盗賊と蛮族

 強大なるガノン。戦神せんじんの寵愛を受け、戦士として、指揮官として勇名を記した。そして南方蛮人の生まれでありながら、中原の王として時代に名を馳せるまでに至る。


 彼の築いた王国は、ほぼ一代のみの国でありながら壮健を誇り、黒河から白江に至るまでのあらゆる民を尽く、その威光によってひれ伏させた。これはそのガノンが、ガラリアなる女遊び人と連れ立っていた頃の物語である。


 ***


 街には既に、夜の帳が降りていた。神々が座すと言われる星々がきらめき、人々の視界は夜闇に閉ざされていく。そんな中。その一角、しかし明らかな高所にある屋敷には、異様に物々しい警備が敷かれていた。私兵と思しきまちまちな装備をした男どもが各所に立ち、視界を確保するためか篝火までもが焚かれている。明らかに、常の状況ではないことが見て取れた。


「【旋風つむじかぜのナピュル】め……来るなら来い」


 屋敷の中、一際広い一室に目を向ければ、そこでは主人と思しき男が怒りに打ち震えていた。明らかに眉間にシワを寄せ、椅子の肘掛けに添える手は握り締められている。憤懣やる方ない様子が、あまりにも容易に見て取れた。とうに地肌が見えるほどにまでなった頭部の上から、湯気が見えそうなほどだ。


「……」


 一方でその傍らへと目をやれば、そこにはこれまた不似合いな男女が並び立っていた。一人は半裸を晒し、下穿きと粗末な靴のみを身に着けていた。背には手頃な剣を備え、黄金色にけぶる瞳を遠くへと差し向けている。顔を構成する要素は押し並べて大きく、肌は陽に良く灼けた褐色。髪は火吹き山を思わせるかのように赤く、肩を越え、蛇の如くうねっていた。その肉体は小高い山を思わせ、背中以外にも類稀なる筋肉を備えており、異様なまでに盛り上がっていた。

 とはいえ。明らかな南方蛮人の身体つきであることを除けば、男はまだ戦の出で立ちである。この場に立っていることも、まだ理解できた。問題はいま一人、女の方である。まず、女であることそのものが異様であることは相違ない。そしてこの女は、武人ですらなかった。黒の一枚装束を身に纏い、太腿や胸元からは、わずかながらに素肌を覗かせている。口元には紅が引かれ、目元には瞳を強調するような拵えが施されていた。髪の色は黒く、しかし短い。つまるところこの女は、遊び人の類だった。言動の駆け引きと鍛え上げた手業でもって、荒野を渡り歩く漂泊である。何故に彼女はこの場に立つのか? 連れ合いか? それとも、なんらかの策か? その内情は、未だ見えずにいた。


「すでに、夜半も近いな」


 二人のうち、男のほうが口を開いた。その視線、未だ意気軒昂。茹だるような空気の中で口をきける度胸は、感嘆に値するものである。


「寝ずの番だと、言ったであろう」


 主人が男に、言葉を返した。ただでさえ湯気が見えそうな頭部から、さらに熱が噴き出したようにも見える。主人の苛立ちは、すでに頂点に達していた。


「承知している。おれはそのつもりで、契約を受けた。だが、連れは約定に筆を入れていないはず。眠る権利ぐらいあるだろう」

「ガノンの旦那」


 その様子を知ってか知らずか、男はそこに抗弁を重ねる。そこに割り込んだのは、遊び人の女だった。


「アタシは問題ないさね。そもそもここに乗り込んだ時点で、そのくらいの制約は覚悟の上さ。いくつか仕込みまでさせてもらっておいて、約定に参じていない? そっちのほうが、話がおかしいよ」


 朗々と、堂々と男二人の会話に割り込む女。少々丘陵のある胸を張り、目を輝かせて言い放つ。その言葉には自信と、責任への意識が窺えた。いずれにせよ。ガノンと呼ばれた蛮人の懸念は、やや的外れだったようである。


「……ガラリアがそれで良いのなら、おれも良しとしよう」


 いかなる感情が去来したのか? 僅かな間の後に、ガノンは女の言を承諾した。苛立っていた主人も、これには顔を綻ばせかけるが。


「コホン! ともあれ、【シンヂッチの腕輪】は我がいえ最上の家宝である。それに対してナピュルは、こともあろうに挑戦状を叩き付けてきた! 貴様らが護り切れぬのであれば、全員まとめて剣の錆としてくれる! 覚悟しておけ!」

「契約を交わしておきながら、使命を果たせぬ。それは戦神にもとる行為。契約神より、罰を下される行為。故に、可能な限りのことは為そう」

「怖い怖い。そんなに茹だっていると、肝心な時に視野が狭くなっちまうよ」


 感情の波を隠すように、再度不機嫌な言葉を放つ主人。そんな彼に、ガノンとガラリアと呼ばれた女は、それぞれの忌憚なき主観をぶつける。しかし直後、主人の顔がにわかに曇った。


