第76話 赤き彼岸の華を咲かせ
「な、何アレッ! うわっ!?」
アギドの最期の守りに巻き込まれる形で、
頭が下になり、上空の
この思い掛けない空中遊泳にちょっと
こんな落下速度に追いつける巨大な生き物は、言うまでもなく
突然の
「あ、ありがと…………」
「フンッ………」
互いに言葉少なめなやり取り。ノヴァンは確かに
もっともノヴァンの鼻息には、世話の焼ける娘だという諦めが混じっている。
(
トリルとシアン、竜の目から見れば正直どうでも良い
◇
光の帯の上を往く右半身の
されどそれこそトリル最期の魂の炎の輝きそのものであり、消失するであろう
そして二人がカッと目を見開いて互いを見つめ合う。
―姉さま………大好きだった、真っ直ぐだった、
―愚直か………。それはお前こそに
それを見た
(勝てん………。敵う訳がないわ。だってあのエディーの御姉様なのだから……)
さらにレイシャはそうも思った。未だに斬られた両腕を
「「
「
「
「「始まりの新月を与えよ。『レナトゥース』」」
二人の詠唱が終わったと同時に、シアンの頭の先に小さな不死鳥が現れて、その
黒い月はまるで
黒い真円は瞬く間に満ちてゆき、満月の明かりを為す。そこから一本の真っ赤な
やがてシアンの深層意識の中に現れた満月は、人の形を成してゆき、光を完全に失う代わり、トリルの形に姿を変えた。
そしてシアンと両手を繋いでいた筈のトリルは完全に意識を失い、姉にもたれ掛かりダラリとその身を寄せたのである。
「「エディーッ!」」
「エディウス様ぁァァァァッ!」
レイシャとルオラが
賢士レイジだけは、こういう時どんな顔をすれば正解なのか判らずに一人オロオロしてしまった。
「トリル……いえ、
トリルとシアンの邪魔になってはいけないと感じ、少し
「あ、あれっ?………な、何
最初は他人顔だったエターナが、どんどん
彼女に取ってエディウスだろうが、マーダだろうが、トリルですら恨みの鉾先を向ける対象でしかなかった筈だ。
自分のことを
その死に様には
「………エターナ様。
「る、ルチエノさぁぁん、アァァァッ!」
自分の涙に驚くエターナの肩を静かに手を置くルチエノ。目を閉じて静かに首を振った後、
それを見たエターナは救われた想いに駆られた。人じゃない、私を想った作り笑いかも知れない。そんな
女神が
「…………」
周囲がこれだけ涙に
自分の身に絡んだトリルを
「…………どうした? 行かないのか?」
「………まだ、
シアンの様子に
「嗚呼、
「ハァ………。
そんな相手に溜息を吐き、シアンは苦笑交じりにこう返すのである。
(………にしても今行かなくて
レイシャにしてみれば、シアンは真っ先に
実の妹の死に泣き
だがこれから
(………
このレイシャの感じ方。直上型の彼女なので、これもらしいっちゃあらしいとも言えた。
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