第84話 紅蓮の魔導士ッ、推参ッ!
ミリアがエディウスに
((………
エディウスの
その何れも結局の処、迂闊だったに
「………『
「何ィ!?
続いて暗黒神魔法、相手を
実際には
その鎖を自在に伸ばして、ミリアの周りを周回しながら、己の血で
エディウスの
先ずアギドにこの術を
あの
さらにミリアを
「カアッ!………」
「すまない、本当にすまないな
早速息を吸うことすら大きな負担となって、声にならない主張をするミリア。痛みには
(なれどこうして美しい
小鹿のように震えるミリアの首筋から肩、胸にかけて、自由にその手を
「……にしても
「お前にだけは言われたくないっ! それより早くミリアを解放しろっ!」
「嗚呼……勿論そうする。我が
本当に
ヴァイロにしてみればこれまたお前が言う? どの口が言う? と思わずにはいられないし、そもそもこの状況を許せる訳がない。
「さあミリアよ。これからはこのルオラやレイシャのように我を
「み、ミリアァァァァ! やめてぇぇぇ!」
「クッ!」
自らの血を
抵抗しようにもどうにもならないミリアの
同じ男を愛するリンネが、この不条理な光景に涙を散らしながら訴える。夫であるヴァイロとて、とても見てはいられない。
なれど実際に介入行動を起こしたら最後。いよいよミリアの命そのものが、まだ
……いや、一応例外もあるにはあるが、ヴァイロが迷ってしまったのだ。
もう女神と乙女の唇が、触れ合うまさに寸前の出来事であった。
ただひたすらに赤い何かが、その場に居合わせた誰もが判別出来ない
真っ赤な頭をミリアにぶつけ、無遠慮に突き飛ばす。解ける筈のない蜘蛛の糸であった筈なのに、ミリアは動かされたのだ。
「ヘッ!
エディウスの目の前にいる者がアズールに入れ替わった。ミリアはその小さかった筈の背中を見ながら、何故か昔、アズールがヴァイロに言われていたことを思い出す。
『言ったろ? 勝負が
ミリアがエディウスの手に堕ちそうになったこと。確かにシアンの
シアンからは、あくまでも一撃離脱を言われていたのに、標的が串刺しになったのを良い事につい殴り続けた処から、ソレは舌を出していたのだ。
赤い背中……。そもそも生き方自体が、炎のように熱く、紅蓮そのものだった。
その紅蓮に自分の過ちを正して貰った気がした上での、思い出した昔の言葉であった。
アズールの両
それはアズールの
ミリアの危機を見た赤い髪の少年は、
前に撃ち出す筈の
爆発がロケット噴射の如き勢いで、アズールを発射したという訳だ。
「おのれッ! よくも邪魔をしてくれたなこの
つい今しがたまで、実にビンテージワインを味わう貴族のような
アズールは、もう精も根も尽き果てていた。エディウス怒りの
抵抗出来なかったのか? それともあえて抵抗しなかったのか? 皆の守護であり続けたミリアは後者に思えてならなかった。
「アズゥゥゥゥゥゥルゥゥッ!! 嫌ぁぁぁぁぁッ!!」
「ゴフッ! ヘヘッ……言われたろ? 勝負が
噴水のように噴き出した涙顔を
血を吐きながらも
ズルッと、串刺しにされた剣から、最早
それを
夜の闇で見失わないよう、飼い主の投げたボールに必死に喰らいつく犬のようだ。
群がって追いつくとガブリガブリと、頭、右手、左手、両脚……。少年の小さな部位を次々に喰らい尽くす。
死体が地面に辿り着く事すら許しはしない。地獄すら生温い
「あ、アギド……。あ、アズ……。私は……」
そして先に
怒り…………。そんな一言ではとても言い表せられない感情を、彼女は紅蓮の魔導士のように爆発させようと溜めに溜めているのだ。
「結局最後は、守られてばかりじゃないかッ!」
ミリアが仕掛けた最初の
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