「……とは言ったものの。肝心の輩が来ぬではどうにもならぬな。ナピュルは近郊で名うての盗賊。流石にここまでの防御を敷けば」

「さて、ね。備えを固めているのは、向こうも承知の上でしょう。今頃、策を練っているだろうね」


 ぼやくような言葉に、油断を許さぬ発言を乗せるガラリア。ガノンはといえば、黄金色にけぶる瞳を、不機嫌じみて天井へと差し向けている。その天井は、異様なほどに――


「来る」


 ガノンが、一言つぶやいた。直後。高々とした、豪奢な天井の一部が砕け散る。そこから躍り出たのは――


「おまっとさんでした。【旋風のナピュル】、ここに参上」


 旋風を纏っているのか、その姿は見えず。ただただ旋風と、周囲に巻き上がる物質の数々が、敵手の存在を周知するのみ。人語を発する以上、ナピュルが人、もしくは近しい種族であることには相違なかろうが――


「行くぜ」


 主人。そしてガノンとガラリア。三人が動かぬのを見たナピュルが、瞬く間に先手を奪う。しかし次の瞬間。


「残念。アタシがここにいる訳をわかってなかったね?」

「うっ!?」


 ナピュルの足が止まり、にわかに赤い血がこぼれ落ちる。そこにあったのは目では察知できないほどに細い鋼線。遊び人が、悪どい手業を駆使する際に使う道具だ。ガラリアはそいつを、この部屋に巡らせていたのである。


「ちいっ!」


 傷を負ってなおナピュルは旋風に護られている。その旋風が、今度は高く舞い上がった。しかしそこに向けて、一直線にガノンが迫る。戦神の加護か? あるいはガラリアの手業か? 彼の行く道に鋼線はない。傷を負わない。そのまま一息に、風へと間合いを詰める。


「覚悟」

「そうそう上手くいくと思ってんじゃねえぞぉ?」


 空気の乱れをものともせず、旋風を斬り付けんとするガノン。しかしその攻撃は、横合いより阻止された。足技と思しき一撃が、刀身を引っ叩いたのだ。剣の軌道はそらされ、そのまま旋風は逃げ延びる。そして。


「どうにも護衛が腕っこきさんのようだなぁ。これじゃあらちが明かねえ。ブツを貰って、とっととお暇しますか」

「きゃっっっ!?」


 言うや否や、風が勢いを増し、鋼線を引き千切る。道を得た旋風は、瞬く間に主人へと迫った。ガラリアは伏せ、動けない。ガノンも防御態勢だ。それでも主人は怒りに任せ、剣を抜いて立ち上がらんとし……


「ナピュルめ! 我が剣の錆に……」

「おっと。アンタは眼中にねぇんだ。俺のお目当ては……」

「でえっ!?」


 その頭頂を、旋風に踏み越えられた。そしてそのまま、風は硝子箱――主人の背後に、しつらえられていた――へと迫る。そこには金に輝く、宝石を嵌めた腕輪が納められていた。


「ナピュル、貴様……!」

「待て!」


 ガノンが雷の速さでナピュルを追う。しかし風の方がわずかに速かった。硝子箱が砕かれ、腕輪が消える。直後。


「待てと言われて待つ人間が、どこにいると思う? じゃあなっ!」

「うぐううっ!?」


 旋風が突如として勢いを増し、部屋中に荒れ狂った。ガノンは主人を伏せさせざるを得ず、ガラリアは動けないまま。誰も一人として阻止に動けぬまま、時は過ぎて――


「……貴様らぁ!」

「遅れを取った。その事実だけは痛感している。責任は負う」


 風が過ぎ去った時には、荒れに荒れ果てた部屋と、天井に空いた大穴だけが残されていた。


 ***


「はてさて。『時を惜しまず奴を捜せ』とは言われたものの」

「こんな広い街じゃ、荒野で砂金の一粒を探すようなもんだねえ」


 翌朝。ガノンとガラリアは連れ立ち、街に繰り出していた。無論、物見遊山ではない。昨晩逃げ去った【旋風のナピュル】を見つけ出し、捕らえる。その使命が、二人には課せられていた。


「ともあれ、昨日は執事に助けられた。あの主人、あれであの有能を飼っていた、というのには驚きだ」

「先祖代々とは言っていたけど、よくもまあ見切られないもんだよ。不思議だねえ」


 朝の市場を練り歩き、二人は街雀の声に紛れて語り合う。その傍らでよくよく耳をそばだてれば、すでに口さがない者たちが今回の件を語っていた。いわく。


「強欲ジェッパードが家宝の腕輪を狙われた挙げ句、頭を踏まれて見事に盗られたらしい」

「ジェッパードは百の私兵と腕利きの護衛を雇い入れたにもかかわらず、面目を潰されたようだ」

「ジェッパードは烈火の如く怒っており、今日のうちにも捜索隊を街へ繰り出させるらしい」


 などなど。噂の速さ。そしてどこから聞きつけたのかと思うほどの正確さ。ガノンは思わず舌を巻いてしまった。おまけに言われようから察するに、あの主人は相当の悪評持ちらしい。むしろナピュルを讃える声さえ聞こえたほどだった。これにはガノンも、顔をしかめざるを得なかった。


