第74話 最期までお前を守れた……
エディウスでもなければアギドでもない。それどころか
なれど彼には人間の仲間などという、
伝説上の存在である筈のドラゴン。
まるで
「
マーダがシグノを
「貴様ッ! 自分ではなくエディウスに
「嗚呼………な、何て
「こ、こんな事をすれば
勇気を振り
ミリアの指摘は実に的を得ている。このままだとカノン側が
「フッ……。ミリアとか言ったか、中々
「…………ッ!?」
それは本当に不意に訪れた
普段比較的冷静な彼女が、何故このような
それはマーダとの会話だけでなく、その
彼女の横っ
守備系魔法を極めた彼女だが、
最早誰にも救えはしない最恐最悪のタイミング。
恐らくマーダがアギドの能力を使い、ミリアの心中を読んで、もたらしたのであろう。
―ミリアを殺させはしないッ!
「ミリアを殺させはしないッ!」
誰しもが、ミリア当人ですらシグノの
マーダになった筈の
先ずはリンネを握る手を無造作にはたき落とす。後はミリアを乱暴に突き飛ばすより他に選択肢がなかった。
「アギドッ!?」
突き飛ばされつつも、アギドの
それを見たアギドは、彼らしくない
「
「アギドォォォォッ!!!」
ミリアの悲痛な叫びが、今度こそ少し口の悪かった
この時ミリアは、ようやく理解した。
アギドがあの時、必死さの中で目覚めた先読みの能力。それを
助けてくれた少年も、負けてしまった少年すらも守れる真なる力が欲しいと。
そんなミリアの身代わりとなったアギドは、ヴァイロの見た悪夢の通り、
けれど彼は達成した。それが『
(な、何てことだっ! よもやこんな形で予知夢となってしまうなんてっ!)
遂に
「フッ、フフッ………。
「え、え、ええ……」
「お、お前ッ、まさかッ!?」
遂にアギドが事切れてマーダに戻った筈であった。しかし当の本人は涼しい顔でシグノの上下の顎を両手で
そして先程ミリアがマーダの声に感じた違和感。またもミリアは感じる
姿はアギドそのものであったマーダ、不意に髪が伸び始め、色すら
人は過度の
だが脳内麻薬に
そもそもこの変身は、そこが
まるで生まれ変わりのような非現実感を見せつけられている何とも
しかもこの戦場にいる皆が
『フッ……。ミリアとか言ったか、中々賢いな。だが………残念だ』この台詞から既にミリアが感じていた違和感の正体。
パクパクパクッと
アギドを完全に失った悲しみにふける
「え、エディウスだとぉぉぉお!?」
「え、え、ええ………」
ヴァイロだって目前の冗談みたいな現実を受け入れられずに、新しいエディウスと地表に倒れている旧いエディウスを幾度も見比べる。
ミリアは突然降って湧いた自分に対する
「フフッ………。何て
声色だけじゃない、性格すら戦の女神と同一だと感じさせる台詞を吐くマーダであった。
◇
「え、エディウス様が二人!?」
「そ、空にもエディー!? ど、どういう事なの?」
「あ、有り得ない………出来の悪い演劇でも見ているのか?」
その頃、地上で
トリルを支えていた元・最高司祭グラリトオーレが
シアンとの戦いで両腕を失い、しかもマーダから強制的に
「断じて違うわッ! アレは
此処で確かな正解を、怒り混じりの声で言い放つ賢士ルオラ。確かに正しい事を言ってのけているのだが、『私の可愛い……』を公衆の
◇
「さあ
実に
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