11話 終わり、そして始まり。

 死神は鎌を大きく振り上げる、そしてそれはミカゲの方に振り下ろされる。


「危ねっ!?」


 素早さだけは優れているミカゲ。間一髪で避けるも避けたところで敵わないだろう。

 スキルもろくに持っておらずダメージもどれほど出るのかすらわからない、そんな状態で勝てる相手ではない。

 死神はミカゲに近づきもう一度鎌を振り上げる。速度は遅い、例え盗賊シーフじゃなくても避けることは可能だろうが一撃でも喰らえば即ゲームオーバーだろう。

 そんな状況でミカゲはどんなことを思っているのだろうか。


 おっそ。こいつおっそ。余裕じゃん、振り下ろした瞬間に近づいて斬れば勝てる。


 まぁ普通ならそう思うだろう。

 死神は鎌を振り下ろした。ミカゲは前に足を踏み込んで素早く攻撃をかわした。

 隙きが出来ダッシュで近づき短剣で斬りつける。

 華麗に着地し誇ったような顔で後ろに振り向いた。そこにはHPバーが全く減っていないデスサイズが鎌を振り上げていた。


 ちゃんと攻撃を食らっていたはずなのに…、ダメージを受けてない!?


 ミカゲの攻撃はしっかり当たっていたはず、何故かHPは減っておらずまた攻撃を仕掛けてきた。

 その時脳裏によぎったのは、『こいつには直接攻撃が聞かない』という答えだった。

 その様な特性を持ったモンスターはいるが、そういったことを知らないミカゲからしたら馬鹿げ過ぎたことだ。

 その後も同じことを繰り返したが攻撃は当たっていて、尚且ダメージは無い。ミカゲにとってはただのチートである。

 だがここで終わるわけにも行かないのだろう、大人しくやられるわけもなく死神の真逆へと走り出した。

 今ミカゲと死神はミカゲの最初の攻撃で場所が入れ替わり、部屋の奥へと進んでいる。

 一見ただあがいてるようにしか見えないが、それは違う。戦いの最中、ある記事のことをおもい出した。


  ※ ※ ※ ※


 それはダンジョンについて調べていたとき。


『ユニークダンジョン? 普通のダンジョンと違ってボスモンスター以外出現することはなく所謂死にゲー?」


 そうこのダンジョンに出てくるボスは例えLvがどれだけ高くとも倒すことが不可能な相手。

 だが負けることしか出来ないわけではない、このデスサイズを倒すたった一つの方法…。


  ※ ※ ※ ※


「確か、お前が苦手なのってこれだよな?」


 ニヤリと片方の口角を上げた、手に持っているのは『王剣おうけんシェーシャ』。神をも食らうと言われる厄災の剣である。

 死神は動きを止めた、他のモンスターとは違い考えることが出来ているのだろう。

 だがこの男は止まらない。今のミカゲに止まる理由は一切ない。

 剣を構え恐ろしい速さで死神の至近距離へ、そして一撃で赤い粒子群と化して消えた。

 戦闘後。

 不思議なことが起きすぎて脳が混濁しているミカゲ、だが目的だったダンジョンの攻略は無事終了した。


 そう言えばなにか忘れて……、なんでもないか!




 



 スキル獲得

  :『影の王』

 条件

  :『王剣シェーシャを手に入れる』

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