「路銀欲しさに、請け負うべき仕事ではなかったやもな」

「やっちまったもんは仕方がないさね。なんとかこなす方が先決だよ」


 常ならばなんとしてもこらえる後悔の弁。しかし今回ばかりは溢れ出す。そんなガノンに、ガラリアから繰り出されるのは叱咤だ。さもありなん。後悔したところで腕輪も時間も帰っては来ない。……否、腕輪については、そろそろ真実を語らねばなるまい。


「とはいえ、笑いをこらえるのには苦労したぞ」

「仕方ないね。さすがに嘘がバレちゃあおしまいだから」


 人気の少ない路地裏にて、二人が笑う。それもそのはず、ナピュルが手にかけた腕輪は――


『あるじ。ご安心ください。アレは贋物イミテーションにてございます』

『な、なんだとぉっ!?』


 時は夜半過ぎへと巻き戻る。怒りに我を失った主人――強欲ジェッパードが、今にもガノンたちに刃を向けんとした瞬間。割って入ったのは、別室に控えていたはずの執事だった。


『勝手ながら、わたくしが本物と瓜二つを造らせていたのでございます。昼の内に、それをひっそりと差し替え……こちらに』


 おお、見よ。執事が持ち来たった真なる【シンヂッチの腕輪】。その輝きは、硝子箱に封されていた物とは似て非なるもの。否。決して奪われた腕輪が悪いわけではない。真なる【シンヂッチの腕輪】が、あまりにも豪奢なのだ。


『おおっ、でかした! だが勝手働きは許さんとあれほど……』

『承知しております。罰は如何ほどにでも受けましょう。ですがあるじよ。どうかこの事実は内密に。ナピュルをより長く騙すためにも』

『む、む……わかっておる!』


 かたや、喜びと怒りをないまぜにしながら百面相を見せるジェッパード。かたや、冷静な顔をしながら恭しく主人を立てる執事。ガノンから見てもガラリアから見ても、常の関係が想像できる状況だ。そして執事は、二人の方を見て話を続けた。


『さて、護衛のお二方』

『なんだ』

『お二人には明朝、探索に出ていただきます。そうですな……表向きは、怒れるあるじの命にて、時を惜しまずに探索し、ナピュルを引っ捕らえて来ること』

『む』


 明らかに毛色の違う指示に、ガノンは顔を歪ませた。そこへガラリアが割り込む。表情の変化を見て取った、彼女なりの手助けだ。


『表向きってことは……なにか策があるってことだね?』

『さてさて、どうでしょう。存外に大物が釣れる可能性もありますからなあ』

『アンタ、食えない男だね』


 ガラリアが口角を上げる。しかし執事は表情を崩さない。ジェッパードは己が無視されていることに口を荒げていたが、場の誰一人として、そちらへ意識を向けることはなかった。


「……とまあ、一通り探索はしたが」

「ガノンの旦那が、滅入る気持ちもわかるさね」


 時は再び、現在へと戻る。路地裏、壁に背を預けるガノンの気力は、ハッキリと言えば萎えていた。いかに路銀の不足を埋めるためとはいえ、半ば悪党の手助けに首を突っ込んでしまった感さえもある状況だからだ。黄金色の瞳は不機嫌にけぶり、常ならば荒々しくいからせている体躯も、どこか萎んだようにさえ見える。気力の充填一つで、人はここまで変わるのか。常ならぬ姿に、ガラリアもまた心を痛めていた。

 だが、彼女にはこの男を立てねばならぬ理由があった。そうしなければ、彼女は狩られる側なのだ。技を見抜かれた遊び人は、たちまちの内に標的カモにされる。荒野の厳しい哲学を、この女もまた知り尽くしていた。


「しかし始めてしまった旅路は、終わらさないといけない。つまるところ、終わらせ方だねえ」

「そうなるな」


 不機嫌を隠さぬままの目を遠くへ差し向けながら、ガノンはガラリアに応じた。一度役目を請け負った以上、なんとしででも腕輪は護らねばならぬ。さりとて、あの強欲で傲慢な主人を高笑いさせるのも、こちらとしては少々腹立たしい。と、すれば。いかに?


