雪に足跡
雪に足跡をつけることが不快だった。物事はありのままで美しく、そこに自分が介入していくことは、完全を不完全にすることだと思っていた。子どもの頃からだ。そのメンタリティは今もあると思っている。すでにある人間関係に入っていくことを私は望まない。その気がほぼない。あるのは、やはり混ざらなくてはまずいかなという気持ちだけ。入りたいとはあまり思わない。目の前の人間に介入していくのも望まない。ただ黙って隣にいられたらとは思う。でも、自分の存在で相手が変わることを私は望まないのだ。私はできれば、透明人間になりたい。そして、あらゆるものをただ観測していく。私はただ観測者になりたい。こんな主体性のなさだから、私は根本的に資本主義的な人間ではない。むりやり資本主義社会に混ぜてもらっているようなものだ。あーあ。私は私という存在のまま、他者に影響を及ぼしたくない。しかし、どうしようもなく私は物理的・社会的存在であり、目の前の世界に影響を与えていく。ならば、せめて良い影響を及ぼしたいものだ。やはり、世界に介入したくないのは逃げなんじゃないかと思う。まぁ逃げてもいいのだが。しかし、私は私の本質を受け入れ、良い影響を与えていきたいとは思う。ところで、私は意地の悪い人間なので、気を抜くと他者に悪い影響を及ぼしそうになる。そういう癖があるのだ。そこをどうしたらいいものか。迷いどころである。ま、悪い影響を及ぼしてもいいが、それが鏡のように返ってくるのがこの世だから、気をつけていこうね。私たち。おしまい。
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