13話 商人と盗賊
グロッソ王国からリトに続く道の途中。
「さっきから火属性の敵ばかりと会うけど、やっぱ砂漠だな」
リト王国は世界の中心に位置するグロッソから南に進んだ場所にある国で、世界地図の南側はほぼ全てがリト砂漠で覆われている。砂漠にはリト王国以外にも国はあるが一番大きいのがリト王国である。
いま二人がいるのはリト王国と一番近い国、ヘケトから出たところで現在進行系でリトに向かっている。
二人が呆然と歩き進んでいると、フードを被り小柄で表情の見えない少女がいた。少女は二人が近くに来るなり陽気な声を響かせ話し始めた。
「そこの旅人さん、ここはとても暑い、火属性のモンスターも多く存在する、火炎耐性の付くポーションや防具の素材を売っている。よかったら買っていかないか?」
そう言って売っているものを見せた。
「全部そこら辺の雑魚から手に入るアイテムだな」
京はそこから去ろうとしたものの、少女も黙ってはいなかった。
「勿論あなた方がとてもお強いことは先程の戦いを見ていればわかりますが、やはりそれでもここでの戦闘に慣れていない様子でしたので…、特に後ろの方が」
こいつ慣れてるな…。どこから付いて来ていた?
京は自分もよくこの手口を使っているからか同業者の手口には気づいているようで、
今の手口は交渉相手を操作するときに使う方法だ。初めに相手を褒めてからその後に至らない点を指摘する。しかもミカゲが初心者だときづいてあえて『後ろの方』の部分を強く言った、面倒くせーやつに絡まれたな。
「お買い上げありがとうございます!」
「…、は?」
京は知っている、ミカゲは一番目を放してはいけないやつだと。
その場所から離れて再びリトへ足を向け進んでいる途中。
「お前ってやつはホント…」
「なぁ京、お前確か楊炎の繭結構高値で売ってたよな?」
「あ? まぁそうだけど…」
「1つ800ギル。アホみたいに高値で売ってたけどお前に比べたら月にすっぽんだな」
「…は、フフハハハ! ホントお前ってやつは…」
800ギルで買い取りそれ以上の値で売る、そして京のボッタクリ商売で京も嬉しい、皆が嬉しい、京はミカゲを見くびっていたようだ。このゲームに来てろくな事をしてないと思っていたが、……ん? 錬金術師よりこっちの方が良くないか?
※ ※ ※ ※
「今日のアイツ思ったより買ってくれた。当分はリトにいるって言っていたしアイツがいる時はお金に困ることはなさそうね!」
一方その頃
「今日のあの商人…、また会ったら稼がせてもらを」
互いに互いのことを獲物としてみている。
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