「それについちゃあ、俺に少々腹案があるんだが。乗るかい?」

「何奴!?」


 不意に割り込んで来た第三の声。二人は慌てて、その方角を向く。視線の先には、男とも女ともつかぬ人物。不敵な笑みを浮かべた、未だ年若く見える人相だった。背丈はガノンの七割程度。中肉中背。出で立ちは、市民たちが常用するような白地の上下。下は膝丈。かんばせは大変に整っており、髪は金の直毛が肩まで。その事実が、より一層性別の判断を難しくしていた。ともあれ人物は、先手を取って二人に一礼した。


「おおっと。そうだ、普段は風に紛れてたっけ。昨日はどうも。この俺が、【旋風つむじかぜのナピュル】だ」

「……」


 直後、無言のままにガノンが動く。一息に数歩を詰め、瞬く間に討ち取らんとする動き。だが――


「ガノンの旦那。ちょいとお待ちよ」


 ガラリアからの言葉が、すんでのところでガノンを止める。あと一歩でも詰まっていれば、ナピュルの首が飛んでいただろうか。ともかく、両者は顔を突き合わせる位置で睨み合った。そして。


「……いいだろう。おまえに預ける」


 一体、いかなる心境の変化であろうか? ガノンは剣を背に納め、ガラリアに主導権を譲り渡した。ガラリアの後ろへと、立ち位置を改めたのである。常のガノンを知る者であれば、これがいかに異様かはわかるはずだ。常に己の信念に従う男が、他者に行動を預けた。まったく不可思議な行動である。


「助かるよ。で、自称ナピュルさん」

「おいおい。俺を疑ってるのかい?」

「気を悪くしたならごめんよ。疑うと言うよりは『確証がない』と言ったところさね。昨晩だって、アタシたちは顔を見てないしね。そもそも」

「まあなぁ。わざわざ下手人が、追手の前に顔を出すかって話だ」


 ナピュルが、ケラケラと笑う。その顔はいやに人懐っこい。追手側という事情がなければ、あっさりほだされてしまいかねない笑みだった。


「その通り。まがい物ならとっとと帰る方が身のためだ。ホンモノなら、両手と腕輪を差し出しな。そうしてくれたら、アタシは見逃しても良い」

「嫌だね。アンタが見逃しても、そっちの南方蛮族……見たところ、ラーカンツ辺りかい? まあいいや、ラーカンツの民が、俺を仕留めるって話になる。俺にはわかるんだ」


 ナピュルが肩を竦める。ガラリアはしばしその表情をじいっと見つめた。遊び人とは、賭けを生業なりわいとする民である。相手の目を見、真偽心中を見透かすことは、初歩の初歩と言ってもいい。ややあってから、彼女は目を外した。そしてナピュルにならい、肩を竦めた。


「参ったねえ。アタシの脅しも通用しないと来た。ついでに、目を見る限りは言ってることも本気だよ。ガノンの旦那、どうするね?」

「聞くだけならば、構わん。話に乗るかは、それからだ」

「ありがてえ。俺だって、なにも無為にアレを狙ったわけじゃあないからな」


 ナピュルが、苦笑いを見せる。ガノンは表情を崩さない。両者の空気は、戦一歩手前のままだ。それを崩すためであろうか。ナピュルが、唐突に口を開いた。


「俺が贋物を掴まされた【シンヂッチの腕輪】。アレは元はと言えばコッチのモンだ。聞くこと聞いて、多少でも思うことがあったなら。どうか俺の腹案に乗ってくれ」

「……」


 その時ガラリアの見たナピュルの目には、曇りが一片たりとも見えなかった。ガノンが、小さく息を吐く。僅かの間、沈黙が流れた。そののち。


「いきさつを聞こうか」


 話を切り出したのは、ガノンだった。ならず者特有の話術か? あるいは、己の立場を優位にするための手管か? あらゆる可能性に思考を馳せた結果、遂にガノンは率直な決断を選択したのだ。その間ナピュルは、不動のままに二人を見ていた。なんたる胆力。なんたる精神力。


「ありがとよ。まあ長くはない話だから、構えずに聞いてくれよ。これでも俺の先祖は、元々貴族をやっててね」

「へえ。お貴族様だったんだ」

「そうだ。俺の三代前までな」


 ガラリアが挟んだ相槌に、ナピュルはすかさず切り返す。彼女は内心で舌を巻く。なるほど。たった一人で、盗賊として名を成すだけはあるのか。少なくとも話術、頭の回転においては、一定の力量が窺えた。


「そう。三代前だ。俺のひいじいさん。ソイツが政争に負けて、手酷く破滅した。ひいじいさんは蒐集家でもあり、いろんな品を集めていた。だが、ソイツも全部散逸しちまった」

「つまり例の腕輪も」

「そういうこった。どういう流れかは知らねえが、【シンヂッチの腕輪】は、元来アイツの持つべきモンじゃない。取り返させてもらう」

「……」


 ガノンは、思わず腕組みをしてしまった。ナピュルの言うことが真実であれば、己が取っている行動の正当性が低くなる。戦神に対し、罪を贖わなければならぬやもしれぬ。しかし。


