第10話 守りの覚悟
あれからさらに3カ月の月日が流れた。季節は秋を迎えている。エディウスと白い竜の
何故二度目がないのかは、あの時
それどころか竜の
いよいよ
しかしお陰で充分に錬成への準備をする事が
先ずはエディウスが
しかも
こればかりは、リンネの
ヴァイロはフォルデノ王国の有力な貴族に、守りとしての竜の必要性を
ロッギオネから来た女神が竜を率いて襲撃してくる恐怖に対抗するには、此方も
竜・ドラゴン……モンスターが存在するこのアドノス島においてすら、実像がハッキリしない生物を兵器として
たとえ戦いが起こらぬとも、竜を
かくしてヴァイロの望む準備は、全て
◇
アズールとミリアは実戦さながらの
「グラビィディア・カテナレルータ………」
「…………
「…………解放せよっ、我を
「「『
アズールとミリアがそれぞれに重力の
二人が宙に浮く。舞台は
「ロッカ・ムーロ、
ミリアが空中移動しながら、いつもの防御系魔法を使う。一見変わった様子は見えない。
「
アズールも得意の
(ミリアの
アズールの
てっきりミリアに止められると読んでいた彼は、
そこへミリアが彼の想像を
ミリアの
彼女は輝いた右手を振りながら、落下する石を全て
「アズっ!
「グワッ!?」
ミリアの輝いた右手の手刀が、アズールの頭を上から叩く。
「それまでだっ! ミリアの勝ちとする!」
二人の戦いをさらに上から眺めていたアギドが勝敗を告げる。彼の
「グッ……」
まだやれるとばかりに身体を起こそうとしたアズールだったが、首筋にミリアの手刀が触れている事に気付くと流石に敗北を認めた。
「アズっ! お前どうやって負けたか説明出来るかっ!」
空から
「ミリアの手刀、そこに
「な……そ、そんな事が出来るのかっ!?」
「ミリアは自分の周囲全てを防御するのではなく、あえてその右手だけに集約した。だからお前の
アギドの説明が続く中、ミリアは未だに手刀を首にあてがうの止めようとしない。
「さらにミリアの急加速。あれはお前が落としてくれた岩を
「な、何だって……防御魔法の
「フゥ……」
勝敗の一部始終の説明が終わると、ようやくミリアは術を解いて、手刀をあてがうのを止める。
そして未だ地面にしゃがみ込む敗者に厳しい視線を送った。
「アズ、貴方が私達の切り込み隊長。その能力は充分に評価していますわ………」
「………っ!」
「けれど私は皆の命を
そこまで言い捨てるとミリアは、ようやく手を差し
「じ、自分で立てらいっ!」
その
太陽が当たらない地面は、深まる秋でさらに冷たさを増し、アズールの腰を
「お、俺だって好きってだけで炎系の魔法を使っている訳じゃねえっ! 道を切り開く、それがこの俺の仕事だっ!」
「それが判っているのなら、もっと
二人はそう言うと互いに背を向けた。空から一部始終を見ていたアギドは少しだけ笑う。
(あの二人、互いの能力は認め合っている。あとは、もう少し仲良くなって欲しいものだ)
彼はそう思うのだ。ただアズールの好意とミリアの意識が、完全にすれ違っているのも判っている。そんな複雑な想いにかられた
ただ半年前に彼自身がミリアに、手を差し出した方だった気持ちも
「ムッ………二人共自力で上がって来れるな? ヴァイが呼んでいる」
「と、言う事は………」
「遂に竜の
アギドがヴァイロの呼び出しに気づく。それを聞いたアズールとミリアの顔が
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