第54話三好長慶
「なぜなんだ・・・三好を裏切りおって」
「兄上、そんなことに目を向けてはなりませぬ。このお方こそ天下を一つにまとめて強豪列国に立ち向かう時なのです」
「強豪列国とな・・・そんなものは知らぬわ。そんな見た事ない国に恐れる必要などないわ」
俺は、安宅冬康に近づき囁いた。
「何!・・・まことですか・・・はい・・・では治せるのですか・・・」
「何をこそこそと話している」
「兄上、大事な話です。お人払いを・・・」
「それは無用。ここにいる者は信用できる」
「それでは、
「なんとバカなことを申すか・・・痴れ者が」
「息子の命が惜しいと思いませんか・・・三言さまなら治せる病なのですよ」
「それはまことか・・・嫌、そんな・・・」
居ても立っても居られない義興は、「父上」と叫んでいた。
そこで三好長慶は、息子が
息子を諦めて、実弟・十河一存の子を養子に迎え入れようと考えていたからだ。
「兄上、試してみてはいかがですか・・・治ればヨシで治らない場合は、某が腹を切ってみせます」
「その方がそれまで言うならば・・・試そう・・・そちらは下がれ」
俺は、義興に近づいて脈を取った。
口を開けてもらってベロを見る。
そして目を見る。明らかに白い部分が黄色く染まる症状の黄疸だ。
聴診器で腹や背中まで聞いたよ。
その症状を細かいくメモして後で検索して調べればいいかと思った。
何の病気かさっぱり分からん。
しかし、死期が迫ってることはなんとなく分かる。
光魔法なら病名も分からないまま治せるからね。
後々の治療方法検索して、書き残すことが重要だったよ。
それでは始めようか・・・
義興を寝かせて光魔法を発動。
ああ、淡く体中が光だす。
その光が徐々に消えて消滅。
義興は、目をゆっくりと開けた。
「なんと、目が元に戻っているぞ・・・義興よ、体は・・・」
「父上、嘘のように治りました」
あああ、親子で抱き合って泣いてるよ。
えええ!安宅冬康も抱き付いたぞ。
「兄上!」
「冬康!」
「叔父上!」
「義興よ!」
その後、グード図法の世界地図で講義したよ。
グード図法は、みかんの皮をむいて見せた感じの地図。
国の大きさが拡大することが無く、国を比較しやすいからね。
世界地図で代表な円筒図法は、北極と南極の国々は大きく見えるからね。
アフリカ大陸は、他の大陸と比べると小さく見える。
実際は赤道付近だから大きいハズの国なんだ。
グリーンランドなんか、あんなに大きくないからね。
三好長慶も息子の義興もビックリしてたよ。
「これが日本国だと・・・その小さな島が四国とは・・・」
「すると南蛮人は、ここもそこも植民地にしてるのか・・・」
「カトリック教のイエズス会もは危ない存在なんだ。本人はよい事をしてると思ってるから性質が悪い」
「その訳は・・・」
「カトリック教の教えは、教皇や神職者は基本的には妻帯は禁止で、
「良いことでは・・・」
「それが実際は妻もいるし愛人もいる。賄賂も喜んで貰って腐敗してしまったんだ」
「なんと、そのような・・・」
「そこで宗教革命が起きてプロテスタントが聖書の基本に戻そうとしたんだ。だからプロテスタントの中には、教皇のような権力者はいない」
「それなら良いではないか・・・」
「カトリックが弱くなって、プロテスタントが強くなったんだ。だけどカトリックも黙ってない。イエズス会を作り世界の人を信者にしようとしたんだ」
「それは壮大な野望ですな」
「そこでスペイン帝国とイエズス会の野望が繋がることになって、国々を武力と文化で侵略してしまうってワケだ。ただし日本に来て当てがハズレる。それは何か分かるかな」
うーんと唸っている義興が
「それは鉄砲ですか・・・同じ武器を使っての戦いは数で難しいと・・・」
「正解!そこでイエズス会を使って文化侵略しつつ、スペインに味方する大名を取り込む作戦を考えた。スペイン帝国は、やることが卑劣なんだよ」
「だから日本の中で
「そうですよ、兄上・・・」
よっしゃーー!三好がこっち側に寝返った瞬間だ。
今では、四国の讃岐、阿波の2国となったが、中々な大名だからね。
讃岐12.6万石
摂津35.6万石
淡路6.2万石
ガンガン開拓して石高を上げたら喜ぶだろう。
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