「とはいえ、我々も契約を交わしている。それを破れば、契約神の加護により」

「だろうなぁ。わかっちゃいるさ。あのジェッパードが、その辺りをぬかるわけがない。アイツは、自分の財を護ることに懸けちゃ一流だ」

「よく調べてるねえ」

「俺は盗賊だぜ? 相手を知らなきゃ、盗めるモンも盗めねえ」


 ナピュルの口角が、わずかに上がる。一方ガラリアも、口の端をにわかに動かした。どうやら互いに、思うところがあるようだ。


「ともあれ。一筋縄じゃいかないことは俺もよーくわかってる。そこで、だ」


 ここでナピュルが数歩、間合いを近付けた。ガノンは反射的に警戒態勢を取る。しかしガラリアが、仕草だけでそれを阻んだ。ナピュルは容易く接近し、二人の前で声を潜めた。


「ちょいと聞いとくれ。コイツは俺の腹案だ。俺は明日の夜、再び盗みに入る。そこで……」

「そこで、どうするんだい? さては、仕組み勝負」

「いいや。勝負自体は真っ当にやる。俺も、ラーカンツの旦那とはしっかり決着を付けたいからな」

「ガノンだ。なるほど。だが、さすればおまえに勝機はないぞ。契約に基づき、戦神に誓って。おれはなにがあろうと勝利する」


 ガノンは訝しんだ。大きいパーツで構成された厳つい顔が、疑問に歪む。ナピュルが、今度こそ真っ向勝負を挑んでくるのであれば。それはガノンに敗れて終わる戦いである。ガノンにとっては、そうなるべき戦いだからだ。


「だろうな。だが、俺だって腹案は使いたくない。だから、ここで手を組むにしても。俺の手の内は伝えねえ」

「構わん。戦神に誓って、おまえの護りを打ち破って見せる」

「旦那がいいと言うなら、アタシはなにも言うことはないね。問題はアンタの腹案だよ」


 ガラリアからの問いに、ナピュルは一際声を潜めた。人通りの少ない街角に、陰謀の声だけが響く。


「なぁに、話は簡単さ。俺が捕まり、アンタたちがジェッパードから報酬をせしめる。そうすりゃあ、アンタたちを縛る契約は終わりだ」

「なるほどね。読めたよ」

「そう言ってくれると、ありがたいぜ。旦那は?」

「……いいだろう」


 水を向けられたガノンは、言葉少なにうなずいた。彼は陰険な策、戦いをかき乱すような策を好まない。だが、此度の策略自体はそこまでのものではない。そしてなにより、ナピュルとの戦に嘘はない。その事実が、彼にこの陰謀を許諾せしめていた。


「よし。協定成立だ。俺はこれからジェッパードに予告状をぶつける。すべては、明日だ」

「うむ。覚悟しろ。おれは戦神に誓っておまえを砕く」

「期待してるぜ。じゃあな」


 ナピュルの姿が、突如起こった突風に包まれる。巻き上がる礫から二人が己を守った後。路地からすでに、盗賊の姿はかき消えていた。


 ***


「すべては今夜だ!」


 翌朝。強欲ジェッパードは小太りの体を揺らして息巻いていた。先の邂逅で二人に告げられていた通り、ナピュルから再度の予告状が叩き込まれたのだ。かの執事が施した欺瞞は見破られ、再びの決戦が確定した。この事実は、ジェッパードを滾らせるには十分だった。


「特にそこの蛮人と女! わかっているな? 我は貴様らをポメダ五百金で雇い入れた。この通り、契約神に誓いを立てた書面もある。破ればどうなるか……」

「わかっている」

「今日も今日とて、茹だってるねえ。大丈夫だよ。契約神の怖さは、よーく知ってるからね」


 ジェッパードに粘っこい視線を向けられたガノンとガラリア。そこに一昨日の失態を咎める要素があったのは明白だ。しかし二人は、極めて冷静にそれをさばいた。そもそもこの程度の脅迫で縛られるほど、二人は惰弱ではない。荒野の旅で磨き上げた、強靭にしてしなやかな意志が備わっている。


「フ、フン! わかっているならいい! 布陣は先日と同じだ。同じ轍は許さん。必ず奴を捕らえろ」

「わかっている。今回はおれも、抜かりなく行く。ガラリア、構わんな」

「あいよ。例の仕掛けは?」

「要らん。おれが仕留める」

「ん。了解。護りについては……」

「あれについては、予想がすでにできている。なんのことはない。戦神に誓って打ち破る」


 ジェッパードからの威圧をさらりといなし、二人は己の迎撃案を組み立て始める。これにはさしもの強欲も、黙って見送る以外の方策を持たなかった。かくして、時は夜を迎え、草木の精も寝静まり返った頃――


