第4話
―ねぇ、ねぇってば、起きてよ。起きてってば―
ん、、、誰、、、?しかも私寝てないし、、、
―ほら、“こっち”においでよ。遊ぼうよ―
少しだけなら、、、
―良かった!じゃあほらこっち!おいでよ!手繋ぐから!―
ありがとう、、、
ねぇ、どこまでいくの、、、だいぶ遠くまで来たけど、、、?
―え、なんでよ。来てくれるって言ったじゃん―
、、、え?
―“私たち”の世界に―
、、、いやぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!!
—―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「いやぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!」
絶叫すると私はベッドから飛び上がって起きる。どうやら眠ってしまっていたらしい。最近眠れていなかったので眠れたのは良かったが、夢の影響でまだ心臓はドクドクと激しく脈を打つ。頭に爪を立ててかきむしっていたのか、枕には血の跡が点々と残り、手は自分の血で濡れていた。またやってしまった。今日みたいな日に見てしまう夢。私の、死への夢。本物じゃないって分かっていても、怖くて怖くて、いつも目が冴えてしまう。“あの日”からいつもそう。死のうとした次の日に、いつも引きずられて死から助かる夢を見る。だから、最近は夢を見ることが怖い。でも一番は、自分がこの状況を実現させてしまいそうなのが、怖い。
「ちょっと、大丈夫!?!?」
ああ、来てくれた。私の主治医。彼女が、私の精神を安定させていく。荒狂う
「ごめん、もう大丈夫。」
「本当に?無理して無いでしょうね。」
「そんなことしても無駄だって、先生が1番知ってるでしょ。」
「、、、それもそうね。また眠れないの?睡眠薬出そうか。」
「いや、大丈夫。あれ、結構強いからよく寝れるけど、その代わりの副作用が強すぎてあんまり好きじゃ無いから。」
「だとしても貴女は一回よく寝るべきよ。じゃないと今度は他のところまで消耗していくから。」
「、、、先生が、そう言うなら。」
「決まりね。今持ってくるわ。この前から体重とか変わってないわよね。」
「うん。そんなにがらりとは。」
「オッケー、ちょっと待ってて。」
そう言って彼女は病室から出て行った。本当にあの先生は優しい。
「私も優しい先生は大好きだけどさ、あまりにも多すぎる優しさは、逆に人を傷つけるよ。」
私みたいに。
もう誰も来ない病室でひとり取り残された私は、主治医の行った方向を見ながら、それとなくつぶやいた。応答なんて求めていないはずなのに、何故かここにはもういない親友の声が無性に聞きたくなった。
表裏世界 月影 星葉 @H-Tsukikage
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