第25話 7月



 奈菜架の運転する車はL町の国道を進み、大きな和食店の駐車場に入った。


「じゃ、ここに6時に来るからね」奈菜架は言った。

「うん、わかった、ありがとう奈菜架ちゃん」



 奈菜架の運転する車は国道からJ高原のほうへと帰って行った。


 さて、と麻衣は思い、国道を歩いた。

 国道沿いからは、斜め四角・白塗りの壁面を持った古い日本家屋が見られた。


 麻衣は国道沿いを歩きながら考えた。

 国道はまっすぐに伸びているが、太陽は背後の南から感じた。L町の海は横浜や鎌倉の海と違い、南の海ではなく、葉山のように西の海なのだ。麻衣は方向を変え、西へ入る道を歩いた。


 西へ入る道を歩く。病院の前を通るとその道の先に和菓子屋が見えた。和菓子屋のある通りはいくつか商店が並んでいた。左折すると、婦人服店、時計店、本屋が見えた。しかし、婦人服店、時計店、本屋の建物は古く、時代がかっていた。道を突き当たると、麻衣は右折した。すると松林が見えた。コンクリートの海壁が見えた。


 麻衣はコンクリートの海壁に沿って歩いた。継ぎ目が階段となってあり、麻衣は海壁の継ぎ目から階段を上り、先に進んだ。そこにはL街の海があった。


 L町の海は綺麗だった。浜には人がいなく、蒼い海の先には、浜と平行にコンクリートブロックが海面に並んでいた。麻衣は海を眺め、浜辺を歩いた。


 


 


  

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る