「来たぜ」


 敵は、あまりにも正面から現れた。風の護りを活かしてなのか? 正面――部屋の入口から現れたにもかかわらず、血の臭いなどは一切漂って来ない。私兵とはいえ、五十は下らぬ男どもをすべていなしてきたというのか? あるいは――


「風を利して、すべてを飛び越えたか? それだけの技があれば」

「ラーカンツの旦那。それだけは、それだけは言っちゃいけねえ。俺にだって、盗賊の矜持ってモンがあるんだ。姿を見せずにただ盗むなんざ、ただのコソ泥。コソ泥と盗賊は違うんだ。俺ん中じゃあな」


 相手は、風の護りを絶っていた。男とも女ともつかぬ背格好を保ち、紳士然とした衣服に装いを改め。己こそが旋風のナピュルだと、指し示していた。直後、再び風が、ナピュルを包む。


「だから行く。俺は、堂々と盗む。アンタを倒してだ」

「ならば倒す。約定に沿い、戦神に誓って。おれはおれの力で、おまえを倒す」


 ガノンの身体が、ほのかに光る。戦神の祝福が、蛮人を包む。戦神の加護と、風の護り。始まるは、真っ向勝負!


「ラーカンツの旦那はそうだよなあ! だからこそ、俺は行く!」


 風に隠されたナピュルが、大きく跳ねる。尊大に構える、ジェッパードへ。その奥にしつらえられた、【シンヂッチの腕輪】――今度こそ正真正銘の本物だ――が入った硝子箱へ。しかしガノンも、それは見切っている。風を目掛けて、足を踏み切る。


「弾かれるぜ?」

「おまえのカラクリは見切った」


 空へと舞ったガノンの身体が、激しく旋回する。ナピュルを包む旋風とは、逆の方向にだ! 両者はぶつかり、激しく弾き合う。さながら童の遊びでぶつかり合う、独楽の如しだ! そして独楽の勝負であれば――


「ぐうっ!」


 体躯に勝る、ガノンが勝つは必定! 弾かれたナピュルから風の護りが消え、床へと落ちていく。その肉体を包む衣服は、あちこちが裂けている。両者の激突が、激しいものだったことの証左である!


「逃さん」


 ガノンも着地し、ナピュルを追う。自身の身体を旋回させていたにもかかわらず、その足取りは確か。なんたる加護か。その身体には、傷の一つさえもない。なんたる頑健さか。


「そうはいかねえ」


 しかし墜落したナピュルとて、そのまま終わるほどの弱者ではない。再び己を風で包み、ガノンへと向かう。追撃は許さない。その間に例の執事が室内へ入り、ジェッパードを別室へ逃がす。前回の轍を踏まぬためにだ。


「ふんっ!」

「あらよっ!」


 ガノンが剣を振り下ろす。風ごと断ち割らんばかりの勢いだ。だがナピュルもただでは斬られない。軽業師じみて、己が身体を後方に浮かせた。さらにそのまま一回転。風の助けかその身は軽く、いとも容易く剣をかわした。しかしガノンは、諦めなかった。二撃、三撃。次々とナピュルを襲っていく。そして恐るべきことに、その速さは次々と増していく。四撃目には嵐と化し、六撃目には竜巻じみて風の護りを相殺し――


「ぐっ!?」

「貰った」


 八撃目。遂にガノンの剣が盗賊の腹をかすめた。盗賊の身体が、わずかに後ずさる。そしてガノンの腕が、ナピュルを捉えた。己の側へと引きずり込み、腹の傷を目掛けて拳を一撃。ナピュルはたたらを踏むことも叶わず、うめき声。その時遂に、風が止まった。


「……」

「やはりか」


 盗賊ナピュルの、紳士がかった出で立ち。その腕を捲り上げたガノンは、己の予想が正しかったことを確信した。その肌には、風神を讃える紋様が彫り込まれていたのだ!


「旦那が初めてだよ。このカラクリ。予想はされても、真実を見た奴だけはいなかったんだ」

「だろうな。風神紋様、そうそう楽には破れまい」


 ガノンとナピュルが、目を合わせる。しかし盗賊の口はまだ動いていた。ガノンはすかさず、そこへ拳を叩き込んだ。ここで逃がすほど、ラーカンツの男は甘くない。盗賊の歯が折れ、口から血をこぼす。ガノンの視線は、そのすべてをしかと捉えた。


「チィ、油断の一つさえもしてくれないか」

「当然だ。戦において気を緩めるような輩を、戦神は愛さぬ。戦神は、常に戦場いくさばにある者のみを愛するのだ」

「……負けたな。ああ、参った。旦那のお縄になるなら、俺も税を納めてやるよ」


 恨み言じみた言葉を吐きつつも、ナピュルが膝を折る。ガノンは離れて戦況を見ていたガラリアを呼び寄せ、縄を借り、その身体をしっかりと縛り上げた。この後の策が残っているとはいえ、ここまでについては細工なし。それが、三者の取り決めだった。その時。


