第8話シイタケと銭の完成
三言寺に瞬間移動で一瞬で帰って来た。
心配だった丸太小屋をのぞく。
あ、ポッツンと小さいが生えてる。
こんなに
おがくずと米ぬかを混ぜただけなのに、栄養を吸収して育つとは・・・
「三言さま、お戻りでしたか、可愛いシイタケが育ちました。最初に聞いた時は信じられませんでしたが栽培は順調です」
あ、管理を任せた田吾作じいさんだ。
「田吾作じいさんに任せたのは正解だったな。室温、湿度で異常はなかったかな・・・」
「つきっきりで見てますから異常はありません」
「それなら良かった」
「三言さま、この温度計と湿度計の仕組みを教えてくれませんか、気になって仕方ないのです」
「田吾作じいさんは、探究心が凄いねー。まあ、教えてもいいよ・・・湿度計は、
予備に作っていたのを、パッカッと開けて見せた。
「ほんとだ。紙が貼ってある」
なんだよ、信じてなかったのかよ。
「温度計は、ガラスの管の中に水銀が入っていて、水銀の熱膨張による体積の変化を利用したものだな。基本的には、温度は-38度から200度まで計れるな」
田吾作じいさんは、考え深く唸ってるよ。
「ああ、そうだ。これをあげよう。体温計だ。体の脇に差込んで挟むんだ。挟んだまま10分まで待って、目盛りを見るんだ。37.5℃以上が発熱で、38℃以上は高熱で病気だから拙僧の所へ来るんだぞ。もしガラス管を割ったら気をつけるように、水銀は体に悪いからね」
田吾作じいさんが、黙ったまま管理表を手渡してきた。
なに、自慢したいの・・・
温度は、どれもこれも10度~25度で折れ線グラフの範囲内をキープしてるな。
湿度も80%を保っているようだぞ。
このままいけば、年4回は収穫できそな気がする。
後は、夏場を涼しくするためにクーラーみたい物がいるぞ。
また、検索の間で検索でもするか・・・
そんな時だ。のこのことやって来たのは、稲葉歳三だ。
歳三の後ろには、リアカーが3台も連なって来ていた。
もしかして、出来上がったのかな。
歳三が「フフフ」と微笑んだ。
「銭が出来たのか・・・」
「はい、出来ました。あのリアカーに載せている全てが銭です」
田吾作じいさんは、俺より先に駆け寄って木箱を開けているぞ。
「凄いぞ、銭だ銭だ」
俺も1枚だけ取って、裏返したりして入念に見た。
「これなら流通させても大丈夫だ。良くやった歳三」
「お褒めに預かり・・・・・・恐縮です」
「なになに、恐縮なんかしないで自慢していいから」
皆して銭専用の蔵に運び込んだ。
床が抜けないように頑丈な作りで出来ている。
「
そして、皆が集中して唱えだすスキに、今井宗久からの代金の一部を出す。
気がついた頃には、木箱が3箱も目の前にある。
「これはどこから・・・」
「これは、世間に流通していた銭だよ。稲葉歳三の報酬だ。配下にも分けてやってくれ」
「それでしたら、自分達で作った銭をいただきとう御座います」
その場にいた歳三の配下も、同じように土下座しているぞ。
え!それでいいの、こっちはどっちでも良いけどね。
偽物の銭を報酬として出すのも悪いと思ったのに、それでいいみたいだね。
それなら勝手にどうぞって、感じだよ。
作ったばかりの3箱をリアカーに載せて、歳三達は帰って行った。
なんか、足取りが軽やかにみえるのは、俺だけだろう。
「田吾作じいさんも、シイタケが成功したら報酬は銭かシイタケかどっちがいい」
「そうですね・・・シイタケでお願いします」
たしか、シイタケは精進料理において出汁を取るためには無くてはならないものらしい。
それに干しシイタケでうどんの出汁を取って食べてたんだ。
シイタケだけの出汁って、そんなに美味しいのかなー。
なんか、うどんが食べたくなったよ。
日本海で小魚を干してもらって煮干ならOKだな。
取ってすぐに煮て干すのが肝心なんだよね。
鮮度が命で、鮮度が落ちたやつは生臭みが出やすいし、味にこだわるならNGだよ。
冬の味覚といえば牡蠣だ。
生でもいいが焼き牡蠣もいい。
しかし冬の日本海は寒いぞ、海女さんは潜ってるのかな嫌々潜ってないと思う。
ダイビングウェットスーツなしでは無理っぽいし、どうなんだろう。
そうだそうだ、ズワイガニがあったよ。
水深200~2000メートルが漁場で沖合底びき網かカニカゴ漁で捕獲されるんだ。
え!しかし、この時代にやってるかな、やってないよな。
▼沖合底びき網(1そうびき)
ブイを投入して進み、ひきずなを投入しながら山ひきずなの重い部分を投入して方向転換。
そのまま進み網を投入、そしてもう1本のひきずなを投入して進んで又も山ひきずなを投入。
又も方向転換して、ひきずなを投入しながらブイまで戻って、2本のひきずなを引張り上げれば完了。
山ひきずなが重いから海底を網が引きずられて海底の生息している魚や甲殻類(カレイ、ズワイガニ、エビ)を一網打尽する方法だ。
どう考えてもこの時代にやってないぞ。
和船で出来るはずがない。
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