第27話駿河
「いいか、よく聞け・・・これなる『米作り指南書』を読んで、来年の米作りを頑張れ。米が無ければローンで売るから、来年の米で一括で返せるだろう」
よく聞いたら、ここも台風の影響で不作だったらしい。
甲斐よりましなレベルだって・・・
なんか悪い事したようで反省中だよ。
「返せますか・・・」
「お前らも見ただろう。米がうなるほどにあったことを忘れたのか・・・農業改革だ!!米も美味くて病気にも強いぞ・・・それと、工務部の人間が来るから冬になるまでに家の内側断熱と外側断熱のダブル断熱工法をしてもらえ。きっと暖かい冬を越せるだろう」
どうやら納得したようだぞ。
ここ越前は、農民兵に任せて急いで駿河に瞬間移動だ。
あれ!居ないぞ・・・どこ行った。
人が全然居ないぞ。
間違えて移動したかな・・・そんな、はずはないのだが・・・
あ、遠くから馬で駆けてくる音が・・・
やって来たのは、真田の親子だよ。
「お戻りになる頃だろうと迎えに来ました」
「皆は・・・ここで防衛して待ってくれーーって言ったよね」
「それが、相手側から三言さまの悪口を
「え!落としたの・・・怪我人は・・・いるの」
「それは医療班がすでに治療して済んでます。さして重傷者は出ておりません」
「
「それが・・・・・・」
何かあるのか・・・口ごもってると余計に気になるぞ。
「なんだ、はやく言えよ」
「ことごとく討ち死にしました。ライフル銃で本陣に一斉射撃して本陣に攻め込むと今川義元は死体となって発見されました・・・」
ああ、やっちまったよ~。
書かれた紙には・・・死んでいった者がズラズラッと書かれてるよ。
よくもこれ程まで殺してしまったよ・・・あ、俺も越前で同じような・・・
めちゃくちゃ歴史が変わったよ。
江戸幕府が無くなった瞬間だ。
済んだ事は仕方ない。
「真田幸綱、駿河の事・・・引き続き頼む。武田の同盟関係も引き続き頼む」
「三言さま・・・それは」
「うん、三言寺に帰るから」それだけ言い残して駆けていった。
頃合をみて瞬間移動だ。
検索の間から出た俺は、高く石垣で出来た城壁の更に高い見張り台にのぼったよ。
ああ、風が気持ちよいな~。
三言寺も様変わりしたよ。
増築を繰り返して小田原城を凌ぐ城塞となったよ。
その城壁の更に外側にも高い壁が、万里の長城のように囲っている。
様々な商いの店舗がひしめき合ってるよ。
ああ、客を呼び込む声が聞こえくるぞ。
「さあさあ、見てらしゃい来て聞いてらっしゃい。加賀の名産『
「兄さん、気に入ったのがあったかい。
あ、あの荷台にかかげてる旗は、伊勢屋だ。
どでかい門を潜り抜けて、きっとシイタケを受け取りに来たのか・・・
シイタケは売れて売れて仕方ない。
それに対して松茸は・・・せっかくの秋なのに・・・
せっかく人工栽培に成功したのに、松茸がシイタケに負けてる。
高く売れないのがネックだよ。
高く売れないなら食べてしまえだ。
「あ、焼き加減がいいぞ」
ぽん酢醤油にちょっとつけて「あふ、あううう」食感がいい。
独特の匂いもいい。
海外では、この匂いが臭いらしい。
なんでだろうね。
このぽん酢醤油も俺のお気に入りだ。
このぽん酢醤油の作り方も簡単。
材料は、米酢・柑橘果汁・醤油・みりん・昆布。
酢と柑橘果汁各1に対し、醤油は2。
清潔な瓶に材料を入れたら、みりんや昆布を加えてひと晩寝かすだけ。
俺はメーカーの味ぽ〇派だったが、ここに来て柑橘系にこだわりだしたよ。
スダチもいいし、キンカンもいい。小粒で甘酸っぱく、ほろ苦い後味が残るのがいい。
レモンも欲しいが日本産のレモンってないよな。
検索の間で調べたら、原産地はヒマラヤだって・・・
そんな高い山まで取に行けるか、バカ野郎。
「やはり三言さまでしたか、松茸を焼くいい匂いがしたのでお邪魔してもよろしいですか・・・」
やって来たのは、田吾作じいさんだよ。
なんとマイ箸持参だよ。食べる気まんまんだね。
あ、籠には、かさの開いた大きな松茸がいっぱいにあるぞ。
それを手で裂いて、七輪の網の上に無造作に載せたよ。
じいさんは、質より量のタイプらしい。
これもそれなりの味がして俺は好きだよ。
「もう勝手に焼いて食べてますね。松茸ご飯を持って来ましたよ」
やって来たのは、田吾作じいさんの孫娘だよ。
ほとんどセット的に登場して来るね。
松茸の土瓶蒸し、松茸のてんぷらまで出てきたよ。
松茸専門料理屋かよ。
食べてる最中にじいさんが、ぽつぽつと話し出すんだ。
「武田は、武蔵、
「う~ん、それで・・・」
「上杉との仲立ちをしてほしいと・・・」
「嫌々無理でしょう。
「それでは、真田幸綱に一任してはどうでしょう」
「いいね、それで話を進めてくれたらありがたいね・・・うん、任せるよ」
「あらあら、お子ちゃまですね。ぽろぽろこぼしてますよ」
そう言って孫娘は、甲斐甲斐しく俺の世話をするんだよ。
お!どこを触った・・・
なに・・・顔を赤らめて・・・
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