第61話九州入りⅢ




「殿、大変で御座います」


三好長慶「なんだ、何が起きた」


「島津軍が川向こうに突然現れ迫っております」




毛利と三好の5万が日向国の川で、島津貴久しまづたかひさと激突。


午後13時に始まった戦いが14時に終結。

1時間の戦いで勝敗が決まってしまう。


毛利と三好は、島津貴久軍に敗北。

敗北の原因は、島津軍の狂気のような戦い方であった。

兵士が死んでも、屍を乗越えて死に物狂いで来る島津軍に両軍も怖気ついた。

それが原因だった。



三好長慶「なんなんだ!奴らは狂ってるぞ」


安宅冬康「兄上、ここは鉄砲隊で待構えるべきでした。柵で待構えていれば鉄砲隊の敗走もなかったハズです」


三好長慶「しかし、途中から3万の島津軍になったが負けるとは誰が思う。誰も思いもしなかったぞ。なんの策もなく、ただ迫って来た敵にあれ程の威力があろうとは・・・だから悔しいのだ」


「あ!あれに見えるは、織田軍と一色軍ですぞ」



悠々と高台に現れて、永楽通宝の3枚が描かれた軍旗をたなびかせている。


島津軍は、織田と一色の両軍を見て追撃をやめて引き返した。

余りにも逃げっぷりに織田信長も感心する。


「見よ一色殿、島津が逃げ出したぞ」


「殿、追撃しますか・・・追撃なら、この柴田に御任せください」


「あれには追いつけないであろう・・・待ち伏せでもあったら大変な目にあうぞ。柴田には分からぬであろう・・・」




三好実休「兄上、無事でしたか・・・」


三好長慶「我らは助かったのか・・・忌々しいが織田に借りが出来たようだな」





島津貴久は、兵力差があり過ぎると痛感。

戦線の縮小を図ることに・・・


島津軍は地の利を活かした。

逃げる振りをして狭い所へ誘い込んで、鉄砲で撃ちまくる作戦にでた。


「撃て!撃って、撃ちまくれ!この1戦に掛けるのだ!」


島津は、古くから独自に貿易をしていたので鉄砲も良く知っていた。

鉄砲が種子島氏より献上されると数年後には実戦で利用。


ポルトガル船などから銃や洋馬を輸入。

新しい産業事業も起こした。

その日は、連合軍は2千もの兵を失う。





三好長慶「狭い場所は不利だ!」


織田信長「ならば広い場所でどっしりと待構えて、足止めさせて1万の軍であっちこっちを攻めれば良い」



薩摩の要所に柵を作って待構える連合軍。

島津軍も要所を守るポイントをよく知っていて、すでに全軍で守っていた。



「殿、大隅国が攻められております。どうなされる御積りでしょうか・・・このままでは・・・」


「分かっておる!分かっていても・・・ここから動けぬことをソチも分かっていよう。もし動くならば・・・」


そして島津軍は動いた。

大隅国へ行くこともなく薩摩の清水城へ下がった。



織田信長「なんだろう城か・・・哀れな・・・」




清水城へ着いた時には、1万の軍勢が空堀や板塀などを用いて清水城を守っていた。



三好長慶「城をあのように大勢で守れるものなのか・・・」


「2里の後方に島津軍2万が隠れているようです」


三好長慶「ならば・・・ここまで来るまでに決着をつけようではないか」


「殿、準備が整いました」


三好長慶「撃ち放て!」


大砲が撃ち放たれた。


守ってる城が爆発して、空堀の兵も驚くしかない。


2時間もしたら清水城は、城でなく廃城状態。


急いで来た島津軍2万も呆気なく降伏。


ようやく九州平定が終わりを告げた。


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