第87話 ミリア・アルベェリア
エディウスが一番欲している能力を持つ
ヴァイロが見た悪夢の再現をエディウスとて望んいるのであれば、次に狙うはミリアの命ではないのか?
そんな疑問を完全に吹き飛ばしたミリア
「グワァァァッ! ミ、ミリアは防御魔法しか使えなかったのでは!?」
以前ヴァイロが、ニイナの
今回はミリアがこれまで一度たりとも、雷はおろか攻撃呪文を出さないという、
落ちた雷が消え、
「つ、遂に……や、やったのか?」
「わ、判らないよ………。そんなの………」
これは
これまで散々に色々な手段、攻撃を
「みっ、ミリアァァァァッ!! お、お前どうしてそんな馬鹿な真似をッ!!」
「…………ッ!」
此処にエディウスの生死など、どうでも良いと思っている二人がいる。号泣しながらミリアを呼ぶヴァイロ。
そして全て………いや、ヴァイロを救えたという以外は、無駄に終わる事を理解しているシアンであった。
「ど、どうしたのヴァイ? そこまで取り乱して……」
ヴァイロが余りにも
ゆっくりと背中から落ちてゆくミリアを見つけ、ようやく
―リンネ………代わりに応えてやろう。ミリアは今の雷で全ての
「そ、それってまさかっ!?」
この世界で
それは死と同義なのだ。
しかし体力を
思考能力を失う、それは言わば脳死なのだ。心臓だろうが脳だろうが、停止すれば最期。回復なんて
薄れゆく意識の中、ミリアは自分よりも先に落ちて行ったエディウスを何とか視界に
エディウスの意識が戻る様子は
―よ、良かった………。い、一応(エディウスに)効いたみたいですね………。
「みっ!」
「ミリアッ!」
最後の力を振り
温かみに溢れた意志を感じるのは、この情景が作り出す先入観だけではない筈だ。
―ありがとうリンネ。貴女が私を受け入れて二番目の
―嫌だぁッ! こんなの絶対嫌だよッ! ミリアァァ!
―私が信じた心優しくちょっぴり鈍い
グサッ!!
彼女の下にあったもの。それはレアットとアズールの合作で起こした
途中が耐え切れずに折れてしまっていた。既に意識を失ったミリアの遺体は、そこへ突き刺さり、ダラリと無残な最期を
ミリアから確実に届いていた温かみのある意識。水分が蒸発するように消えてゆく。
またも人の死に
「「ミリアァァァァッ!!」」
「クッ!
リンネとヴァイロの号泣が、ミリアの
ヴァイロの悪夢は、またも現実の元に晒された。
魂すら漆黒のドラゴンであるノヴァンの目が
「………フゥ。ミリア、流石に効いたぞ。技量とか能力とか、そういうのは明らかに異なる何かがな。散り際まで
エディウスの落下が止まった。まるでミリアの死に際までは、負けたことを装うことでその死に敬意を払ったかのように。
要約すると、やはりエディウスは、
「エディウスッ! お前ミリアの死に
子供のように涙で目を
もう27歳の彼だが、こういう時に流すものを
アギド、アズール、ミリア。3人の親代わり……。そんなことを周囲に言われ、自身も意識した事が度々ある。
けれど実の所、自分が一番幼い意識を持っており、だからこそ背伸びした彼等に支えられ、今こうしていられるのだ。
「ならばどうだというのだ?
「ニイナッ!」
「も、
消し炭のような身体から、未だに発せられる神々しい声に煽られる。
その質問に対する答えを出したのは、ヴァイロではなく、刺すようなシアンの一言。
あまりに足りない解答。そして応じるは、ハイエルフの少女ニイナ。
大爆破で焼失した森の
ここいらの樹木には強力な
ニイナはソレをこの争いが始まる前から、封じていたのだ。
解放された森の美女達は、怒り心頭だ。森の友達であるハイエルフの言いつけだから、従ってこそいたが、此処まで仲間達を
(まあ、あの子達じゃそれは出来ない。ちょっとでも動きを封じられたら
ニイナは
(それでもアイツの動きを先回り出来たら、ひょっとしたらミリアを……。いや、これは
そう分析しつつも、無念さに唇を噛み締めずにはいられない。
優しくてちょっと
これからも
なれど………いや、だからこそあの少年少女達が
ニイナが
―
―
赤い霧と消えるヴァイロと、時同じくしてやはりその身を隠すシアン。
「
一方
やり方こそことなれど、やるべきことは判っている3人。
一番目立って気を引く汚れ役をかって出たレアット。
姿を完全に消して
―それはアギドの先読みだっ! 貴様のような外道に二度と使わせんッ!
3人の怒りが
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