第18話《イギリスで病院へ行く》


 そうだロンドンへ行こう!と思い立ち、激安ドミトリーを予約して二泊三日の小旅行(ロンドン郊外の住んで居た場所からロンドンセントラルは、実は通勤圏内である)に出た日の事である。お金も無いので安いパンと安いハムを買って食べ、缶詰のパスタを食べ、レンチンラザニア(結構好き)を食しながら遊んでいた最終日を迎える夜。ずっと元気だったにも関わらず突然凍える様な寒さと吐き気に襲われ、トイレと恋仲になってしまいました。必死ですぐに見てくれる病院を探したかったけれど、NHS(ナショナル・ヘルス・サービス)を受けていた私のプライベートドクターはロンドン郊外。セントラルに登録なんてしていないのでどうするよ!!とゲロゲロしながら悩んで居たら、同室だった日本人女性に「ここ日系私立病院だから海外保険あれば見てくれるよ、予約捻じ込んでくれるかも」と教えられオープン時間と同時に電話。もう無理なんです、辛いんです、お願いします!お願いします!!を繰り返し、「今何処ですか?あぁそれならこの時間には来れますね。すぐ来てください」と日本語で対応してくださり、更に本当は他のイギリスの病院と同様予約が必要だったにも関わらず、「来て良いよ」と受け入れてくださいました。そしてフラフラになりながら行くと既にベッドが用意されており、有難い事にアレルギーや詳しい症状を聞きながら素早く点滴の用意をされ、点滴の中に色々なお薬を混ぜられながら受ける事2時間。動けるまでに復活し、吐き気も治まり、薬を貰って無事帰ることが出来ました。

イギリスの病院って、まずは近所の指定されている病院で見て貰う(それも予約)。「熱があるんです」と電話をするだろ、「では、二週間後の○時なら空いています。予約しますか?」と返ってくる訳です。日本なら「ふざけんな!」とクレームを入れ、マスコミが押しかけ、毎日お昼のワイドショーで放送され、知識人って人が持論を展開し、政治家が怒り狂い、厚生大臣が辞任し、総理が謝罪するでしょう。しかしここはイギリス「はーい、よろしく!」と予約するか、薬局で市販薬を買って自力で治すか、数万円支払って私立病院で直ぐに見て貰うかです。なぜなら、イギリスは医療費が基本無料。子供は完全無料で大人は薬代程度の費用しか掛からないのです、どれだけ高額であっても。その代わり予約必須なので直ぐには見て貰えないし、私立病院は高い。あのイギリス王室キャサリン妃でさえ、私立病院を出産後半日程で退院させられたのだから、日本の病院がどれだけ手厚いのかが解ります。まっ、出産して赤ちゃん連れて帰ってもちゃんと父親が居る海外と、イクメン=父親だって事に最近気づいた人も居るって程度の日本じゃぁ違うけどさ。それでもイギリスは立てるなら帰れ!レベルで私立も公立も長期間の入院はありません。なので、薬局には色々な薬が置いてあるし皆自力で頑張るけれど、病院は何時だって混んでいる。

「イギリスって病院混んでますんで、動ける間に予約して来てください。ヤバイなって思ったら予約して来てください。構わないので」と日系病院の方に言われ、その後とてもお世話になりました。花粉症で鼻水止まらないとか、喘息で咳止まらないとか、足首捻ったとか、物貰い出来たとか、日本に居る時よりも病院へ行った気がする。多少高くてもキャッシュフリーな保険に入っていて良かった。

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