第10話1万円札
なんでこうなってしまったんだろう。
古着で、下着トランクスやTシャツを何着も作ってもらったのに・・・
それを何度も洗ってもらって、着たり、はいたりしてたのに、どうしてなんだろう。
勿論、トランクスは紐で縛るタイプになってしまったが。それは仕方がない。
ふんどしなんかまっぴらだ。たまに食い込んではく気にならない。
そして、1度も洗わずに放置していた短パンを、思い出して洗濯にだした。
それがいけなかったんだよ。
なにやら騒がしく見に行った。
それを見てハッとしたよ。
1万円札1枚。
千円札 5枚。
500円1枚。
百円 5枚。
10円 8枚。
1円 9枚。
それらを皆でああだこうだと言っている。
中には
まあ、ここでは使えない金だよ。
それに欲しそうにしてたから、軽い気持ちで欲しかったらあげるよと言ってしまった。
それからは大変だったよ。
下働きで働いていた人は、10人だったのに訪問して来た人などであれよあれよと増えていったよ。
もう、下働きの人も気付いたようで寺を締め切ったよ。
総勢86名で争奪戦が始まってしまったんだよね。
その間、訪問して来た人には、今日は特別な瞑想の日ですと訪問を断っている。
俺も1万円をすかしたりしてじろじろと見た。
中々の印刷技術だよ。
1万円の印刷は、この時代の人にはオーパーツでしかない。
日本の偽造防止技術は有名だ。
透かし
光をあてて紙の上に明るい部分と暗い部分で、明暗で透かして見える画像技術。
凹版印刷
微細線を印刷するための印刷技術。
そのための原版の作成では、金属の板にビュランと呼ばれる特殊な彫刻刀を用いて微細な画線を刻んでいる。
なんかテレビで見たけど凄かったね。
アメリカのテレビドラマにも偽札の原版がよく出てたな。
マイクロ文字
肉眼では認識できないか、かろうじて認識できる程度の微小な文字。
本当だNIPPONGIKOって・・・
特殊発光インキ
暗い所でブラックライトを照らすと、蛍光を発するインクによる印刷。
3Dホログラム
3D画像で最先端のホログラム。見る角度によりホログラムの肖像の顔の向きが連続的に変化しているように見える。
まだまだ色んな技術のかたまりだね。
もう86名は、異常な雰囲気だよ。
そこで、俺は提案したよ。
「ここは、1人、1人対戦して勝ち上がった1位から欲しい物を指名する。それでどうだ」
なんとか納得したようだよ。
なので皆でリバーシ作りをはじめたよ。
もう定番のゲームだ。
そこで、新たな提案した。
50センチ定規による長さの明確化だよ。
加賀国内に配る予定だ。
100も作っていたので86を手渡した。
「この1目盛りが1センチ、10目盛りで10センチだ。それで、この定規の2倍で1メートルと呼ぶ」
分かったのかな・・・
「
「分かりました」と返事が返ってきたよ。
「35センチの正方形の板を作って、中に1マス4センチの正方形をタテ8マス×ヨコ8マスの線をひくんだ」
実物を取り出して見せた。納得したようだな。
材料は持ってたし、じゃじゃやんと出した。
そして、わいのわいのと作りながら、ルール説明も同時にした。
出来上がった物で1時間の練習させたんだ。
もう練習タイムでも白熱したよ。
負けて悔しがってる。
勝った者は、勝ち誇ってる。
さあ本番だ。
43台のリバーシが一斉に始まったよ。
始まって早く勝負が決まる。
中々決まらない所が出てきたよ。
めちゃくちゃ長く考えるタイプが居たからだよ。
なので新ルールが追加。
相手が1~30を数える間に手を打たないと反則負けのルールだ。
相手も数えるのが早かったね。
もうどうでもなれって打ってたから・・・
順調に勝負が決まっていったよ。
勝った人は、次の対戦相手をガン見だ。
負けた人は、遠くでパチリッと負けた同士でやってる。
もうヘボ同士の対戦だ。
勝利商品になったので仕方なく綺麗にしたよ。
ここで活躍したのが錬金術だよ。札のシワなんか無くなったね。
10円もピカピカだよ。
1位に決まったのは、13歳の女の子。
親は「1万円、1万円」と言ってるのに500円を取ったよ。
硬貨の中で新品でキラキラと光ってるのが気に入ったようだよ。
その親は、千円札をゲット。
そして29人がお金をゲット。
残った57人は、再度ゲームしてリバーシ争奪戦がはじまった。
何度も負けた人は、てぶらっで帰ったよ。
肩を落としながら・・・
そして、俺のお金だった物は、お仏壇が作られて仏像のように拝まれたらしい。
勿論、リバーシブームが起きてたね。
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