第49話摂津国




三言寺で冬眠から目覚めた白い熊相手に、まったりとしていたのに・・・

緊急連絡だよ。


じゃれつく熊を驚愕しながら報告する通信士。


「堺の加賀屋からです。織田軍兵4万6千人が堺を包囲。堺衆と交渉してるもよう・・・」


なんと織田が堺に攻め入ったのか・・・伊勢、紀伊と攻めても飽き足らないのか? 。


ああ、これは三好の戦いを避けられないぞ。まだまだのんびりしたかったのに・・・


「兵を集めるのだ。分かったな」


「はい!」




10万に膨れ上がった軍勢で山城国の京へ。


「三言さま、京には三好勢はおりませぬ」


え!いないの・・・


「わたしが京の公家や将軍を相手します」


そう言って残すと千秋は、田吾作じいさんと行ってしまったよ。



一部の軍勢を京に残して、丹後国、丹波国、摂津国に攻め入ったよ。





ここは大阪か・・・


「三言さま、あれが安威城あいじょうで城主は、安威弥四郎」


安威弥四郎・・・?

全然知らんよ。あ!三好の旗もなびいてるぞ。

相当数の三好勢もこもってるようだな。



「三言さま、我楽がらく忍者のムササビです」


「う・・・何か情報でもあるのか・・・」


「1里離れた場所に三好1万がひそんでいます」


「それなら、この暴れん坊が成敗して来ます」


え!・・・もう、走り去ってたよ。





後で聞いた話だと5千の兵力で挟み撃ちにしたらしい。


「あれが三好勢か・・・ライフル隊は、1刻後に撃ち始めろ。俺らは後方から攻めて蹴散らしてくれる」



1刻(30分)が過ぎようとした。


「よく狙って撃て!!」


ライフル銃による総攻撃が始まる。

800丁のライフルの銃声が、その場を支配。


三好勢は、放たれた銃弾の数だけ倒れだす。

余りにも油断していた。

2度目の銃声でも同じ数だけ倒される。


「竹盾で守れ!!」


命令していた武将の眉間に銃弾だ命中。


それでも竹盾で守りながら前進。


ライフル隊に向かって突撃したタイミングで暴れん坊が後方から攻めた。


暴れん坊が通ったあとには、血の道が出来ていた。

一振りで数人が無残な姿になってる。


そのあとを追うように三言勢も果敢に戦った。


もう、大混戦のまま三好勢を蹴散らしたようだな。

逃げて出した三好は、せいぜい2千にも満たない。





俺は、安威城を攻めやすいポイントを選んだ。

そして巨大カタパルトをポン、ポン、ポンッと出したよ。


待構えたように石が運び込まれる。

そんなに集めて攻撃するのか・・・何か嬉しそうに運んでる。


「石の準備ヨシ!」


「発射!!」


あ!撃ち放った。


ああ、悲惨な悲鳴がここまで聞こえてきたぞ。


またまた石が飛んだよ。

今度は土壁に命中。土壁をえぐって1回跳ねた。

又も悲鳴が・・・


ああ、呆気なく安威城は落城。降伏する暇さえ無かったよ。







「あれが摂津国の有岡城です」


「ここは珍しく天守台を持つ平城だな・・・」


「巨大カタパルトだと攻めやすい地形かと・・・」


「分かったよ・・・早く出せって言いたいのだな・・・」


そんな会話に割って入ったのが忍者のムササビだ。


「もう、火事の準備が整いました」


「それって放火するのか・・・」


「火遁術で御座います」


ちょっと考えたよ。


「ムササビ、任せた」


手に持った打ち上げ花火が点火。


「シュパッ」と天高く飛んでいったよ。


それを合図に有岡城のあっちこっちから煙が・・・


火事に強い土壁が黒くなりながら崩れた。



開門された門からゾクゾクと出てきたぞ。


「撃たないでくれ!降伏する!」



摂津の城を攻めた。

越水城、瓦林城かわらばやしじょう、丸山城、富松城、滝山城と落城。


摂津国35.6万石を手に入れたぜ。



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