「ハッハッハ! 見事見事! 旋風つむじかぜのナピュルよ、縛に就いた気分はどうだ!」

「ヘッ。こうなるんだったら、腕比べよりも速攻だったかねえ。俺もヤキが回ったもんだ」


 執事を引き連れ、強欲ジェッパードが現れる。小太りの体を揺すり、その尊大さはいよいよ極まっていた。だがナピュルとて、口を塞がれているわけではない。減らず口を叩くほどの胆力は残されていた。


「フン。反省だけならましらでもできる。貴様はこれより、刑場の露となるのだ!」

「刑場に連れてってくれるのかい? 存外に慈悲があるもんだな」

「見せしめにせねば、今後も不遜な盗人が出ないとも限らん。貴様は朝になり次第四つに引き裂き、街に晒すのだ。死してもなお、辱めてくれる!」

「やってくれるぜ」


 強欲と盗人が言葉を交わす。カノンとガラリアは、そのさまをじっと見ていた。そして、言葉が切れたところを見計らい。


「ともかく、ヤツはこの手で捕らえた。報酬をよこせ」


 敢えて蛮人の振る舞いで、ガノンは口を開く。従来ならば、しない。だが、すべてはこの後の行動にあった。ナピュルの残した、【腹案】である。


「そうさね。少々不躾だけど、貰うものは貰わなくちゃ」


 ガラリアも口を揃える。すべては、この強欲な男との【契約】を絶つためだ。


「フン! 蛮人というのはどこまでも野蛮よな! 執事!」

「はっ」


 強欲が苛立ち紛れに言葉を放てば、執事は即座に袋を取り出す。その重みからすれば、触れ込み、そして約定通りの五百金は下らない。


「契約の際、我は捕らえれば倍額と言った。だが、貴様たちは一度あやつを取り逃がしておる。故に、据え置きだ」


 ジェッパードの嫌味混じりの言葉を、ガノンは無言で受け流す。そもそもガノンにしてみれば、妥当な裁定でもあった。あの折ナピュルを取り逃がしたのは、己の責任である。それを打ち消さずして倍額を得るのは、矜持に反するとも言えた。ガノンは一応の礼節を尽くし、金子入りの袋を受け取った。


「ありがたき幸せ」

「フン! これで用は済んだであろう。さっさと出て行け! いかに急場とはいえ、屋敷に蛮人を招き入れたと知れれば、家名に傷が付くわ! 執事、酒を用意せよ! これより酒宴を開く!」


 ジェッパードは唾棄混じりにガノンを追い払わんとする。しかしガノンは、その場を動こうとはしなかった。小山を思わせるような身体を屈め、じっと佇んでいる。ジェッパードはいよいよ、苛立ちを増した。


「どうした蛮人! 契約はすでに終わった! くと去れ! さもなくば……」

「契約は、切れたな?」


 ガノンが、顔を上げた。


「む?」

「契約は、切れたな? と言った」


 訝しむジェッパード。ガノンは、再度問うた。


「なにを言うか! 貴様は奴を捕らえた! 我は金を払った! それ以外になにがある? ないであろう! 貴様、これ以上我を愚弄するならば……」

「よし」


 ガノンが、立ち上がった。巌めいた身体が、ジェッパードの視界を隠す。さしもの強欲も、これには慌てた。


「な、なんだ! なにをする、貴様!」

「なに、すぐに終わる」


 そして、風が吹いた。室内に、吹くはずのない風。なにが起きたか。わかる者にはわかるであろう。そうだ。この場にそれを為せる者は――


「助かったぜ、お二方。おかげで俺も、祖霊に恥じんで済みそうだ」

「ナピュルーっ! 貴様ーっ!?」


 旋風のナピュル。いつの間に解き放たれていたのか? その姿は、今や硝子箱の傍らにあった。否、すでに【シンヂッチの腕輪】を手にしていた。その輝きは、風の中ですら眩いばかり。ジェッパードは、泡も吹かんばかりに絶叫する!


「貴様ーーーっっっ!? なぜ! なぜその腕輪を!」

「それを言われて答える奴が、この世のどこにいると思う?」


 ニヤリと笑うナピュル。いよいよジェッパードは激昂した。蛮人に向け、強い言葉を放つ! しかし。


「ば、蛮人! なにをしている! 捕らえた者が逃げておるではないか! さもなくば……」

「契約は終わった、だろう?」

「へ?」


 蛮人は動かない。少し離れた場に立つ女も、動きはしない。強欲は、思わず素っ頓狂な顔を見せ――


「すでに契約神の御力が及ぶところではない。そういうことだよ」


 ガラリアがそれを突き落とした。


「じゃあな!」


 再び突風が吹き荒れる。ジェッパードは動かない。否、動けない。ガノンとガラリアも動き出す。風に紛れ、この場を去るためだ。さもなくば、強欲によって滅ぼされるのが明白だからだ。そして。


