第78話 お前達はもう満足したのか?
以前から何度も語っている通り、司令官としても有能な存在である彼女。その力をこの場面でも如何なく発揮しようというのだろうか。
よってこの見えない伝令は、黒き
―良いか、アズールだけじゃない。今、私はそこにいるニイナからの情報で誰よりもお前達が見えている。
―そして奴に
元エディウスと言って差し支えないトリルから聞いた話によれば、自分を支配したマーダという意識は、トリルが持っていた右半身の不死鳥はおろか、
よってこの見えざる声そのものには気付かないであろうが、かと言ってやり切れると思うのは
―ま、待ってくれ。お、俺達側の声は……っ!
―気づいたようだな。それもニイナが風の精霊術『
だがそんな下準備すらせずにこんな
そして既に
―向こうがゼロ詠唱で魔法を使うのなら此方も極力発声を封じて戦う。魔法詠唱時には、口の動きだけで唱えるのだ。
―お前達の頭脳を私に
―ミリア、君は流石に
―ヴァイロ、ミリアの
―なぁに、
―残りの
―そしてリンネとノヴァン、もう出し惜しみはナシだ。特にリンネはまやかしの術だけではないという所を存分に
―な、何故それを!?
―それはこの地獄が終わった時、互いに生きていれば話そう。
ノヴァンにしてみれば、これまで自分は、シグノに勝っていたのが
なれどリンネの方は話が別だ。当人ですら実戦で試していないことを何故
「ようっ、
此処で全く空気を読まないレアットが、普通に声を出して質問する。声量にいつもの勢いがないのが、一応気を使っているつもりなのだろう。
―フフッ……。君が人の言う事を聞くタマなのか? ………そうだな。
「
勢い良く返答すると、早速自分の巨大剣の周囲に嵐を起こし、酸素濃度を濃くしたのちにマッチで点火。
エディウスではなく、シグノの
シアンにしてみれば、レアットはこれが
彼が一人目立った行動を取れば、シグノ達はおろかエディウスでさえ、見逃すことは出来やしない。
後はその裏で、ヴァイロは言われた通りにベスタクガナをミリアに使う。ミリアはこれまで通り、最前線で攻守を
これで心置きなく攻撃に
さらにアズールが、
ヴァイロの方は
この辺りの動きは、
つい先程、アズールの
よって魔法より物理攻撃を底上げするのが先決だと
◇
「レイシャ殿、
今度は地上にいる周囲の連中へ肉声を届けるシアン。ワザと
「何? 一体どうしたって言うのさ?」
「もう………。疲れたから
「では逆に問いたい。アレを見てもなお、お前達はもう満足したのか?」
あえて
それだけポツリとシアンは言ってから、後は
もういっその事「いけっ! やれっ!」と言ってくれた方が良い無言の圧力。
「ハァ……判った……判りましたよ。………確かにアンタの言う通りだわ。あんな物をのさばらせていたら、修道騎士の名がすたる」
「ええ……。僕もう嫌だよ。あんな化け物ですらないものを相手にすんの」
大きく溜息を吐いてから、
一方、未だに嫌がる
何せ彼は、シアン達との戦いにおいて
「やれやれ……。私だってこれで出番が終わりじゃ流石に
大きな尻を叩いて
ミリアによって
「勿論だルオラ殿。ニイナが風の精霊を此方迄飛ばしてある。君等の背中には、既に自由の翼が生えているよ。初めてだろうが、使いこなせる……であろう?」
「全く……。まるで最初からこうなる事を
ルオラは呆れ顔でシアンのことをそう評した。そうでもなければ、説明がつかない。
シアンから別の何かに騎乗しない初の空中戦でもやれるよな? そう煽られている訳だが、そんな事はどうでも良かった。
「わ、
誰も話題に挙げてないのに一人勝手に誓いを立てる最高司祭グラリトオーレ。レイシャ達に頼まれる前に
「そ、そのお話……。私達も当然入っていますよね」
そこへ恐る恐るといった様子で声を掛ける二人。心優しき
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