定住
アクリルガラスに打ちつけた雨粒が
景色を点描画にしていく
風の形は
まるく切り取られて
ビー玉のように地面を転がり
一粒一粒に音をもたらす
水族館に匿われた生き物たちの
視点を想像して
お腹が減っていることを
紛らわそうとした
停電の昼
吹き消したろうそくから
ゆらりゆらりと立ち昇ってくる
この部屋の築年数が
食べてきた時間より
食べていく時間を気にしていて
年を取った
人間のようで
背中の軋みを
日記で追ってみたくなる
先日取り壊された
近所の団地に住んでいた
たくさんの日常は
みんな幽霊になってしまって
濃い土の上にあぐらをかきながら
入道雲が弾けるのを
今か今かと楽しみにしていた
外をかき乱す巨大な季節に
なすすべもなく灰色を塗りたくられて
僕は赤色の服を着てきたことを
少し後悔した
荒っぽいタッチで
感情を探したりして
休日に当てはめてみる
隙間から風が吹いて
口笛のような優しさが満ちるこの部屋に
僕はずっと住んでいるから
今日外を転がっている音が
育たずにすぐ枯れるだなんて
思いもしなかった
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