第18話堤防
ああ、ゆるやかに川が流れている。
こんな綺麗な川が人に牙を向けるなんて、そんな思いがよぎったよ。
「ここが氾濫した場所で御座います。もう田は
「そうなのか・・・大変だったね。色々と思うこともあるだろう。その手助けとして氾濫しないよう唱えよう」
「
大地には、手が触れている状態。
早速、土魔法を発動させているぜ。
あれよあれよと土が盛り上がって堤防の形が出来あがりだす。
ここまで出来るのか・・・俺自身もびっくりだよ。
「そんな・・・ありえない・・・まさに仏の導きに違いない」
どうした・・・おじさん。
もう、土下座して「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と
一心不乱は、我欲や自分の都合を捨てて、仏を信じ、念仏を唱えて阿弥陀仏と一体となることを一心不乱と言ってたな・・・
おじさん・・・悟ったのか・・・
まあ、俺は忙しいんだ。
次の村に歩きだす。
後ろからリズムに合わせるように念仏が更に激しさ増しているぞ。
おじさんと一緒に来た人たちも、同じように念仏を唱えだしたよ。
もう、俺は知らんよ。
前回は失敗だったな。だから村人を帰してからやったよ。
ここも同じようにドドドドドと土を盛り上げてやる。
堤防の上は平坦にして道幅12メートルにしてやったぜ。
やったことには後悔はないよ。
めちゃくちゃいい道なんだよ。これで物流もOKだ。
そして堤防の横には、桜の若木を間隔よく植えてやった。
お決まりの桜並木だ。
ソメイヨシノは特殊なんだ。
この桜は、母をエドヒガン、父を日本固有種のオオシマザクラの交配で生まれた日本産のソメイヨシノだ。
それも沢山交配した中から選びぬかれたソメイヨシノなんだな。
更につっこむと・・・
ソメイヨシノは、接ぎ木で増やしていったクローン桜なんだ。
だから開花時期が同じなんだよ。
しかし、これは違うんだな。
植物魔法によって作られたソメイヨシノだよ。
命名は、こっちが早いからヨシだな。
開花時期も同じしてる。
そして「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と唱えた。
若木のソメイヨシノがガンガン生長していった。
もうツボミが・・・ここでストップだ。
もう春だからパッと満開になって桜吹雪でも見せてくれるだろう。
あ!人がやって来たぞ。
これは逃げるしかない。瞬間移動で逃げた。
後日、田吾作じいさんや中村甚五などが来てたよ。
もう分かってますよって顔で俺を見る。
「ああ、そうだよ。あの桜は綺麗でいいだろう」
「まあ、あのような桜は初めてです。ヤマザクラより綺麗で御座います」
「ソメイヨシノって名前をつけたよ。吉野山の桜より綺麗だという意味で」
「それは良い名前です」
「田吾作じいさん、そこは叱るべき所では・・・」
「まあ、ここは皆が喜んでいるのだから、ここは穏便に・・・中村殿も見に行ったのでは・・・」
「まあ、正妻が行きたいと言うので仕方なく・・・」
「見た感じはどうだった」
「綺麗で御座います」
「ならいいよね・・・」
ここも氾濫場所か・・・堤防もじゃあんじゃあんと作ったよ。
堤防のこっち側は全然使われてない土地が広がってるぞ。
ああ、もったいないので遊水池を作ったよ。
これなら洪水の時に一時的に氾濫させて川の水を引き入れてやるんだ。
それで被害を縮小させる仕組みなんだ。
だからゴソッと掘り起こしてやったよ。
広い土地だから平らにして、普段は憩いの場にして遊べるようにすればいいか・・・
夏は盆踊りだ。
たしか坊主が
それが盆の時期に先祖を供養する行事になったんだね。
ああ、ここでもやってるのかな・・・
検索の間で大変な検索をしたぜ。
石川県ではこれまでの大雨で水位が上昇し、
ただちに命を守る行動をとってください。
川には絶対に近づかないでください。
だから急いでやって来たぞ。
ここは全然手付かずの川だ。
だから急いで堤防を作ってる最中に、雨が急に降り出したぞ。
ちょと天気は悪かったけど雨とは・・・
これは、雨続きだからヤバイぞ。
昨日の増水がまだまだ引いてないのに・・・
もうびしょ濡れで川を見ながら、堤防作りを続けた。
更に増水してるぞ。
あ!堤防が無い所がヤバイぞ。
俺は走ってちゃちゃと堤防を作った。間一髪セーフだ。
あ!あそこも!
又も走る。
あ!あれもか・・・向こう側がヤバイ。
俺は大きくジャンプして、これでもかこれでもかと堤防作りをやったよ。
あ!そうだ。
雷魔法で雨を降らせるなら、雨を降らさいって選択はないのか・・・
ダメもとでやってみよう。
「我に従い、雨よ降るな!」
え!あんなに大雨だったのに、急に止んで晴れて来たよ。
こりゃーー凄いぞーー。
これでゆっくり堤防作りが出来るぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます