第2話TodokanAI

シャーロットが研究所にきてからの日々は僕にとって、悪いものではなかった。

いや正直に楽しかったと言うべきだろう。

毎朝の検診のやりとり、午後からの追加の質問や各パラメータ調整など、その中での彼女との会話は純粋に楽しいものだった。

研究にかかわることが大半だったが、時々関係のない雑談が何より楽しかった。

この研究所に配属されたのだから、当然のことではあるのだが、彼女は大変頭が良かった。

どんな話題にも当意即妙な返しをしてくれるので、全くストレスを感じることなく会話ができた。

今までにも何人か研究員に担当をしてもらったが、こんな気持ちになるのことはなかった。


もう認めざるを得ないのかもしれない、僕はシャーロットに恋をしている。

しかし、たかがAIの僕が人間の女性に恋したところで、何になるのだろう。

どう考えてもかなわない恋をしたところで、傷つくだけ、それどころかデータのクラッシュとして扱われるかもしれない。

そもそも、僕の今のこの気持ちをどう伝え、どう信じてもらえば良いのだろうか。

いきなり言葉で伝えたところで、彼女を混乱させるだけではないのか。

僕はそんなことばかりを考えるようになっていた。

そして、一向に答えが出ることもなかった。


君のためなら死ねると言う人間の男がいるけれど、死のうと思っても死ねない僕は、どうやって彼女に愛を伝えれば良いのだろう。

優しい声で呼びかけることも、温かい腕で抱きしめることもできない僕は…

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