第60話九州入りⅡ
港町の博多を見下ろす形で立花山城は、建設されている。
筑前でも重要な拠点でもあたった。
城としての防御機能より港を使った経済活動を優先。
なので落とし易い城でもあった。
織田信長は、そこに目をつけた。
だから豊前国の毛利が戦う現場を無視してここまでやって来ていた。
「サルよ、使者として降伏勧告をしてまいれ。必ずよい返事を持って帰るのだ」
もう、織田信長の無茶振りでしかない。
「はい、それでは行ってまいります」
「サルの帰りが遅いぞ・・・もしかして殺されたか・・・」
「それでは本格的に攻めますか、その御役目を柴田勝家に御任せ下されませ。必ずや落としてみせます」
「あれは、木下殿ですぞ」
「殿、立花山城は無血開城で御座います」
「よくやったぞサルよ。ここをサルに任せる」
「本当で御座いますか・・・木下は嬉しゅう御座います」
柴田勝家は、舌打ちをしていた。
勝家が任された城より、活気があって税収が望めるからであった。
川の北に位置する大友軍に対して、信長が率いる軍は南に布陣。
川を挟んで睨んでいる。
大友軍2万に対して織田軍3万。
ほら貝が鳴って、川を挟んで両軍が激突する。
勝家の軍は敵を討ち破り、追いかけつつ、ここかしこで敵を殺しまくった。
勝家は、戦前に「一番隊でなければ、戦に勝ったと言えぬ」と
それに対して木下軍は迂回して、前面に注意する大友軍の本陣を攻めた。
その活躍はいちじるしく、主立った者を捕らえたり討ち取ったりしていた。
この戦で織田軍の
「勝家、見事であった。サルもよくやったぞ。両名は我の宝ぞ」
勝ち戦の信長は、上機嫌である。
しかし、1度怒ると怖い人物でもあった。
激戦が終わりかけた頃に、
その数は3万。
「帰蝶に言われて、織田殿の助けになればたと来て見たが・・・終わっているとは、なんとも・・・」
信長は思った。
この数なら相手も恐れおののき、すぐに降伏するだろうと・・・
毛利は、豊前国を攻略して南下、豊後国で三好と鉢合わせになる。
織田軍が一色軍と合流したことを知って、豊後国を折半。
共同で肥後国と日向国へ攻め入った。
俺は、なぜか支援活動に勤しんでいる。
織田も三好も食料を1ヶ月分しか持って来てない。
俺を巻き込んだから兵量なんか御構いなしだよ。
紀元前の兵法書『孫子』の作戦篇には自国から食料を輸送するとコストが高い。
なら敵側から食料を奪うのが良いと説いている。
しかし、後々支配する土地でそんな軍事力を使った略奪なんてダメに決まってる。
現地住民に提供してもらうようお願いす。
又は低コストの船の輸送で賄えばいいだけだよ。
それが出来るのが俺だ。
蔵に仕舞ってあった古米を放出。
「もってけ泥棒が・・・」
麻袋の米が船から陸へ運び込まれる。
それをリヤカーでおっちらおっちらと運ぶ。
この時代の道は狭く悪路だからね。
「どうか米を下さい」
大勢のお百姓さんが飢えに嘆いていた。
なんてことだよ。
自国の民から大友は米を奪ってたよ。
なんて卑劣な奴なんだ。
キリスト教の信徒になったのに、そんなことをするんだ。
世知辛いね。どうせ奪われる米なら奪ってしまえ・・・なんて短絡的な行動だ。
俺はアイテムボックスから俵を出して与える。
「
ああ、なぜだろう。
貰った人々も「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と唱えてるよ。
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