよ、ディランくん

まずそんなに抱きしめたら私が窒息してしまうじゃないか

そして周りに居る女子からの視線が痛いんです

だが寛大な私が許してやる

今回ばかり私の心房だ



「殿下、キモいです」



「ソフィー殿下じゃないよ、ディランって呼んで」



ディランは私に絡めていた腕を外し私の顎を上げた

これってヒロインにディランルートをクリアすると最後やるシーンの顎クイ...!

でもねごめんディランくん

私もうアンタと2年間婚約者やってるのも伊達じゃないからこのぐらい1ダメも入ってないよ

まあ本来Sクラスに入るのは本当に大変だ

私もスフィアと遊ぶ時間以外はほぼ勉強やっていたし

仕方ない、呼んでやるか



「ディラン?」



私が首をコテンと曲げて訪ねてみるとディランは顔を真っ赤にした

うむうむ、青春だのう

精神年齢38のオバサンと大違いじゃ



「ソフィー、不意打ちやめて...‥‥」



よっしゃ、ディランに一泡吹かせられた!

ディランの様な絶世の美少年が照れると周りの人が大変でしょ

あらあら性別関係なく令息令嬢が鼻血を吹いて倒れているじゃない

恐ろしいわね...顔面凶器

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