第9話 竜の音
こちらはロッギオネ、エディウスの
この島で一番広大なラファンの山脈をほんの一時間程で飛び返ってきたエディウス。
鎧を脱ぎすて
パキッ、床を
「ルオラ、入る時は……いや違うな。お前、我が帰ってくるのを勝手に入って待っていたな」
「だってぇ……黙って出ていく
この女神をエディーなどと気軽に呼んでいいのは、二人きりの時のルオラだけだ。
「私の可愛いすぎるエディーちゃん!」
「おぃ、流石に
ふくよかで身長も高いルオラがベッドに潜り込んで添い寝する。
一応文句を言わずにはいられないエディウスだが、こんなルオラに普段の自分の立場がまるで通じないことを理解している。
「アッ、こ、こら…ひ、人の話をっ!」
「ウフフフッ……嫌がってる割には、
「アッ、ハァ……」
(ま、全く……わ、我も暗黒神の事をどうこう言えんな…)
お互い神と呼ばれながらも
「で、わざわざ向こうまで出向いた
「アッ、よ、よせ……ま、マトモに
息を荒くする女神を実に楽し気な顔で
「あ……ああ、あったぞ。し、しかも想像以上だ」
グッタリとルオラに身を任せながら、どうにか返答するエディー。
その答えにルオラの手が止まる。急に止められて、それはそれで切なそうな顔をするエディーを
「へぇー……じゃあ早いとこ皆で行って、
「い、いや……アレにはもっと力をつけて
「………どういう事? シグノというドラゴンすら
エディーの返答に、流石にふざけていたルオラの顔色が変わった。
相手も神と言われているのだ。これ以上力を増して
「そ、それは流石のお前にも教えられん。シグノは残念ながらワイバーンを
「私にも教えない……ふーんっ、そんなこと言うんだあ……」
「よ、よせっ! や、やめ………」
解答を
◇
あれから約3カ月の月日が流れた。ヴァイロは結局アギドの申し出を受け入れ、さらなる上位魔法を与える事にした。
アギドだけではない、アズールとミリアにもこれまで
しかしそうは言っても
そしてヴァイロ自らは竜の錬成方法について、未だに頭を
例の夢の景色を絶対に
なれどそれを知らない周囲にしてみれば一体どうした? という気分であったに違いない。
その中でも特に面白くないのはリンネである。暗黒神の魔法も使えないし、ドラゴンの知識もない。
彼女の振るった力、
力に名前を付けただけの事で、竜の力を秘めている訳ではないらしい。
またもあの日の再現の様に読み捨てられた本を片付ける訳だが、ふと読めない字が書かれた本に目が
「ヴァイ、これ………」
「んっ? ああ、東の果てにある日本の書物だな。
「ふうん……」
読んでも何も判らない本のページを、リンネは取り合えずめくってみる。字は解読出来なくても絵も
そのページには巨大な蛇の様な生き物が、飛んでいる所が描かれている。
身体はそれこそ蛇らしく長くうねっているが、小さな手足と頭にはたてがみ……というべきなのかちょっと
長く赤い舌がまるで火を吹いている様に見えなくもない。
「ヴァイ、何度もゴメン」
「んっ? どうした?」
「この絵……なんかとても気になっちゃって……」
リンネはそのページを大きく開いてヴァイロに見せた。
「それは竜。東洋でいう処のドラゴンだ」
「ドラゴン? この蛇みたいのがっ?」
「だよなぁ…俺達の想像する脚が四本あって、身体の大きいあのドラゴンとは似ても………」
そこまで言ってヴァイロは口を閉じて腕を組んだ後、突如
「ど、どうしたの?」
リンネの言葉を聞かず、ヴァイロは
「あ、あったっ! これだっ!」
何だか
リンネが後ろから
「えーと……”竜”。竜(りゅう、りょう、たつ、龍)は、神話・伝説の生物………」
ヴァイロが調べたかったのは東洋の竜らしい。しかし首を
「リュウ ・リョウ・ リン……っ!」
「な、何? 一体何なの?」
急にヴァイロに肩を
「リンネ……
「もぅっ! だから何だってばっ!」
ヴァイロがそのままリンネの肩を力強く
「声だっ! 音だっ! お前の力が俺のドラゴンに本物の声を与えるんだっ!」
「…………っ!?」
「なんでこんな簡単な事に気がつかなかったんだろ? 早速錬成の準備を始めなくてはっ!」
ヴァイロは一人はしゃいで、リンネをギュッと抱きしめるわ、頭をくしゃくしゃにしてやりたい放題。
やれらてる方は訳が判らず、
しかし大好きなヴァイロがようやく笑顔を取り戻した理由が、どうやら自分にある事を認識すると、彼女の顔も
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