第44話比叡山




「なんだと・・・一色が松永弾正まつながだんじょうの嫌がらせに切れたって・・・」


忍者軍団からも聞き知っていたが、とうとう頭に来たようだな。

近江の村を襲う嫌がらせだ。

女、子供も連れて行ってしまい村としての存続もあやしむ程だよ。


「あんなに3万5千で大和へいくのか・・・」


「そのようです。大名の沽券こけんに関わることですから」


ドタバタと部屋に入るなり「大変で御座います。比叡山が約定を破り村々を襲いだしています」


「あれ程に逆らったら容赦しないぞと言ったのに、足利義輝が裏で糸でも引いてるのか・・・だから松永弾正も強気にでたのか・・・」


俺は駆け出した。

検索の間に入って、ビシャッと閉める。

そのまま瞬間移動だ。




ああ、村が燃えてるぞ。

なんとむごいことを・・・

比叡山から三言教に改心した村なのだ。


「このクソ坊主が!!」


鬼きり丸がうなった。

クソ坊主が真っ二つになる。

そして、地面を這うようにいだ。

クソ坊主の足をことごとく切断。七転八倒しちてんばっとうする坊主が3人。

そんな坊主をそのままにして、襲ってきたクソ坊主を袈裟斬けさぎりにする。

返す鬼きり丸で次に襲ってきた坊主を左逆袈裟斬りにしてやった。

驚きながら倒れる坊主。


「クソが!!」


ダダダと走り、松明たいまつで放火し続ける坊主を斬る。





走って走りまくってやって来たぞ。


「これが比叡山か」


あれ程に言ったのにクソ坊主が・・・


「雷鳴よ、とどろけ!!」


一転して空が暗雲に染まる。


ピカピカッと光った瞬間に、「ゴロゴロドン、ゴロゴロドン」と比叡山に雷が落ちた。


一気にあっちこっちが燃え上がる。


「何事だ!なぜ比叡山だけに雷が落ちるのだ」


大木もあるのに寺を狙ったように落ちた。


逃げ惑うクソ坊主。


僧兵が俺に気づいた。


「お前は、何者だ」


「俺か・・・俺は三言だ。お前達を殺す者だ」


顔面に左ジャブを軽く当る。

あれ!ビシャと頭が破裂してるぞ。

え!ただのジャブなのに、なんて破壊力だよ。


後ろから襲うクソ坊主を、振返りながら右手に持っていた鬼きり丸で斬る。



再度、雷を落とした。

雨が降って消えるのはさけたい。雨が振らないよう調整。



山門で立ってるだけで、出てくるクソ坊主に名乗ってから斬り倒す。

せめて殺した者の名を知って悔やめ、クソ坊主どもめーー。



もう、何人を斬ったのだろう。

しかばねで山門を埋め尽くされている。


あ、ちょっと派手な袈裟をした坊主が出てきたぞ。


「お前が殺したのか、この罰当たりが、この覚恕かくじょ愚弄ぐろうする気か・・・」


ああ、コイツか・・・聞いて知ってるぞ。

父親が後奈良天皇で、今の天皇の異母弟だ。

コイツを殺すとヤバイな・・・


覚恕を捕まえる。


「何をする無礼だぞ!」


「覚恕さまに何をする!!」


ああ、取り巻きがうるさい。


「俺が三言でもか・・・」


「なんと!お前が三言だと・・・」


そのまま瞬間移動だ。




検索の間から出ると「誰かーー、誰かーー居ないかーー」


「何をそんなに慌てているのですか・・・」


ああ、千秋か・・・


「比叡山が逆らったので覚恕を捕まえて来たぞ」


「え!その方が覚恕さまですか・・・」


「煮るなり焼くなり好きしてくれ」


ドンッと千秋の前に突き出す。

ガタガタと震えて尿を漏らす覚恕が居た。


俺は、検索の間に入った。





比叡山に戻った俺は、まだ燃える比叡山に雨を降らした。

燃えたまま放置して山火事になっても困るから・・・


「ああ、消えたな」


俺は、走った。

目指すは、信貴山城しぎさんじょう



戦いの痕跡を追いつつやって来たぞ。

あれが、信貴山城で松永弾正の居城。


鉄砲の産地国友を手に入れても、そうそうに鉄砲が揃っている訳がないな。

せいぜい100丁ぐらいだな。




俺を見知った奴がいた。


「これはこれは三言さま、いついらっしゃったのですか、殿を呼んで参ります」


あおの巨体がずかずかとやって来たよ。


「無駄な挨拶はいいよ。松永弾正と交渉をしたの・・・それに三好にも」


「交渉など生ぬるいことはしてませんが・・・」


「どうだろ・・・交渉をさせてくれないかな」


「三言さま御仁が・・・危なくはないのですか・・・」


「うん、大丈夫だから・・・行ってくるね」


「え!!」


さっそうと駆けだしてたよ。


門まで矢をかわしつつジャンプして門の屋根に・・・立って言い放った。


「一色軍の使者だ!大人しく松永弾正に会わせろ!!」


シーンとなった城内。



俺は、兵を無視してドカドカと城内に入ったよ。

言語文字通訳の威力は半端ないぞ。


誰も俺の邪魔をしない。

マインド・コントロールに支配された状態だ。


ただ1人だけが、ギラギラした目で俺を見ている。


「お主、ただ者ではないな」


そうなのだ。松永弾正だけが正気だった。


「もう観念して一色に寝返る方が身のためだぞ」


ああ、精神抵抗してるぞ。


南無阿弥陀仏なむあみだぶつ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


更に念を込めたぞ。

ああ、落ちそうだな・・・


曜変天目茶碗ようへんてんもくちゃわんを目の前に出してやる。


「これは、曜変天目茶碗!!もしや寝返るともらえるのか・・・それにしても美しい茶碗よ」


「ああ、やってもいいぞ」


「わかり申した・・・降伏する」


ここに大和侵攻が終わった。



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