「おのれえええーーーっっっ!!! 誰ぞ、誰ぞーーーーーっ!」


 すべてが済んだ時、ジェッパードの周りには誰一人として居なかった。だが……すべては未だ終わっていなかった。主人の部屋を脱出した二人を待っていたのは――


「おまえ……酒の準備をしていたはずでは」

「あらら。やっぱりアンタが一番の」

「ええ、ええ。そちらのお嬢様の思う通りでございます」


 執事である。武装はしておらず、むしろ客人に対する礼すら行っているほど。しかしながら、纏う空気は剣呑であった。慇懃であった。過日主人に冷静さを与えた際とは、まったく異なる空気であった。


「……追う者が違うだろう」

「あの盗賊は良いのでございます」


 ようやくガノンが口を開けば、執事はそれを取り付く島もなく切り捨てる。たまらずガノンは剣を抜こうとするが、ガラリアがそれを止めた。


「なにをする」

「この執事に、害意はないよ。ただ」

「ええ、ええ。おそらく貴女は気付いておいででしょう。これより、すべてを種明かししたいと存じます。あの方が、正気に戻る前にです」


 執事は口角を上げ、慇懃に笑った。ガノンは、その目をじっと見る。彼に嘘がないことが、たちまちの内に見て取れた。


「時間がありません。結論から話しましょう。此度の一件、すべてはわたくしの掌が上にてございました」

「そうか。つまるところアレにネタを持ち込んだのも」

「ええ、ええ。わたくしでございます。あの盗賊を焚き付け、挑戦状を送り込ませ」

「一方で主人を煽り、防御を固めさせる。悪い奴だねえ」


 女遊び人が、執事を煽る。しかし男は、笑みを浮かべたままそれをかわした。


「ええ、ええ。悪い男でございます。ですがこれも、先代よりお預かりしたジェッパード様を、なんとかして真っ当なお方にお戻しするため。そのためならば」

「【闇】にも魂を売れる。とでも言うつもりか?」

「概ね、その通りでございます」


 執事が再び、一礼する。その礼には、確かな信念が籠もっていた。それを見やりつつ、ガラリアが口を開く。


「まあ、ここまで決まればあとは簡単さね。兎にも角にも、ナピュルに例の腕輪を盗ませれば良い。それが、あの強欲にはちょうど良い冷や水となる。とはいえ、あっさりと盗まれれば家名が汚れる。そこで、一手置いた。そうだろう?」

「ええ、ええ。見事なご賢察。わたくし、思わず貴女にかしずいてしまいそうでございます」

「世辞はおよしよ。アタシがこのくらいは読むこと程度、アンタほどの人間ならば」


 ある意味嫌味とすら聞こえかねない執事の美辞麗句を、ガラリアはピシャリとかわす。しかしながら、執事の表情に変化はない。慇懃な笑みを貼り付けたまま、言葉を並べ立てる。


「ええ、ええ。想定はしておりました。出し抜くにせよ、放置するにせよ、今回の件においては不確定要素になりかねない。ですので、一手詰める必要がありました。それが、昨日の朝です」

「アタシたちを、ナピュルとかち合わせる必要があった、と。しかし」

「でしょうね。ナピュルが動かなかったらば。こればかりは、少々賭けでした。最悪の場合は、わたくしが手を回すことも考えていた程度には。ともかく、目論見が実ってなによりでございます」

「はあ……。アンタ、本当に悪辣だよ。【闇】ですら、ここまでの人間はそう見ないだろうね」


 ガラリアは頭に手を当てていた。心底呆れた、という風情である。一方ガノンはといえば、まっすぐに二人の会話を見つめていた。表情を動かすこともなく、黄金色の瞳を不機嫌にけぶらせていた。しかしながら最後に、一つだけ言い放った。


「おまえとは、二度と会わん。死んでも、だ」

「でしょうな。わたくしも、会いとうございません。それでは、これにて。あとはご自力で脱出を」


 執事は、最後まで慇懃を隠さなかった。二人の前から彼が消えた直後、遠くから罵声が聞こえ始めた。二人の使命は、屋敷からの脱出へと変わりつつあった。


 ***




 道具録


【シンヂッチの腕輪】

 かつて栄耀栄華を極めたとある貴族が、ラガダン万金を投じて作らせたとされる豪奢極まりない腕輪。紋様文言による加護はないが、多種多様な宝石を組み込むことによって他を圧する輝きを放つ腕輪となった。製作させた貴族の国が滅びた後、様々な国、様々な貴族の手に渡ったとされる。ナピュルの先祖もまた、蒐集家の貴族より大枚にて購入したのだろう。

 

 盗賊と蛮族・完

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