第15話

 大通りを抜けて閑散とした道の中に入る。建物は老朽化のせいで一部黒ずんでいて、灰色の空も相まってどこか寂れた印象を受ける

 オレは唯を置いて一人で藤田と言う男が潜伏しているホテルに向かっていた。嘘を吐くのは心苦しかったが、藤田という男と彼女を引き合わせることは避けたかった。

 危険というのもあるがそれが一番の理由ではない。唯の仮説通り傷を負わすのが怪物を呼ぶ条件なら、大した脅威ではないからだ。相手の手元を注視して刃物を振るってきた瞬間に抑える、その程度なら造作もない。

 それよりも気がかりだったのは彼女が藤田の心を覗くことだ。真相を確かめに行くわけだから、十中八九彼女は藤田に触れるだろう。

 今回の事件の犯人だろうがそうでなかろうが、藤田稔という男が性犯罪者であることは変わりない。記憶の中には口にするのもおぞましいような光景が焼き付いている。

 そんなものを唯に見せるわけにはいかない。元々感受性が高い彼女だ。どんな影響が出るか分からない。

 ホテルにたどり着いた。階数こそ多くないが、奥行きはそれなりにある。裏側には大きな立体駐車場があった。

 ダウンジャケットに着いているフードを被り、マスクと手袋も着用する。目立つとは思うが、防犯カメラをある程度は誤魔化せるだろう。

 正面から入るのは得策ではない。フロントにはほぼ確実に係員がいるだろうし、唯がいないから記憶を消して誤魔化すことも出来ないからだ。マンションの時と同じ愚は犯せない。

 数秒立ち止まって考えてから裏口に向かうことに決めた。速足で歩きだす。

 駐車場の中は車が何台か止まっていたが、人っ子一人いなかった。

 奥まった場所に従業員専用と書かれているドアがあった。そこに近づく。ドアノブを捻ってみたが、鍵がかかっていた。鍵穴は錆びていて、もう長い間使われていないことが分かる。ということは普段このドアから出入りする人間は少ないということだ。これは都合がいい。ほんの少し本気を出して強引に力を加えた。

 金属が破断する音がした。耳障りで大きな音だ。誰かに気づかれていないか振り返って確認したがその様子はない。

 中に入った。暗がりの中で点灯する緑色の誘導灯を見て、ここが非常用階段だということにようやく気づいた。勝手に使うのは申し訳ないがオレの用も急を要する。

 七階まで階段を駆け上がる。黒色のドアをそっと開けて、その隙間から外の様子を窺った。従業員がチラと見えたので、慌てながらもゆっくりとドアを閉める。

 どうやらベッドメイクをしているらしい。シーツを入れたビニール袋を台車の上に置いて押している。

 ドア越しにガラガラと台車が走る音を聞く。時間が経つにつれ音は段々と遠くなっていく。もう一度ドアを開けると従業員は通り過ぎていた。すかさずホテルの中に入る。

「…よし」

 ここまでくればあともう少しだ。703号室の中に入って、藤田を尋問するだけ。

 内装は簡素なものだった。グレーのカーペットに白い壁、申し訳程度に飾られている水彩画。見た目で来たくなるような場所ではない。

 などと暢気に検分している場合ではなかった。早く部屋を見つけなければ。

「703…703…あった」

 探すのにそう時間はかからなかった。何しろ狭いホテルだ。部屋の数が少ない。

「さて…」

 時計を見る。時間は午後四時半。唯はもう家に着いているだろうか。迷っていないか心配だ。

「…置いていってごめん、後で謝るよ」

 どうやって中に入ったものか。強引に扉を破壊してもいいが、それでは隣の部屋にいる宿泊客や従業員に気づかれてしまうかもしれない。

 インターホンを見てみると、カメラが付いていないことが分かった。これならホテルマンに成りすますことも出来るかも。しかし話し方にだけは気をつけなければ。敬語にはあまり自信がないが短い会話くらいならこなせる、はずだ。

