第55話 アルベェリアの続き
リンネとミリアの元へ向かったヴァイロ。リンネは
ヴァイロは
(
そう思うヴァイロであったが、実にあっけなく自分とリンネのために用意した
ただミリアも共に三人というのが、この上なく予期せぬ事態である。戦いにおける相談といった
中に入ると既に寝袋と毛布の類が三人分、ご
「ほら、
「全く……。やっぱりリンネは、ヴァイと二人きりの時ですら、可愛げがございませんのね」
「いやいやいやいやっ! ま、待てっ! これ色々とおかしいだろっ!?」
カノンの住居にいるときと同じ様子で正座して誘って来るリンネ。いつもと同様で嫁らしさの
ヴァイロの扱いに関しては水と油だった筈の二人が、
「アハハハハッ………」
「ウフフフッ………」
夫の
「………ご、ゴメン。でもまさか此処まで判りやすいとは」
「わ、私達二人で話し合ったのでございますわ………」
リンネとミリアは事の成り行きをヴァイロに説明した。互いにヴァイロのことを愛する気持ちは
けれども今はそんな言い争いをしている時ではないし、二人とも決して互いを嫌う処か
特にミリアが
「だからね私達勝手に決めちゃった」
「二人でヴァイのお嫁様になりましょう……ですわってね」
話の締めくくりには二人の口調が逆転するという、まるで事前打合せでもしていたかのような遊びを見せた。
トドメに二人
互いに見つめ合ってくだけるリンネとミリア。長年二人を見てきたヴァイロにとって信じ
とても楽し気で此方まで気を抜くと浮かれてしまいそうになるが、
自分より10歳も若い少女達が、様々な互いの想いを
「ほ、ホントにいいのか? そんなんで!?」
この状況大変ありがたいが、笑えばいいのか泣けば正解か、判別不能なヴァイロである。
「だからぁ~、それが一番幸せだって言ってんの。で……今夜の
「い、いや…今はそれどころじゃ………」
「あっ! 音だけの奴じゃなくてホントの耳かきっ! アンタ
ペシッと自分の膝を叩いて「早く来なさい」と続けるリンネ。その
此処はもう言われるがまま、まな板の上の
そして耳の穴を
◇
一応戦闘配備状態なので就寝時という
しかし寝袋だと思っていたソレが、繋がって一枚の布団のようになっていたことにヴァイロは驚きつつも、もうどうにでもなれと潜り込む。
すると予定調和の如く、右隣にリンネが入り、左隣にはミリアが入ってそれぞれ横になる。
そして
流石に有り得ないのだが、互いの
判り合えた………というか開き直ったに近しい三人の関係だが、言葉でいくら
「お………起きてございますか?」
「あ、嗚呼………起きてるよミリア」
「流石に寝られないよな………。手ぇ……
彼女は15年という人生において、こうして意中の男性と同じ
あのツリーハウスの外で交わしたことを例外にすればの条件付きだが。
そして手を握ると言った筈の
「あ………そ、それは流石にズルいですわ」
明らかに右側の布団が
身体を真横にして夫の左胸を枕にしてしまう。
「お、おぃ……ふ、二人共………」
「大丈夫でございますわ、ここはあくまで戦場………」
「………そう、流石にこれ以上は
「フゥ………」
本当に互いの
一人取り残された神様が息を
グレーで長くサラサラなミリアの髪を
「こ、この状況で
自分だけは到底眠れそうにない。その大人気ない
「この二人こそ女神様ではなかろうか………。そうかノヴァン、確かに俺は意地を通すよ。二人も勝利の女神がいるのだからな」
この言葉を最後にヴァイロも取り合えず両目だけは閉じる事に。寝落ちてこそいないが、その顔は安らぎに満ちていた。
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