1話 さぁ、最高のRPGを始めよう。

「よしじゃあ行くか」

「別に学校ある日じゃなくてよくない? 明日土曜で休みだし」

「できるだけ早いほうがいいだろ」


 学校が終わると2人は電化製品屋に足を運んだ。

 影佑えいすけが商品を持ってレジへ行き会計を済ませようとすると、


「お、お前それ…」


 京花きょうかは影佑の手元を指さして言った。


「え、どうかした?」


 京花が指差す先には、影佑の財布。そこには20枚ほどある諭吉さんが…


「お前いつも学校にそんなの持って来てたのか…エグいな」

「いつもこんな持ってるわけ無いだろ。お前が金もって来いって言うから…」


 二人が話していると、レジの店員さんが気まずそうな目で何かを訴えかけていた。


「「…すいません」」


  ※ ※ ※ ※


 その日の夜。お互い自宅に帰り通話をしていた。2人でgrandworldonline《グランワールドオンライン》のことにいついて話していた。


「えっと、明日の昼の2時からだよな?」

「あぁ。まぁ、別に待ち切れなかったらやっといてもいいけど…」


 明日の昼2時から2人でgrandworldonlineをやる約束をしていた。


「いや、まだ詳しく分かってないからやらないと思うけど…、もししたくなったら遠慮なくやらさせてもらうよ」


 そして2人は通話を切った。


「はぁ…よし」


 影佑は一度強く目を閉じ、目を開いた。目をしっかりと開き、その一瞬で影佑の目元がキリッとした。


「まだよく分かってないのはホントだけど…、待ち切れないに決まってるだろ!」


 この男やる気満々である。


 誘われたときはこういうゲームやんないから正直どうでも良かった、けど調べてくうちにちょっと期待してたんだよなー…。


 影佑は凛とした顔を浮かべた。


「じゃっ、やりますか」


 椅子から立ち上がり今日買ったVR機器を頭に取り付けベッドの上に仰向けで横になった。


「さぁ、最高のRPGにしてやるよ!」


 ここから始まる、智美影佑の最高(?)のファンタジー生活。





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