第48話堺の交渉
西は海。町を守るように深き堀で囲まれるのが堺であった。
『他の
南蛮から渡来した人に言わしめた町であった。
そんな堺を見下ろす織田の軍勢がいた。
馬が「ヒヒーン」と鳴き、騎乗した武将がコソコソと話し合っている。
尾張、伊勢、紀伊の全て兵4万6千人。
堺の町も騒がしくしてるのも、手に取るように見えている。
そんな光景の中を分け入るように来るものがあった。
「邪魔だ!どけ!」
そして、リアカーが後方から数十台が運び込まれる。
「この場所が良さそうだぞ」
「そうか・・・ただちに始めろ!」
2メートルの木材が運び込まれた。
加工された部分が結合(釘を使用しない結合方法)。
木材が組み上がると、あれよあれよと出来上がる。1台の巨大カタパルトが完成。
「これが織田製作のカタパルトか・・・」
「はは、この位置なら必要条件に一致してますので・・・大丈夫かと・・・」
「あの見える堺に、命中出来るのだな・・・」
額から汗をふきだしながら「命中出来ます」と言い切った。
「殿、この堺を攻めては三好が黙ってはおりませんぞ」
「柴田、何を今更に言うのだ。もう、決めた事ではないか・・・ここを支配して鉄砲をもっと手に入れるのだ。一色をみよ・・・近江国の国友を手に入れたではないか・・・」
「しかし、殿には紀州の根来を手に入れてます」
「バカ者が、根来だけでは数が足らぬのが分からんのか、それに三好など恐れる必要など無いわ。近江を取られても何も出来ぬではないか。我らを怖がっておるのよ」
「しかし・・・」
信長は、ギロリと柴田を睨んだ。
「殿、某が交渉して参ります」
「よく言った秀吉よ、交渉をして参れ」
「は、はーー」
すばしっこく命令聞き、その場から去った。
柴田は、憎々しく去った方向を見ていた。
「わしが行くハズだっとのに・・・」
「なんだ・・・柴田は、交渉したかったのか・・・ならば早く言えば良かったのに・・・」
「・・・・・・」
ここが堺豪商の屋敷なのか・・・
部屋に入るなり「これはこれは、織田様の使者と聞き柴田殿が来るっと思っていましたが・・・木下殿でしたか・・・この今井宗久に何が望みですかな・・・」
「某の名を知っているのか・・・あったこともないのに・・・」
「堺の商人で御座います。知らねば商売人とは言えません」
木下は
しかし、意を決した。
「我が殿は、この堺を支配して火縄銃の新たな開発をお考えのようなのだ。今でこそ丸くなっているが反抗する者には容赦ないお方・・・決して逆らってはいけない。そう思わないかな・・・今井宗久。そちの力で堺衆をまとめて織田に従った方がためだと思うがどうじゃ」
「そのようなお考えでしたか・・・火縄銃は、なんとかなるでしょう。堺の自治権は、今までのままでよろしのでしょうか・・・その条件で、話をまとめてみましょう」
「なんと・・・あっさりと降伏するのか・・・」
「海外と貿易してますと色々と情報も入ってまいります。長い物には巻かれよです」
5日後には、三好、石山本願寺の5万の軍勢が押し寄せていた。
そして、なんの交渉もないままカタパルトから石が投げ出される。
正確に欠けていたが、5万の大群だ。
外れた先の兵を6~8人を犠牲を出している。
「もっと打ち放てーー!!」
近づくも火縄銃の餌食だ。
「バン、バン、バン、バン」と鳴る度に犠牲者をだすばかり。
竹で出来た盾で防御しても、十字砲火にあっては守れ切れなかった。
騎乗した軍団が、三好、石山本願寺の後方に現れていた。
「ようやく迂回出来たな!」
「柴田様、これで我らの勝利で間違い御座いません」
「分かり切ったことだ」
「柴田様、全員揃いました」
「そうか・・・突撃だーー!!」
この奇襲攻撃で勝敗は決まった。
5万だった大群が4万までに減らして逃げ去ったのだ。
織田軍の犠牲は千人にも満たなかった。
「殿、追撃はしないのですか・・・」
「しなくてよい・・・忍びの者に、今回の勝利を広めるように・・・分かったな」
「は、はーー」
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