第55話石山本願寺
「もう、三好に恐れることはないわ。わはははは・・・三好も我と同じ思いをしたようだな。しかし、我は我ぞ・・・」
毛利や堺からの物資が急に止まり、石山本願寺は慌てふためいた。
織田軍を想定して流れ者などを多く雇い入れたからだ。
「どう計算しても10日しか食料はもたんぞ」
「
「顕如さまの食料は確保しろと・・・」
「まだそんなことを言ってるのか・・・」
織田信長の後ろにあらあらしく歩く者が・・・「申し上げます」
振向いた織田信長が「なんだ滝川か何か良い知らせでもあったか」
「京のことで御座います。田宮千秋殿が公家たちをそそのかし足利義輝の将軍職を廃止したと・・・そればかりでは御座いません。将軍の家臣だった者も手なずけて座敷牢へ監禁させたと」
「なんと・・・そのようなことを・・・
「公家領を管理し石高を倍増してみせたようで御座います。そして、御所の改築を申しでたようです。公家は、某にも何かくれるのかと・・・これは失言しました」
「そのような方法で・・・あなどれぬ女子よ。わはははは・・・」
そこに使いの者が現れた。
「石山本願寺より逃げ出した者を捕まえて白状させたところ、食料不足にて後数日で底をつくと申しております」
「後、数日の辛抱か・・・」
織田信長が見てる前でカタパルトの発射実験が行なわれた。
カタパルトに載せられたのは、ガソリンが入った水がめだった。
厳重にフタがされて漏れないようにしている。
「あれで石山に届くのか、その前に割れるのではないのか・・・」
数名の家臣が「そのようなことは御座いません。何度も試しましたので・・・失敗した時は腹を切る覚悟で御座います」
「ならば良い。その成果を見せよ」
「放て!」
カタパルトがビュンと投射。
空に舞い上がった水がめは、見事に石山の中に落下。
弓矢の先に炎が付けられると、弓がギュギュギュと引張られる。
ビュンと燃える矢が放たれる。
水がめと同じ軌道で石山に落ちる。
「おお、燃えているぞ」
「ガソリンはよく燃えます。扱いに注意が必要で御座います」
「ガソリンと言えば、ちまたの耕運機なる物があると聞いた。そちは何か知っておらぬか」
「知っております」
「知ってるなら話してみよ」
「ガソリンを燃やしてピストンなる物を上下に動かし回転力をえて土を耕します」
信長が
2サイクルエンジンのうろ覚えを、地面に描きつらねた。
「ピストンが上昇する間に排気と吸気と圧縮を行ないます。そして、爆発によってピストンが下降。この力が動力です。この上下を目で確認できない程の速さです往復するのです」
「この筒内でそのようなことが、直に見たい」
「え!・・・お値段は、高くなるかと・・・」
「気にするな。それぐらい払うぞ」
「お、まだ燃えておるぞ。このまま続行しろ」
「は、はーー」
織田信長の急な作戦変更で大慌てになる。
用意した水がめは10しかない。
誰もが石山本願寺を燃やし尽くすほどとは思ってもいない。
それでもカタパルトで撃ち放つしかない。
「急いで油屋で油瓶でも何でも運んで来い。よく燃えるならなんでもよいぞ」
水がめを8回も放った時に、正門が突然に開き大勢の人々が逃げてきた。
「降伏するから助けてくれ」
「もう、やめてくれーーどうかお願いだ」
そこに織田信長が現れた。
「なんだ、もう終わったのか・・・情けない奴らだ」
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