第34話 7月



 翌日、麻衣は奈菜架に頼み、奈菜架の運転する車でL町に出発した。

 昼前にL町に到着した。麻衣はスマホの地図アプリを見て、L町のすぐ隣、R温泉のR地海岸に行ってほしいと、奈菜架に頼んだ。奈菜架は海を前に左折して、南へ。R温泉のR地海岸を目指した。


 麻衣はR温泉に到着した。R地海岸に行くには、自動車は国道沿いの駐車場に停めなければいけないらしく、麻衣と奈菜架は国道から歩いてR地海岸に向かった。


 R地海岸は、弓形の海岸で、とても綺麗だった。


「奈菜架ちゃん、ここかな?」

「たしかに、ここの海はテトラポッドがないけど、違う気がする」

「そう?」

「映画だと後ろにもっと砂浜が拡がるのに、ここだとあそこの山が映っちゃうと思うよ」

「そうだよね」


 麻衣は浜辺を歩いた。浜辺には人は誰もいなかった。R地海岸は小さな海岸で、すぐに浜辺の端にたどり着いた。麻衣と奈菜架は、そのまま海岸の道、道沿い・海沿いを歩いた。歩いたすぐ先には、弓形の海岸の南端に到着した。そこは山に大きな穴が開き、小さな洞窟のようになっていた。麻衣と奈菜架がその洞窟を歩くとすぐ外に出た。洞窟の外は山が海に削られ、岩肌がむき出しになった場所だった。


「ここって、映画の最後の場面で主人公と恋人が嵐と向きう場面のあの場所だよね?」

「そうだよね、奈菜架ちゃん、たしかに映画の場所だよね」

「じゃ、やっぱり映画の撮影は、L町の中だけじゃないんだね」



 麻衣と奈菜架は、スマホの地図アプリを眺めながらL町に近い海岸を探した。


「L海岸より、横に拡い海岸って、西Y町の海岸じゃない?」奈菜架が言った。

「そうだね、行ってみよう」



 麻衣と奈菜架は車に戻り、西Y町に向かった。








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