第26話越前




なんてことだよ。

SOSの連絡が来てしまったぞ。

なんでそんなことするかねーー。ちょとのスキも見せられないよ。


攻めて来たのは、朝倉義景だよ。


あれだけ書状に書いたのに、絶対に3倍返しだ。

そして許さないぞ。





瞬間移動でやって来た場所は、よく知ってる場所だ。


もう、村々は焼き払われて米も大量に奪われていた後だ。

共同で建てた米蔵が軒並みに破壊尽くされて空っぽだ。

蔵を見ながら、あの時は喜び笑ったのに・・・悔しい。


南無阿弥陀仏なむあみだぶつ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と祈るしかない。



見つけた!

もう、勝手に体が動いていた。

頭から鬼きり丸がスッパッと真っ二つに斬りわける。

後ろから襲う足軽を、後ろ回し蹴りで蹴る。

嫌な感触だ。

あんのじょう変な方向に頭がねじり曲がっているぜ。



それにしても悲惨ひさんだ。

しんだ後ももてあそばれているぞ。こいつらは畜生ちくしょう以下だ。


「前ら!!生きて帰れると思うな」


「何やつだ!!殺してしまえ」


「殺せるものなら殺して見ろ」


言った奴の首をいだ。お前は雑草以下だ。


50人も居た足軽を全て斬り伏せた。

死体が死体の上に重なっていたり、下半身が切断されて無いのにまだ這って逃げようとしている。

楽にしてやった。

最後に残った足軽頭も問答無用で斬ってやった。

化け物を見るように俺を見てたよ。



ああ、米俵が大量に荷台に載せてあった。

もう、荷台があっちこっちにあるぞ。

そんなに米が欲しかったのか、金を出せば売ってやったのにバカな奴らだよ。

それが嫌なら貸してもやったのに・・・




ジッと静かに立ち尽くす。

人の騒ぐ声が聞き取れたぞ。

距離にして2キロ先だ。もう、俺は走っている。



数にして5000人以上。

時間をかけたくない。

すでに空に暗雲が立ち込めている。


「やってしまえ!」


稲光いなびかりが発生。


5000人が崩れるように倒れる。

死んだ奴に悪いが、死んだことにも気付いてないだろう。

それがせめての救いだよ。




「奴らは、どこだ!」


国に接する地域を走り抜ける。

もう、疾風しっぷうごとくに・・・


「あそこに居やがった」


荷台に米俵が満載だ。

それを引く者と押す者の2人組みだ。

それが何台も列をなして運んでる最中だった。


足軽頭1人を残して全て斬ったよ。


「おい!ほかの奴らはどこだ。はやく言え、さもないと手足を斬り落とすぞ」


指をさして「さ、さ、3里向こうに・・・」


地面に枝で書きなぐる。

たしか3里をキロメートルに換算するには、3を3割増して3倍にすればいいはずだ。


11.7キロメートル先か、こいつの3里も怪しい。





しかし、俺は走った。どこまでも真っ直ぐ走り続けた。


ちょっと2キロもずれたが1万2000人ぐらいの数があっちこっちに散らばってる。

これが本隊に違いないだろう。




朝倉義景あさくらよしかげもここに絶対居るはずだ。


「やあーーやあーー、我は三言なりーー、生きたくば朝倉義景の首を差出せ!!差出せば加賀と同じ暮らしを約束しよう」


もう、1里まで響く声だ。

言語文字通訳で心の中にしみているはずだよ。


辛い生活から開放される妄想をみる者。

家族を殺されても我慢する日常から、一転して復讐に燃える復讐者になる者。

様々な人生観から様々な答えを導いてゆくのだ。



そして念仏を唱える。


南無阿弥陀仏なむあみだぶつ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


南無阿弥陀仏なむあみだぶつ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


かき集められた農民兵は、悔い改めるようにひざまずく。


次の「南無阿弥陀仏なむあみだぶつ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」が後を押したよ。


改心した農民兵は立上がった。

一斉に侍を襲いだす。

1人2人なら相手に出来るが3人4人では無理だ。

四方から槍で叩かれ気を失って、倒れる侍に更に槍で叩かれ続ける。


もう、あがなうことも出来ない。



「よせ、よさぬか、朝倉義景としっての狼藉ろうぜきか後で悔やむぞ」


「みんな聞いたか!!こいつが朝倉義景だ!!」


もう、俺が来た時には、ミンチだ。

ああ、嫌なもの見てしまったよ。


「いいか!お前たちの国へ攻め込むぞ!そして加賀のようにたらふく飯が食えるようにするぞ!拙僧ついて来い!!」


越前に攻め入ったよ。

へばった農民兵には、回復薬を飲ませた。

もう元気もりもりで走り続けたよ。




1つ目の三国湊城。


「なに、あの城に中には知り合いが多いのか、しかし、留守を預かる武将は何をするかわからないぞ。それでも任せろと言うのか・・・」


太助さんを心配しながら送り出す。


あんのじょうトラブルが発生。俺の耳は聞き取った。

俺は、タン、タン、ダンッとジャンプしてバキバキバリと門を破壊。


ダダダダっと走ったよ。


感情たかぶる武将によって袈裟斬りにされて重傷だ。

あ、まだ生きている。


俺に気付いた武将は、刀を振りあげる。

しかし、俺の動きが3倍も速い。鬼きり丸で横一文字斬りにしてやった。

武将は、ドサッと崩れ落ちて大腸が床一面に広がってしまったよ。

なんてことだよ。

腹が切断してたよ。そんな手応えもなかったのに・・・



あ、太助さんを忘れてた。

駆け寄って光魔法を発動。傷口があれよあれよと治るぞ。


「死んだっと思ったのに・・・」


「ああ、大丈夫だよ」


これで三国湊城は落ちた。

誰も抵抗しなかったからね。



今度から作戦は変更だ。


それぞれの城近くの農民兵に行かせて、外から大声で説得。

聞き知った仲間からの説得だ。あれよあれよ開門だよ。

杣山城も落ちた。武将は縄でぐるぐる巻きだ。


5時間後には、金ヶ崎城、疋壇城が落ちた。

もう、あっちこっちで「勝ったぞ!!」と声が響く。




最後の一乗谷城は、巨大カタパルト1台で跡形がなくらるまで撃ち続けたよ。

中の農民兵は逃げた後だからだ。


農民兵が石や小石を、もういらないってぐらいに持って来たからね。

石が飛び出す瞬間を何回も見て喜ぶんだよ。


その後、越前では石飛ばしの祭事が始まったらしい。


決まった山に自作カタパルトで撃ちだす。

翌年には、山から石を取って来て又も撃ちだす。

もう、その祭事を見るために多くの人が訪れたんだよね。




こうして完全に越前朝倉氏の最後であったよ。


最後に「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


【LV10になりました】

【支援魔法を取得】


あれれ、LVが上がったぞ。

それに支援魔法って・・・俺に従う兵達の能力を一律に上げるって。

まさに神の力だよ。



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