異世界ファンタジーに居酒屋? と思った皆さん、是非読んでみてください。この世界観に居酒屋、最高にマッチしていますから。
サクッとしたチーズハムカツや、ジューシーな唐揚げ、ゴーヤーチャンプルー、天ぷら蕎麦、それに日本酒やエール(ビールの異世界版かな?)。ヨダレが出そうなメニューばかりです。
召喚され、もう故郷に帰れない元勇者シンの店は、まさに日本の居酒屋の再現。魔王キルシュも身分を隠し「男爵令嬢オウカ」と名乗って足繁く通います。常連客には、何やら王国の大物もいて、オウカの正体に気がついていそうだけど……?
美味しい食事を前に、敵も味方もなくワイワイ。ところがそこへやってくるのが、王太子と聖女と新しい勇者。楽しい雰囲気をぶち壊し、しっちゃかめっちゃかに。実はこの聖女、腹に極悪な野望を抱えています。傍若無人な聖女たちの態度に、とうとう怒ったオウカは……?
洗練された文章で、とても読みやすいです。
「居酒屋」と「異世界」という意外な掛け合わせにもかかわらず、違和感を感じさせない説得力があります。
必要最低限の情報と描写でいかに読者へ訴えかけるか、計算し尽くされた小説です。
天真爛漫でありながら重荷を背負うオウカ。彼女にそっと寄り添い、ピンチには颯爽と駆けつけるシン。ヒーロー小説に相応しい二人の行く末は……?
上質な娯楽を求めている方に、軽い気持ちで手に取ってもらいたい作品です。