第3話
「今日もやっちゃった?最近はやけに多いけど。」
彼女がため息混じりに私がさっき思っていたことを呟く。
「何も記憶がないから多分そう。まあ、いつも言ってるし言われてることでもあるけれど、本当に記憶がないだけで自分がやったことが否定できる訳でもないからどうかは分からないけど。回数が多いことは確かにね。最近暴走が加速してるみたい。毎回助かっているからいいものの、体が毎回強く痛むのは堪えるわ。」
私もため息がちに応える。
「“彼女”と話せたらいいんだけど。一応の症状から病名はつけたけど、実際にその現場は見てないからねぇ。」
「仕方ないですよ、“あの子”は私が一人の時にしか出てこないから。私もどんな子か見たくてカメラとかつけたことあるけど、その時には現れなかったし。用心深いのか、先生が余程怖いのか、、、フガッ」
「おい、今なんつった?」
(そういう所が怖いんです!)
とは思ったがそんな事を言ったらヘッドロックをしている主治医の腕が更に絞まって自分の頭をさらに絞めることになるだけなので黙っておく。
「いや〜、別に?何もっ?」
わざと軽めに言ってコテン、と首をかしげてみた姿に拍子抜けしたのか、頭への締めつけが緩む。その隙に体を軽くひねって脱出する。かなり強めだったのと全身打撲した直後ということもあり、頭がガンガンした。
「まじで容赦ないんだから、、、私一応患者だぞ、、、まだ頭がぁ、、、」
ぶつぶつと文句を言っていると、
「ほぉ、まだお仕置きがいるか、、、?」
指の関節をコキッコキッと鳴らしながら主治医がニヤニヤと言ってくる。
「勘弁!ムリッ!」
私は即座に白旗をあげた。全く、この人はすぐさまそういう方向に持っていこうとするのだから敵わない。でも、そんな風に同年代の友達の様に接してくれるのが嬉しかった。でも、、、
「でも本当にお仕置きしても良かったかもしれんな、、、最近毎日呼び出しくらうし、、、そもそもねぇ、あなたが、、、」
ああ、また始まった、、、。主治医のお小言。始まると半永久的に続いてる気がする。
私は耳を塞ぐと布団を頭からかぶって小さく丸まった。
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