第77話 魂を持ったシグノ
落ちるリンネを拾い上げたノヴァンが、舞い戻ってくるのに、ほんの
それにしてもマーダなのかエディウスなのか、はたまたもう別の違う何かなのか、判りようがない存在が、目前で高笑いしている。
一度
それ位は
だがまさか既に
あの悪夢に
言うまでもなくアギドが自らその身体を
しかしあの悪夢………相手が
だからこそ悪夢は
まさか
それはちょっと可笑しな話だが、神の力ですら所詮は、人間から生まれた能力だと
なれど今回ばかりは、そんな神の
「
先手必勝とばかりに、エディウスの周囲に群れているシグノ等に対し、小爆発を散らすこの術本来のやり方で炎幕を張ろうとアズール。
しかしたった一頭のシグノの
「クッ!」
「何をしている? そんなものマッチの火にすら届かんよ」
(………いいんだよ、それで)
シグノ達が束になっているのをいい事に、まとめて首を駆る腹づもりだ。
「な、何ィィ!?」
エターナと二人だけの
けれどもシグノ達は、その巨大な
斬って落とすどころか、ガッチリ咥えられた剣を取り戻すのに、レアットは大気を
「フッ………やはり馬鹿は貴様の方だな。あの
そう
カキーンッとまるで同じ剣に弾かれたような音が辺りに響き渡る。しかし止めたのは剣ではない。
「フフッ………何と
「…………
百合の愛情が芽生えたミリアに対してだけでなく、一応男子の姿をしたレイチにすら可愛いと、のたまうエディウス。
けれどその裏でアズールは
レアットの酸素による
戦の女神だろうが、シグノだろうが、どちらに当たっても無傷ではいられまい。
なれどエディウスの笑みが何故か消えない。
「フハハハハッ! 『
詠唱どころか笑いながらアギドが得意としていた巨大な蛇の影が襲い掛かる術の名前だけをエディウスは、言い放った。
「なっ!?」
「何のつもりだっ!?」
ミリアとヴァイロが驚きを隠せない、ゼロ詠唱の
実際、エディウス当人からは、何も発現しなかった。しかし気が付けば女神の背中を守るシグノのうちの4体が、その口を開いて巨大な影を蛇の頭の形に創造しているである。
竜から生まれた巨大な黒蛇達が、破裂寸前の
「そ、そんなっ………」
「馬鹿なっ! 有り得んことだっ!」
憐れ
それを見たアズールが絶望に潰されたように崩れ落ちる。ヴァイロにとっても信じ難し光景だ。
仮に本物の
「見たかっ! 人の魂を喰らった今の
「な、何だとっ!? そんなことは
「フンッ! 1対1では劣るがこれだけの
人の魂を喰らった
完全に上からの物言いだが、ヴァイロは大した二の句を返せない。そもそも事始めからそうであった。
エディウスから貰った竜の
ただ肝心な事の答えは語られていない。例え
(ムッ? ま、まさか……)
「おぃ、エディウス! 貴様まさか中にいるアギドに詠唱を強制したのかッ!」
ヴァイロの脳裏にエディウスという名の
血が滴る程に彼は唇を噛んで、敵を
「流石……というべきか。愚か……と嘆くべきか。貴様の
頭を抱えながらソレを振り、相手の推測を肯定するエディウス。哀れな子羊を見るその目は、いよいよ
「クッソ! ふざけんなよっ
「
兄弟子を徹底的に
エディウスに取って欲するものを何も持っていない相手。神の
―待てアズールっ! 本気で
アズールの心の中に響いた凛々しい女性の
まるで本当に忠犬のような反応。
―トリルの偽物め、もう好き勝手にさせない!
シアンはあえて
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