第71話 そんな穢れた首は不要だ
それはシアンとて同じ心境。新月の効果で最大値を発揮しているレイシャに本気でやり合う礼儀。
シアンはエディウス……トリル相手にも使った槍の柄に
「ぬっ!? 二刀の
「フフッ………新月流『
レイシャが黒い二刀を
「やるッ! しかし不死鳥は、剣だけに
次に剣を左下段からカチ上げるシアン。
そのぶつかり合った反動を活かし、右上段の回し蹴りに切り替えるシアン。さりとてレイシャは二刀流。
左上段へ既に構えた二刀目が、手ぐすね引いて待っている。
「グッ!?」
燃え
「そ、そうか翼で……ッ!」
蹴りもフェイント。全身にさらなる
ダメージこそ大したことはないが、一瞬
そこを見逃す程シアンは甘くない。剣に貼り付いたナイフを二本分離させて、レイシャの足元を襲わせる。
「姉さんをやらせはしないと言っているッ!」
そこへ
「は、速いッ!?」
「もう……シアンの邪魔はさせない……」
レイジとて気持ちだけは折れない。両手を血で染めながらも必死で
だが
「………また首か。徹底しているねえ…そんな可愛い顔で
「………」
おどけながら抵抗を諦めたことをアピールするレイジであったが、レイチは冷たい顔を決して
しかしこのレイジの
「なっ!?」
ほぼゼロ距離でシアンの熱さを感じていたレイシャであったが、相手は
「下ッ!」
そう彼女が判断するが時既に遅し…。確かに真下に移動したシアンが、炎を
稲妻の
「どうしたっ? 早くトドメを刺して……」
「………勝敗は決した。命を取らないことを
両腕の流血をまるで
シアンは
「私は必ず生き延びる……。そして再びお前達の命を狙うかも知れないのに?」
「
レイシャの問いに静かに首を振ってからシアンは応答する。
「だが、もし私の大事な連中の
「……覚えておくよ」
レイシャは理解した。この
さらにあくまでも自分等に敬意を払い、これからも
「負けましたね……レイシャ姉さん」
「そうだな……。悔しいよ……」
遠ざかってゆくシアン達の背中を見ながら語るグエディエル
悔しいなと言うその顔には、まるで大切な友人を見送る
◇
マーダの中で未だ健在であるアギドの思念体。けれど彼の焦りは頂点に達していた。
―も、もう
アギドは自身の意識が薄れてゆくのを実感している。自分が周囲の意識を取り込み続ける事で、それらを処理し切れないマーダを道連れにする。
意識だけの存在という何とも掴み処のないこの者を倒すにはこの方法しかない。そう信じて疑っていなかった。
けれど実際には自分の意識を切り離され、アギドの姿という存在だけをチラつかせる事で攻撃的な意識を
自分の認識の甘さが、仲間達の足を引っ張り
―クッソオォォォォォッ!!
もうヤケの塊と化したアギド。決して誰も届くことのない怒りを爆発させた。
「ミリアッ! リンネッ! アズッ! ノヴァンッ!」
「そ、その叫びはまさかっ!?」
「そしてヴァイィィィィッ! お、俺を、この俺を殺してくれえぇぇッ!!」
―自分を殺せっ!
彼の思念がもう
これはさっきのマーダがやった
だが先程、
誰かが
そんな最中、マーダが竜巻と炎を
「ぐぅっ!
「アギド先輩ッ! 何でぇひでぇなッ! この俺様、レアット・アルベェラータを呼んでくれよッ!」
マーダの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます