第20話夏だよ




もう、夏だよ。

稲は、病気もなく、丈夫にすくすく育っている。

お百姓さんは、毎日見に来て期待度あげあげのマックス状態だよ。


お百姓さんに楽させよとあれこれやっちまったんだ。

田仕事で重労働なのは、田を耕したりすることなんだよ。

くわで土を掘り起こすなんて、腰に負担もかかるし腕もパンパンだよ。


俺なら土魔法で耕すのは簡単だ。

しかし、4国もなっては1人で耕すことは無理に決まってる。


なので小型ディーゼル耕耘機を作ちゃいました。

軽油は、越後の油田でどうにかなる。

あれから越後で取引きしてるんだ。加賀の九谷焼が人気でバカ売れだよ。


製作第1号で試運転だ。

ロータリーの回転部分がド、ド、ド、ド、ド、と掘り起こして、嘘のように終わってる。


そのせいで、どんだけ作らせんだ!てな感じで作ったよ。

勿論、レンタルだよ。

売るには高い値段だから・・・ローンで売るのもありかも・・・

それと田植機2号も作ったよ。

もう、感謝されぱなしだよ。


それでもって、大勢を集めての農機具の説明会をやりましたーー。

もう、見ていたお百姓さんは、びっくりしてる。

文明開化でもなしえない変革だから・・・


「説明を聞きましたね。誰かディーゼル耕耘機でやってみる人」


あれ!誰も手を上げない。


「そこの、あなた、あなたですよ。やってみましょう」


小型ディーゼル耕耘機は、手でささえるから初めての人は力強い回転に驚く。

そして曲がりくねるが、どうしていいのか分からない。


「誰か!とめてくれーーー」


あんたが止めろよ。話聞いてないなーー。

もう、まいったよ。

仕方ないので耕耘機のスイッチを切った。


「ここがスイッチだから、これを切る。分かった。それから持っていかれる前にグッと踏ん張って頑張る。分かった」


分かったってうなずくのはいいけど・・・


「さあ、再チャレンジだ!」


おおお、今度は頑張ってるね。




ああ、9月下旬~10月は刈り入れだ。

コンバインやもみすり機を作らないといけないぞ。

誰か代わってくれ。


錬金術にも制約があるんだよ。

1度あれこれして作り出した物は、コピー&ペーストで同じ物が作れる。

しかし、作るにも時間がかかる。

製作される間も作られる工程を見なきゃーいけない。

ちょっとでも余計な事を考えたらオジャンだよ。


そんな制約があるんだよ。悪い事に複数同時って無理。



火縄銃の銃身1本作るのに20分は必要。

単純な作りの銃身で・・・


銃床じゅうしょうは、台師と呼ばれる職人が作ってくれるからありがたいよ。

カラクリ部分の引き金やバネや火蓋ひぶたは、金具師がやってくれる。

金具師は、器用に作るからね・・・感心する。


なので、錬金術を行なう瞑想の間を新たに離れに建てたよ。

大きな物も作るから高い天井が必要だ。

離れでは、俺しか決して開けてはならない間・・・開かずの間が出来てしまった。

これで安心して作れるってものだ。


ああ、それにしても忙しい、忙しいぞ。





そんなある一画で、人の背丈以上に育った砂糖黍さとうきびバージョンアップⅡ。

勿論、品種改良したあまあまの砂糖黍だよ。


春先に植えて夏の終わり頃には、収穫だよ。

品種改良したから育つのも早いねーー。

砂糖工場も建設済みで、後は収穫を待つだけ。

砂糖を特産品としてじゃんじゃん売るぜ。



「三言さま、大変です」


又も問題が発生したのか・・・


「百地の医療看護士が指の切断治療で誤って昏睡状態にさせたようです」


「誤って昏睡って・・・もっと詳しく話してくれるか・・・」


「手を部分麻酔するのに、量を間違えたようです」


こりゃー医療事故だぞ。

俺は走りながら瞬間移動。



やって来たのが、徳川幕府が設立した小石川養生所みたいな養生所だよ

門の横には、百地養生所って看板がでかでかとあった。

おお、達筆な字だな。誰が書いたんだ。

あ、いけない。急ぎのようだった。

ダダダと門をくぐった。


「誰かおるか!」


「これは、三言先生よくぞ来て頂き感謝します」


「挨拶は、いいから案内してくれ」


ああ、子供の手に大人用の麻酔注射したみいだな・・・

急いで光魔法を発動。

ああ、ついでに指の再生も・・・


パチッと目を開けて、思い出したようにワーン、ワーンと泣き出したよ。

あ、母親なのか駆け寄り抱きかかえる。親子で泣いてるよ。

感動のシーンだ。

え!泣いてるのは俺と親子だけ・・・



気を取り直したよ

この医療事故は、俺の説明不足なの・・・

置いてあった治療指南書をぺらぺらめくったよ。

あ、ちゃんと書いてるよ。


部屋のすみでちょこんと居るのが、お前が犯人か・・・

見た目は、幼そうな女性だな・・・ちょっと可愛い顔だよ。

ここでは、機敏な動きが必要なのでナース服だよ。


ちょっと萌えだな。


「大人と子供では、量を少なくしないとダメだよ。ここの書いてあるよ」


ここでガンガン叱るのはセクハラで訴えられても困るから・・・

セクハラってこの時代にあったか・・・ないない。

だけど心配してしまうよ。




「三言先生、そろそろ医療材料が・・・」


「え!もう、なくなったの・・・」


「はい、切り傷なら早く治るって来るもので」


案内された医療倉庫は、在庫切れが発生してるじゃーないか・・・

管理責任がなってないぞ。


アイテムボックスらドンドン出してゆく。

アルコール、回復薬、目薬、正露〇などなど。



この養生所は、俺が来るまでのつなぎ的な役割で建てたんだよ。

手足を切断しても一命を取り止める処置のために・・・

その後は、俺が来てから治療して治す時間つなぎに・・・



越中で多くの犠牲を出したからね。

反省してるよ・・・



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