6話 職人街「ストリート」

 夕飯を食べ終わり、またあの世界に戻る。

 時刻は8時過ぎ、街の中央で2人は再会する。


「よっす。じゃぁ移動するか」

「えっ? 職業ジョブの話しは?」


 京花きょうかはミカゲの言葉は気にせず、街の大通りの方へ歩いていく。

 京花は不意に止まり、ある門の前で先の方を指さした。


「ここだ…」

「ここは…、商店街みたいな…?」

「間違ってはないな。ここはグロッソの職人街、だ!」


 そこはよるなのか疑うほど明るく、多くの人が行き交い賑わっている。

 京花は門をくぐり奥へ進みだした。

 ミカゲはその光景に驚き、目を子供の様に輝かせ辺りを見る。

 武器や防具を売っている店があったり、アイテムが店一面を埋め尽くす様に置かれていたり、普段は人が多く明かりが強く灯っている場所が苦手な影佑えいすけだが、今は…、この世界ではとして過ごせているのだろうか。


「あーー! やっと来た!」


 歩く2人の前に小柄で水色の髪をした少女が少し怒った様な口ぶりで話しかけてきた。


「ちょっとー、遅い!」

「あー、ごめんごめん」


 話し方や遅いなどの話しをしていることから2人は知り合いなのだろう。


「えーっと…、どちら様?」


 そう聞くと京花は少女の肩に腕を掛けた。身長差がかなりあるからか、うまくは出来ていない。


「こいつの名前は京。現実世界での俺の妹だ」

「どうもはじめまして。えい…じゃなくてミカゲです」

「どっ!? どうも…、はじめまして…」


 さっきの強い口調とは打って変わり、今度はナヨナヨした喋り方になった。

 ミカゲは京花に妹がいることは知っているが、会うのは初めてだった。と言っても、実際に会っているわけでは無いが。


「何でここに連れてきた? 防具買えってこと?」

「違う。お前錬金術師だろ、お前もなんか作って売れば金が手に入りやすくなる」

「作るって…どこで?」

「ここだよ。こいつの店で」


 京花が妹の方を向く。その後ろには、『椿裁縫店つばきさいほうてん』と書かれていた。


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