 意を決してボタンを押すと、電子音が鳴った。

「…お客様、お聞きしたいことがあるのですが」

 が、反応がない。居留守を使う気か、それとも今はいないのか。もう一度ボタンを押す。それから一分弱ほど経った後荒々しい声が飛び出てきた。

「入ってくるなって何度も言っただろうが!!」

 甲高い声だった。耳障りで聞くに堪えない。殺人鬼かどうかは分からないが普段から人を怒鳴りなれていることは声の感じから読み取れる。多少手荒い真似をしても罪悪感は沸かなそうだ。

「…なにかありましたか?」

「なにかじゃねえよ!お前らが前持ってきた封筒にカミソリが入ってたんだぞ!!これ以上余計な真似すんな!!!」

 何を言っているのかはさっぱり分からないが、やけに他人を警戒しているようだ。これは本当に当たりかもしれない。

 しかし、この様子だと簡単には開けてくれそうにない。どうしたものか。

 瞑目して、少しの間考える。藤田が自分から開けたくなるような言葉。ここは一つ罠をかけてみよう。

「…財布が落ちていたんです」

「…は?」

「ええ、黒い長財布が落ちていたんですよ。この部屋の前に。中には結構な金額が入っていまして。お客様のものかと思ったのですが…」

 もちろん全部嘘だ。藤田の財布の形も色も知らないし、この男が財布を落としたかどうかも分からない。だが、他人の金だろうがただでもらえるなら手を出す人間は大勢いる。 唯の話によるとコイツは金遣いが荒いらしいから、引っかかってくれるのではないだろうか。

「どうやら勘違いだったようですね。早計でした」

 揺さぶりをかけてみる。この手の駆け引きの経験は少ないが果たして。

「……中には何円入ってた?」

 長い沈黙の後、喰い気味に藤田が質問してくる。どうやら上手くいったみたいだ。このまま釣りあげよう。

「そうですね。五万円とあと七百円ってところですね」

「………ああ、ああ!思い出した、思い出した。そういえば財布を落としたんだった。取りに行くから待っててくれ」

 わざとらしい演技だ。けれど行き過ぎたリアクションには一種の愛嬌すら感じ取れた。他人から好かれていたという前情報もあながち嘘ではないのだろう。オレはこの手のタイプの人間は好まないが。

 インターホンがぶつりと切れる。ようやく本題だ。手早く済ませなければ。

 扉が開いた。足音がしなかったことからここの防音性が優れていることが分かる。多少中で暴れても誰も気づかないだろう。

「さっさと財布を…お前誰だ?」

 扉から現れた男が困惑の表情を向けてくる。

 複数の女性を騙し込んだだけあって顔立ちは整っていた。髪は金に染めていて、所々メッシュがかかっている。鼻が高く、顎のラインも鋭角。

 しかし爬虫類じみた細い目だけは生理的に受け付けない。先入観もあるかもしれないが、下卑た印象を受ける。

 おまけに今は無精ひげを蓄え、目には隈ができていた。服もしわだらけでどこか生臭い。身なりに気を配る余裕がないのだろうか。

 質問には答えず胸ぐらを掴み、部屋に引きずり込む。オレの腕をふりほどこうとしたが、痛くもかゆくもなかった。

「オイッ―、テメ…、ェ」

 後ろ手でドアと鍵を素早く閉める。藤田が叫び出す前に持ってきたハンカチを口に突っ込み、その体をベッドまで蹴り飛ばした。はじき飛ばされた消しゴムのように勢いよく飛んでいく。

