第57話毛利




毛利に播磨から織田軍が攻めようとして、準備が着々と進んでいた。


「その荷物はきっちだ。急げよ」


「分かってるよ。急ぎますよ、これで飯を食ってんだ」


「おいおい、こっちの荷物は数が足らないぞ」


「すみません。これで足りますね」


「これで1ヶ月は飯に困ることはないな・・・」




織田信長は、暗くなったのに微笑みながら馬上より見てた。

はやる気持ちがそうさせている。


「どうどう、赤馬せきばよ興奮するでない」


そんな信長の前に伝令係りがはせ参じた。


「殿!大変で御座います。石山本願寺の残党が農民を扇動して一揆が暴れております。このままでは、まだまだ広がる恐れが・・・」


「なんだと!こんな大事な時に・・・」


「どうされますか?」


「2度とこのようなことが起こらぬよう、叩き潰してくれるわ。サルよ、引き返すぞ」


馬上で「きさまら!後に続け!!」


周りは動揺を知らずに、織田信長は去っていった。


「何をしている引き返すぞ!遅れた者はどうなるか考えよ!!」


サルは、本能寺の変のように中国大返しを小規模にした播磨返しをするのであった。


もう夜の街道の村々に握り飯を作らせて、かがり火で街道を照らさせる。

そのお陰で、無事に朝日が昇る頃には、集まった一揆と激戦を繰り広げる。





その頃、三好軍の船が毛利に向かって出航しようとしていた。


三好長慶みよしながよしも船に乗り込んで、海を眺めていた。

そんな長慶を安宅冬康あたぎふゆやすは見てた。



「殿!三言殿の忍者が土佐の長宗我部元親ちょうそかべもとちかの裏切りを知らせに来ております。なんでも我が軍が毛利を攻めたスキに攻め入る準備を整えていると・・・」


三好長慶は、激怒した。


「なぜだ!この大事な時に邪魔をしおって!毛利攻めはやめじゃー。土佐へ攻め入るぞ」



三好長慶は、土佐の国境で長宗我部軍と鉢合わせをする。


「やはり本当であったか・・・この戦は必ず勝つぞ・・・鉄砲隊は前へ」


「殿、勝ちましょうか・・・」


「よく見ろ。この地形ではあの街道しか通れぬ。5~6人が攻めても鉄砲で狙い撃ちにしてくれるわ」


狙いに長けた者が前に。後ろには鉄砲の弾込め係りが・・・


「それでは某がこの地形を調べて迂回道を探し当てたならば、攻めてもよろしいでしょうか・・・」


「そうだな・・・この道だ。戦う数は少ないからな・・・発見したら好きに攻めてよいぞ」


「必ず成功させてみせます」





播磨では、毛利の忍者が次々に殺されていた。


「ムササビの兄貴、1人をやってきましたよ。昨日より毛利忍者の数がだいぶ減りましたね」


「油断するなよ。奴らは密命をおびているからな・・・毛利は暗殺を恐れてバカな行動をとってしまった。それで石見銀山を天皇に献上して許してもらう積もりらしい」


「それなら忍者を通しても良いのでは、今回の説得期日は今日だよね」


「お前はバカか・・・千秋殿の考えは違うのだ。織田も三好もあてにできなくなったからな・・・毛利は大きくなり過ぎた。だから攻めて領土を減らしてから許す積もりなんだよ。石見銀山も戦利品として奪って天皇に献上するらしいぞ」


「頭のいい人は違うね」






海を気持ちよく走る軍船から海を眺めていた。

説得の期日は過ぎたか・・・

とうとう俺らが出る羽目に・・・面倒だな。



「提督、そろそろです」


「準備は万全なの」


「万全です」


千秋は張り切ってるな。

提督の位まで勝ち取って、6隻の軍船を指揮してるよ。


あ、あれは村上水軍か



「撃て!」


ああ、端微塵ぱみじんに吹飛んだよ。

あっちも吹飛んだぞ。

それでも来るのか村上水軍。



俺の所へ、通信士が駆け寄ってきた。


「三言さま、因幡8.9万石、美作18.6万石、備前20.3万石が全て召し上げたそうです」


期日が過ぎて3日目だよ。

もう、そこまでやってしまったのかよ。


因幡へは、百地正永、薬袋庄馬が引き連れた忍者軍団と2万の兵が攻めた。


美作へは、稲葉歳三が引き連れた3万の兵が攻めた。ライフル銃の威力は絶大であった。


備前へは、服部半蔵の忍者軍が城を呆気なく燃やし尽くす。

逃げ出した兵に4万の兵が襲いかかる。

もう、一方的な戦いで下した。





「毛利は、周防16.8万石、長門13.1万石で許しましょう」


いつの間に千秋が・・・


「それは決まったことなのか」


「そうですよ・・・帝や公家からも確約を頂いてます」


そうなのか・・・



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