 浮いた体はすぐに重力に引き寄せられベッドに叩きつけられる。六十キロ以上はある体を受け止めたベッドの足はひしゃげて耳が裂けそうな程の音を立てた。

「───!!」

 藤田は腹を押さえ身もだえしていた。骨は折っていないから命に別状はないはずだ。

 しかし、まだ油断は出来ない。切り傷を加えられないようコイツの手許を注視しなければ。

 警戒しながら藤田に近づく。よく観察してみると確かに掌には包帯が巻かれていた。封筒の中にカミソリが入っていたという話はまるっきり嘘というわけでもないらしい。

 それにしても汚い部屋だ。あちこちに服やたばこの吸い殻、コンビニ弁当の容器などが散乱している。ずっとここに籠もっていたのだろうか。

「藤田稔か?」

「何だよ…何…なんだ、お前」

 藤田はハンカチを口から吐き出し、弱々しい声を絞り出す。唾液が糸を引いていて、触れたくもなかったがポケットの中に突っ込んだ。私物を残しておくわけにはいかない。

 先ほどまでの高圧的な態度は影を潜め、怯えているのがはっきりと見て取れた。犯罪者相手だろうが暴力を振るうのはやはり気分が悪い。

 だが、躊躇っている時間はない。ベッドまで近づいて藤田の背後から右腕の関節を極める。この体勢ならこっちに攻撃することは出来ない。

「藤田稔なのか?」

「そうだよ!そうだよ!だから何なんだよ!?」

 人違いではないみたいだ。それにしてもうるさい。間近で騒がれるのがこんなにいら立つとは思わなかった。

「神田美音を殺したのはアンタなのか?」

 他にも聞きたいことはあった。どれだけの人を傷つけてきたのか、なんで強姦なんてことが出来たのか、罪悪感を抱かなかったのか。けれど、それは事件に関係のないことだ。今やることではない。

「神田、美音…?ああ、お前、アイツの家族かなんかかよ」

 自分の部屋で死んだ女だというのに名前すらすぐに思い出せないなんて。この男と会ってまだ数分しか経っていないが反吐が出そうだ。それに何を勘違いしているのだろうか。

「違うんだよ。アイツから俺に近づいてきたんだぜ。付き合ってくれって。俺はもともとあんな女興味がなかったんだ。喋っててもつまんねえ低能女だ。マワしたって別に」

 パチンと頭の中で何かが弾けた。視界が真っ赤になって、体中に熱が走る。

 聞かれてもいないことをべちゃくちゃと。話す内容も、得意げな声も、ヘラヘラとしたにやけ面も全てが癇に障った。

「があああああ!!!!」

 藤田が叫ぶ。それでようやく自分が腕を圧し折っていたことに気づいた。

 肩が脱臼してブラリと垂れ下がっている。それだけじゃなく抑えていた手首も潰してしまったみたいで、骨と血管が剝き出しになっていた。

 手袋に赤黒い液体がべったりと染みついている。しかしそれを見ても暴力的な衝動は収まらなかった

「なんだよこれ!?なんなんだ!?」

「…殺したかって聞いてんだ。余計なことを喋るなよ」

 イライラする。他人を食い物にしていた癖になんだって一丁前に苦しんでいるのか。

 いっそのこと『イエス』と首を縦に振ってほしかった。そうすればこっちも我慢しなくてよくなるのに。

「違う!!違う!!俺じゃない!!俺じゃない!!」

 芋虫のように床の上で這いずりながら必死に叫ぶ。あまりのうるささにこっちも怒鳴りたくなってきた。

「…じゃあ誰がやったんだ?」

「そんなの知るかよ!!アイツが俺の家に急に来て騒ぎ出したんだ!そしたら急に宙に浮かんで…バラバラになったんだよ!訳分からねえのはこっちの方だ!!」

 オレを見つめる目は恐怖の色に染まっていて、氷原に放り出されているみたいに体全体が激しく震えている。

 おかしい。違和感がある。これが本当に四人の人間を殺害したシリアルキラーの態度か。

「…相川さんは?」

「誰だよ?」

「飯田さんは?」

「知らない!」

「じゃあ早乙女さんは!?」

「知らないって言ってんだろ!!」

 獣のような叫び声。本能を剝き出しにしたそれは醜かったが、真実を語っているような気がした。

 殺人鬼は藤田じゃない。信じがたいが間違いない。本当に人を殺せる怪物を呼び出せる力があるならオレに傷をつけようと抵抗するはずだ。それに手首を砕かれたときのあの驚きよう。オレ達と同じような能力を持っているにしては異常に対して不慣れすぎる。

「…なんでこんな目に遭うんだ?いつからおかしくなった?そうだ。アイツだ。アイツが来てから全部おかしくなった。俺のものを勝手に取りやがって。ガキの癖に…」

 藤田は訳の分からないことをブツブツと呟いている。痛みのあまり気が違いでもしたのか。

 とにかく動揺している場合ではない。神田さんの死を皮切りにこの事件は始まった。唯だって犯人でなくとも無関係とは考えにくいと言っていたじゃないか。そうだ。あのことを聞かなければ。

「…神田さんは怪我してなかったか?」

 犯人は傷を負わせなければ怪物を呼べない。なら神田さんにもどこか怪我があったはず。前の三件と同じく本人が気づいていない可能性もあるが。

「けが?」

 正気を失ったような反応だ。目の焦点がまるで合ってない。

「そうだ。そういえば言ってたよ。刺されたってキャンキャン泣いてた。そうだ。そんなこともあった」

 刺された。刺された。今までのようなかすり傷じゃない。本人がはっきりと気づいていた初めてのケース。

 藤田自身は犯人ではなかったが、やはり重要な情報を持っていた。唯の推測通りだ。

 近づいている。指一本触れずに人を殺すことが出来る不能犯を今追い詰めている。その事実に自分でも驚くくらい興奮していた。

「誰が刺した!?」

「そうだ。それ言ってからすぐにアイツの体がひとりでに浮き出したんだ。本当に驚いたよ」

 相変わらずブツブツと独り言を。じれったくなって胸倉を掴んだ。そのまま立ち上がらせる。

「誰がやったか知ってるのか!?」

「…ああ。知ってるよぉ」

 顔を近づけると妙な臭いがした。嗅いだことのないような口臭だ。コイツもしかしてクスリまでやっているのか?

「そいつは…」

 不意に藤田の体のバランスが崩れる。ガクンと膝の力がなくなったみたいに。本当に急なことで、思わず手を放してしまった。

「…大丈…え?」

 最後まで言葉を紡ぐことが出来なかった。その質問をすることがどれほど愚かなことか口に出す前に気づいたからだ。

 男の右足、その膝から下が綺麗に切り落とされている。大丈夫なはずがない。

「いたっ!痛い!!あああああ!!!」

 男は自分の太ももを押えて絶叫した。目を剥いて、涎を零しながらのたうちまわっている。ただただ苦しんでいる。

 あの怪物だ。またしても姿は見えないがこんなことが出来るのはヤツしかいない。

 しかし、何故だ。傷を負わせた相手しか殺せないのではなかったのか。藤田の手の甲に傷なんて…

『お前らが前持ってきた手紙にカミソリが入ってたんだぞ!!これ以上余計な真似すんな!!!』

 確かに藤田は手のひらに包帯を巻いていた。もしあの話が本当で、剃刀を仕込んだのが犯人なら。

「あがああああ!!!」

 藤田の体が見えない糸に引っ張られていく。その体は宙に浮き、磔刑にかけられた罪人のように両腕が吊り上げられる。視線は忙しなく動いて一向に定まらない。オレだけじゃなく藤田にも何も見えていないようだ。

「ぎ、ああ…がが…い!!、いだ、いだ!!」

 ビキビキと骨が割れる音がする。体のあちこちが裂けて血管と骨が剥き出しになる。激痛のせいか失禁までしていた。

 どう止める。怪物の姿が見えないのにどうすればいい。藤田の右に立っているのか左に立っているのか、それとも背後か、まるで分からないのに。どうやって…

「タス…タスげデ」

 人とは思えない形相と声だった。口からは血と嘔吐物が吐き出され、声は老人のそれより低くしわがれている。

 もう考えている時間はない。なんでもいい。動かなければ。

「―――くそ!」

 駆け寄って止めに入ろうとした瞬間、藤田の胸がバリバリと音を立てながら裂けた。裂け目は上下に大きく広がり鮮血が部屋を真っ赤に染める。オレの顔にもベットリとした血が吹きかかった。鉄のにおいが鼻を突く。

「う゛ぐぐギャガアアァァァ!!!」

 壮絶な断末魔が空気を走る。藤田という男の命が世界に刻み付けた悍ましい爪痕。

 藤田の体に走っていた裂け目は頭頂部と股間にたどり着き藤田をヒトから縦真っ二つに切り裂かれた肉塊に変えた。首切り死体なんかよりもよっぽど酷い有様だ。切り裂かれた腹や頭部から内臓がまろびでてビチャビチャと音を立てながら床に落ちる。

 その光景の凄絶さとあまりの悪臭に胃酸が腹からこみ上げてくるのが分かった。

 ぐちゃぐちゃになった思考をなんとかまとめ上げる。藤田は犯人ではなかったが犯人を知っていた。だから口封じのために殺されたのか。

 それにしても何故ここまで残酷に殺したのだろう。殺すだけなら今まで通り首を切ればよかっただろうに。

 オレに手を出さなかったことから唯の『あらかじめ傷をつけなければ殺せない』という仮説はほとんど実証された。本当に口封じが目的なら事件を追っているオレのことだって殺したかったはずだから。やらなかったということは出来なかったということだ。藤田の手の傷からみてもこれは確実だと思う。

「お客様!?お客様、どうされましたか!?」

 ドンドンと扉を叩く音と、大きな声が思考を中断させる。従業員が部屋の中の異常を察知したらしい。悲鳴も大きかったし、この血と汚物の匂いは扉一枚くらいでは誤魔化せられないだろうから当然だ。

 顔についた血を袖で拭って藤田の死体、というにはあまりにも変わり果てた残骸を眺める。

 足が止まったのは怪物の場所が分からなかったからだけじゃない。藤田を助けなければいけないと最後の瞬間になるまで思えなかったからだ。

 躊躇わず行動をしたからといって助かったとは限らない。結果は変わらなかったかもしれない。けれど、ヤツのあの縋りつくような、救いを求めるような視線がいつまで経っても頭の中から離れない。

「……」

 ベランダの柵を乗り越えて飛び降りる。重力があっという間に体を捉えて、地面まで連れていく。下から吹き荒れる風で髪が舞い上がった。

 着地の瞬間、強い衝撃が爪先から頭まで伝わっていく。多少痺れたが七階程度の高さならどうということはない。

 人目のつかない場所まで走って建物の上に飛び乗る。それでようやく一息付けた。

「…」

 藤田が死んだ。重大な手がかり、いや、犯人の正体を知っていたというのに。これは間違いなくオレのミスだ。最初から唯を連れていけば彼女の力で、犯人の名前くらいは分かったはずなのに。

 悔やんでも仕方がないとは分かっていたが、それでも止められない。唯を騙して勝手な行動をとったというのにこのざまとは。彼女に顔向けできない。

 「…まいったな」

 電話をかけようと思ったが、何を言えばいいか分からなかった。少し指を動かすだけで呼び出せるのに、固まってしまう。

 逡巡している間に電話がかかってきた。唯からだ。

 もしかしてオレに騙されたことに気づいたのだろうか。その可能性は大いに有り得る。

 怒られるかもしれないが、それも仕方のないことだ。身から出た錆ということで甘んじて受け入れよう。

 コール音が三回ループした時に電話に出た。何を言われるのか身構えていたのだが、思いがけない言葉にオレは固まった。

 「入院…?」

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